自分の機嫌を自分で取れない人・取れる人

自分の機嫌を自分で取れない人・取れる人

結論:脳や身体というハードウェアレベルの違いがあることが多い。

機嫌というのは表情や態度に現れる気分の良し悪しのことですが、あなた自身やあなたの周りの人の機嫌の波が大きいことで、困ってしまうというのはよくある悩みごとの一つです。

自分で自分の機嫌を取れるというのが大人としてのマナーといったような風潮がありますが、脳科学のレベルで考えると、自分の機嫌を安定して取りやすい人と取りにくい人がいるのは事実です。

一般的に子供に比べて大人のほうが機嫌のコントロールを行いやすくなりますが、もともとの遺伝的性質や脳の成長の過程でダメージを受けている、生活習慣の問題で脳の機能が低下した状態が持続している場合には子供の脳と同様に自分で自分の機嫌が取れなくなります。

また、男性と女性で比べると女性の方が生理周期によって脳がホルモンの影響を受けるため内分泌系に何らかの問題を抱えている場合も自分の機嫌を取ることが難しくなります。

このページで、自分の機嫌が取れなくなる原因と改善方法について一緒に学んでいきましょう。

自分の機嫌が取りにくくなる原因

改善方法の前に、機嫌が取れない人の脳について学んでいきましょう。

機嫌は脳のコンディションに左右される

現代医学では、気分は脳の神経細胞の活動の結果生じると考えられています。

神経レベルで神経同士の情報伝達がうまくいかなかったり、神経細胞自体が正常に興奮・抑制といった活動が行われないと機嫌が悪いという状態になります。

正常に発達した脳でも、神経伝達物質の不足、エネルギーの不足、神経細胞の疲労などの要因で、神経の活動が正常に機能しなくなります。

脳のコンディションを整えるには、適切な食事で脳に必要な栄養素を供給、運動で脳への血流を保ち、エネルギー源となるブドウ糖(血糖値)を安定供給する。

十分な睡眠を取って脳の活動によって生じた、疲労物質を毎日しっかりと脳外へ排出することが必要です。

また、神経伝達物質の原料は腸内環境に大きく依存していることも知られていますので、腸活も重要になってきます。

遺伝的・養育環境が機嫌を制御する前頭葉の発達に悪影響を与える

大人が子供に比べて機嫌が安定しやすくなる理由は、感情の抑制を行う前頭葉が成長に伴って発達するためです。

多くの人は年齢が上がるに従って自然に前頭葉が発達し、感情の制御が得意になってきます。

しかし、遺伝的に前頭葉の発達が平均よりも少ない段階で終了してしまう遺伝子を持っているなどの場合には、機嫌のコントロールが難しくなってしまいます。

遺伝的に問題がない方でも、成長期に無理なダイエットや拒食症になった、偏った食事を継続してきたなどから栄養失調により、脳の成長が阻害された場合も似たような状態となります。

また、虐待や機能不全家族だったなど、養育環境に問題があり、成長期に過度なストレスを受けて育った場合にも脳の発達に悪影響がでて、前頭葉の発達が悪くなってしまうことがあります。

機嫌はホルモンの影響を強く受ける

ホルモンを一言にまとめると、「体の調子を整える司令官」です。

神経も体の一部ですから、男女ともにホルモンの影響によって機嫌が左右されます。

ホルモンが適切に制御されていればよいのですが、女性のPMSなど、ホルモンが問題となって機嫌が取りづらくなることはよくあることです。

機嫌が悪くなる自分を責めてしまう方も多いですが、ホルモンの影響で攻撃的になっているだけのことも少なくありません。

自分の機嫌を取るためにできること

自分の機嫌を取れるようになるためにできることについて一緒に学んでいきましょう。

食事・睡眠・運動といった生活習慣を整える

脳のコンディションを整える為に重要なことは基本的な生活習慣をしっかりとすることです。

生物学レベルで重要な食事・睡眠・運動を毎日丁寧に行っていくことが大切です。

しかし、完璧にこなそうとしすぎることでストレスがかかりますから、ストレスにならない範囲で行っていくことが重要です。

前頭葉の機能を高める

遺伝的な問題の場合は神経発達症など、根本的な改善が望めないこともあります。

しかし、脳の成長期に受けたダメージが原因で機嫌を取ることが苦手になってしまっている場合には、改善の余地があります。

適切な生活習慣と認知行動療法などの心理療法を正しく行っていくことで、養育期にダメージを受けた脳が画像診断レベルでも回復するという報告もあります。

脳のダメージを回復させていくのに必要な心理的アプローチが人によって異なることが多いですが、信頼できる専門家と改善の努力をしてくことで、脳の機能が平均に近づいていく効果が期待できます。

ホルモンのバランスを取る

ホルモンの影響により機嫌が不安定になっている場合には、鍼灸や漢方薬と言った自然療法がホルモンの調整に有効に働くことも多いので、試してみるのも一つです。

化学的にホルモンを投与するホルモン療法が合うケースもあるので、自然療法がいいのかホルモン療法がいいのかは人によって異なりますが、生理に連動している場合には婦人科でホルモン検査を受けてみることから始めてみましょう。

身体的なストレスを取り除く

疲れ、睡眠不足などの他、身体のこわばりや内臓の不調などは、期限に大きな影響を与えます。

当院で過去に見させていただいた方ですが、イライラしてものに当たって家具などを破壊してしまうというお悩みで来院された方がいらっしゃいました。

内臓の調子を整える施術を行ったところ、イライラする回数が激減して穏やかになり、ものに当たることもなくなりました。

肩こり、腰痛、内臓の不調などが原因で機嫌が取れなくなっていることもありますので、その場合には鍼灸や整体などによって身体的なケアで機嫌よく過ごせるようになる場合があります。

まとめ

自分の機嫌を自分で取れる人、取れない人は脳の問題であることが多いです。

遺伝的な問題から発生している場合もありますが、まずは生活習慣を整えて脳が正常に機能するように脳のコンディションを整えることが大切です。

自分で機嫌が取れない人の脳は前頭葉に何らかの問題を抱えていたり、ホルモン的な問題から機嫌が不安定になっている場合があります。

遺伝的な問題でない場合には、脳の回復を促進するように生活習慣に気をつけながら、心理療法を専門家と一緒に行っていくことが大切です。

身体的な不調から機嫌が悪くなることもある為、鍼灸や整体を受けて身体をケアすることで機嫌が安定するようになる場合もあります。

当院で感情の不安定さについて相談をご検討の方はお問い合わせよりご予約ください。

遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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