めまい、吐き気、気分の落ち込み、リストカットで来院された10代女性(浜松市)の鍼灸症例

心身堂院長 佐野佑介
この記事を書いた人

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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<初診時のカウンセリング>
父親を2年前に亡くし、その辺りからだんだんと体調不良を訴えるようになってきたとのことではあるが、ちょうど同じ時期に学校で人間関係のトラブルに巻き込まれて、現在は不登校の状態になっている。

一ヶ月以上めまい、吐き気、気分の落ち込みといった症状が出て憔悴してきている様子。

終始うつむいた状態であまり受け答えもできていない状態。左手首に最近行ったリストカット傷がある。病院の診断ではパニック障害とされたようではあるが、特別過呼吸などのパニック発作が出ているというわけではなく、感情が高ぶって抑えられなくなることがあるようである。

今回、初めて鍼灸を受ける。

<施術内容と経過>
ストレス過多の状態が慢性的に継続したことで、ネガティブな思考を延々と頭の中で繰り返し、それが原因で自律神経に悪影響が出て現在のような状態になっていると思われる。施術である程度リラックス状態を作って脳を休めたうえで心理療法をかけていく方が効果的と判断した。

初回
全身調整と内臓調整、背中や首周辺の筋肉のこりにはりを行ったうえで、脳の興奮を鎮める施術を行った。施術後、気持ち悪さはおさまった。

2回目(一週間後)
母親からの話では、施術後の車の中から凄く多弁になって、良くしゃべるようになったとのこと。本人もめまいは立ち眩みぐらいでほとんど辛く無く過ごせていたとのこと。ただ、家族以外にはあまり会いたくないという心理状態のままではある。

3回目(一週間後)
めまい、吐き気、気分の落ち込みはすっきり消えている状態で過ごせている。出かけるなど活動量も増えてきているとのこと。ネガティブな思考に支配されやすいため、心理療法を追加。

4回目(一週間後)
体調は問題なく元気に過ごせているのだが、親に言えない悩みについてカミングアウトを受ける。最近はリストカットしたくならないとのことで、新しい傷は増えていない。

5回目(一週間後)
本当は2週間後の予約を取っていたのだが、恋愛関係のトラブルでメンタルが凄く揺さぶられて体調が再び悪化。気分の沈み込みと気持ち悪さが再び出ている。施術である程度落ち着かせたうえで、トラブルのとらえ方について話をする。

6回目(二週間後)
体調自体はある程度安定した状態で過ごせているとのことだが、朝なかなか起きられないといわれる。深夜までスマホいじっているようで、眠れないからスマホをいじっているのか、スマホをいじっているから眠れないのかは不明である。

7回目(二週間後)
体調は問題なく過ごせている、朝も少しずつ起きられるようにはなってきている。

8回目(三週間後)
9時ぐらいにはコンスタントに朝起きられるようになってきている。

9回目(一ヶ月後)
朝もそれなりに早く起きられるようになり、体調不良もないため今回で卒業とした。

<まとめ>
ストレスから自律神経が乱れてめまい、吐き気、気分の落ち込みといった症状がでていた症例。

思春期の多感な時期に加え、感覚の過敏や極端な思い込みがしやすい面があり、心理療法のアプローチが思い通りに進みにくかった症例。

リストカットはストレスのはけ口として行っている行為なので、やめさせるとほとんどのケースでストレス過多で悪化するため、最初に刃と切る場所を消毒してから切るように指導してはいたのだが、特別切ることもなく改善が進んだ。

※こちらの記事は症例であり、全ての方に効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。

自律神経の症状改善について詳しく解説していますので、ご興味がある方は是非ご覧ください。