ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。
交通事故でむち打ちになってしまった後から、首や肩や腰が痛いのが続いているという症状の方も多くいらっしゃいますが、当院へは自律神経が乱れて頭痛(頭重)、めまい、動悸、不眠、異常な発汗、吐き気、だるくて動けないなどの自律神経症状がなかなか改善されない方からご相談を受けます。
事故の前までは元気だったのに、整形外科では診れない為、最終的に心療内科や精神科に回されてしまい、いつまで続くのか不安になられる方も多いです。
今回はむちうち後の自律神経症状について、一緒に考えていきたいと思います。ぜひ最後までご一読ください。
結論:交感神経の過剰を解除できれば症状は改善していくことが出来る。
首や肩の痛みなどの整形外科的な問題ではなく、自律神経症状の多くは事故後からじわじわひどくなっていくもしくは、ある程度状態が悪い状態で固定化してしまう方が多いです。
そうなってしまうと、数ヶ月から数年間悪い状態がそのまま持続してしまう。結局調子が悪いまま生活を続けている方も珍しくはありません。
この原因は交感神経が過剰に興奮して出てきている症状そのものが心身にとってのストレスとなり、そのストレスが交感神経をさらに刺激してしまう為、継続的な交感神経の過剰状態を作り出してしまい、それが自律神経症状の悪化もしくは固定化を引き起こしてしまう為です。
交通事故という大きな衝撃が体に加わったことで、一時的に交感神経が高まるのは普通のことです。
通常、交通事故による交感神経の興奮も、交感神経の過剰を抑えるフィードバック機構(交感神経の興奮が過剰である場合に抑えようとする)が働き徐々に交感神経の過剰は自然に収まって治っていきます。
しかし、上手くフィードバック機構が働かなかったり、辛い症状がストレスを与えることでフィードバック機能が働いていても、交感神経の興奮を促す刺激の方が強いことで、このような問題が出てきます。
目安としては交通事故の後から徐々に体調が回復しているのであれば、3ヶ月~6ヵ月程度で自然に改善されていきますが、フィードバック機構に不具合が出ている場合にはそのまま放置するとさらなる悪化や固定化が起こって治すことが困難になっていきます。
徐々に体調が回復していなかったり、むしろ悪くなっていっている感じがある場合には、フィードバック機能が上手く働けていない状態になっている可能性が高いため早めの対応が必要になります。
病院での治療はどのようなものがある?
フィードバック機構による自然治癒が行われない場合には医学的なアプローチが必要となります。
フィードバック機構が働けていない原因が症状のストレスによるものなのか、交感神経の過剰が原因なのかによっても対応方法が異なります。
症状のストレスが原因となっている場合には、辛い症状を抑える薬(鎮痛薬、抗不安薬、抗眩暈薬、睡眠薬、吐き気止め等)を用いて交感神経を刺激しているストレスとなる症状を抑え込むことが一つの対応策です。
薬によってフィードバック機構を邪魔していた症状がコントロールできれば、しばらくその状態で生活することでフィードバック機構が交感神経の過剰を鎮静化していくため、自然に改善していきます。
症状を抑える為に薬を用いる為肝臓への負担が大きくなりやすく、漢方薬を用いる場合であっても定期的な血液検査で肝機能に異常が出ていないかをチェックしながら行っていくことが大切です。
また、抗不安薬は2週間以上の連用で依存を形成しやすいことから、リラックスできない、眠れないといった症状が主体の場合には心療内科・精神科などの専門医の管理下で使用することが望ましいです。
専門外の内科などで抗不安薬(デパス等)を処方されて依存状態になっている方が多いので注意しましょう。
もう一つは、抗うつ薬(SSRI)などを用いることで、交感神経の過剰興奮を薬の力で抑え込み、フィードバック機構の働きを薬の力で代替する方法です。
後述しますが鍼灸や整体でも反応がない場合にはこの方法も治療として検討する価値があります。
しかし、抗うつ薬は使用開始時に副作用を生じやすいため、使える方と使えない方がいらっしゃいます。
基本的には抗うつ薬は徐々に辞めていくことが出来る薬ですが、神経細胞のダメージのレベルによっては薬を飲み続けてなんとかバランスを保ちながら生活しながら生活されている方も一定数いらっしゃいます。
鍼灸や整体は有効なのか?
鍼灸や整体を行うと副交感神経が刺激されるため、交感神経の過剰を抑える効果が期待できます。しかし、鍼灸や整体はその方の身体が持っている副交感神経の機能を用いて改善を行う手法です。
その為、長期間交感神経過剰が継続していて副交感神経の神経細胞の働きが悪くなってしまっていたり、細胞自体が大きなダメージを受けている場合は、副交感神経の働きを高めても神経細胞自体のマンパワーが低下している為、あまり効果が期待できません。
単純に副交感神経が上手く起動できていないだけで不調が続いている場合は、鍼灸や整体で副交感神経を刺激して機能を促すことで劇的に改善することもあります。
鍼灸や整体の有効性は、副交感神経の機能が疲弊しすぎてほとんど働かなくなってしまっているかどうかで、効果に大きな差が出ますので、なるべく早い段階で、長くても症状が出始めてから1年以内に施術を開始する方が効果が出やすい傾向があります。
薬物治療に比べて、副作用などが出にくく、改善後も継続的な施術が必要ではないというメリットがありますが、自律神経が機能することが出来ない体の状態になってしまうと何回も通院して施術を受けてもあまり効果を実感できないという場合もある点には注意が必要です。
まとめ
交通事故後から自律神経症状が出る方は多く珍しくはありません。
交感神経過剰の症状が出ても通常3~6ヶ月程度で不快な症状は改善されていきますので、徐々に症状が改善されてきているようであればそれほど心配する必要はありません。
しかし、徐々に症状が悪化していったり、あまり改善がされていない場合には交感神経の過剰興奮を鎮めるフィードバック機構が上手く機能していないことが考えられるため、医療的な介入が必要です。
病院の治療では投薬治療によって深い症状を緩和して症状ストレスからくる交感神経の刺激を止めるなどが有効なことがあります。
また、リラックスできないなどの交感神経過剰症状が主体の場合には抗うつ薬など交感神経過剰を薬の力で直接鎮める治療も検討されるかもしれません。
症状の緩和を行っても思ったような改善が見られない場合には、心療内科や精神科での治療も検討しましょう。
鍼灸や整体は副交感神経を刺激してフィードバック機構に働き掛ける治療法です。しかし、副交感神経自体が疲弊して機能を失ってしまっている場合には思ったような成果を上げることが出来なくなってしまいます。
鍼灸や整体は何年もたった状態よりも、長くても症状が出始めてから1年以内ぐらいに施術を開始することが望ましいです。
当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。
遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。