慢性腰痛で来院された40代男性(浜松市)の鍼灸症例

<初診時のカウンセリング>

20代の時から20年近くずっと慢性腰痛があり、常に腰が重だるい感じがあり、体を前後に倒すと(前屈、後屈)痛みが強くなる。体重が120kgとかなりの大型体型をしている。

今のところ膝には問題は出ていない。昼休みにウォーキングをしていて、歩くのをやめると腰痛が悪化する状態。

鍼灸は初めての受診で、奥さんの紹介で来院。

慢性腰痛で来院された40代男性(浜松市)の症例

 

<施術内容と経過>

体重が重たい為、ある程度の筋肉の緊張は見られるものの、訴えられるほどの痛みを出すような状態ではない。

運動をすると楽になる為、単なる運動不足による腰痛とも考えられるが、職場がデスクワークが多くてストレスをためやすい仕事をされていることから、ストレスが原因で過去の腰痛の記憶が脳内で再生されて痛みを感じているのが主体で、運動することでストレスが解消されると楽になり、ストレスを受けると腰痛が悪化すると推測して施術を開始。

初回
判別の為、腰の筋肉の余分な緊張を鍼灸でゆるめてみるが、若干マシになる程度で、痛みは残り動く範囲も大きくは変化しなかった。

脳内の興奮を調べると大脳辺縁系(記憶と関係が深い脳の場所)に異常反応があり、しばらく鎮静をかけると、前後左右に腰を動かしても痛みが出なくなった。

2回目
3日ほど調子よかったがそれから徐々に腰痛が復活してきてしまったとのこと。仕事上で中間管理職で上下に挟まれていてストレスを受けないというのがなかなか難しいと話されている。施術は脳内の鎮静化を行う。

3回目
腰痛がかなり悪化した状態で来院。話を聞くと5日間ぐらいはかなり調子よかったそうであるが、仕事でトラブルがあり、そのトラブル解決にあたっていた辺りから腰痛がひどくなってきたとのことで、本人もストレスと腰痛との関連を自覚で来たようである。同じく脳の興奮の鎮静化と心理療法を教える。

4回目
前回の施術後からはほとんど腰痛を感じることなく過ごせている為、次回からの通院間隔を半月に一回ペースへと延ばす。脳の興奮の鎮静化と心理療法。

5回目
トラブルがあった時は腰痛が出たためセルフの心理療法を行ってマシにはなったが、若干まだ残るとのこと。脳の鎮静化を行う。

~8回目
施術間隔を月に1回程度まで伸ばしたところで、多少のトラブルでは腰痛が出てくることもなくなり、脳の異常興奮の反応も出なくなったため卒業とした。

<まとめ>

脳に記憶されている腰痛が原因で慢性腰痛を引き起こしている典型的な症例ではあるが、脳の興奮が完全に鎮静化しないと安定しない為、良い時と悪い時の差が結構激しくでた症例。

腰の周囲をいくら物理的にアプローチしてもほとんど効果が得られないので、脳と腰痛の関連性については注意して診ていく必要性を感じた。

※こちらの記事は症例であり、全ての方に効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。

この記事を書いた人

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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