自律神経失調症どれくらいで治る?

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

自律神経失調症になってしまい、辛い症状が毎日続いているといったいいつになったら治るんだろう。インターネットで自律神経失調症が治るまでの期間を検索してもそれぞれ違うことが書いてあって、結局どのぐらいで治るの!?と先が見えなくて不安になる方も多いと思います。

当院へ来院されている方は平均3ヶ月程度で改善される事が多いですが、早く改善される方も、年単位になる方もいます。

今回は自律神経失調症ががどのくらいで治るのか?なぜ正確な治る期間を示せないのかについて、医学的な考え方から一緒に考えてみたいと思います。ぜひ最後までご一読ください。

結論:重症度や原因によって数週間~数年まで幅がある

このページを読まれている方は、どのぐらいで良くなるという目安が欲しいというお気持ちはわかるのですが、こればかりはケースバイケースでどのぐらいで回復するとはっきりとお伝えすることが難しいのが正直なところです。

自律神経失調症は、「原因疾患が特定できないけれど自律神経の症状が出ているときに便宜的につける名称」であり正式な病名ではありません。その為、何の病気なのかわからない状態でいつ治るのか?を考えているのと同じです。

今までの不調の期間や現在悩まされている症状、生活習慣、身体の状態、本当の原因疾患などによって改善にかかる時間が大きく変わります。

軽度の場合はリラックスしやすい状態を作って、食事・睡眠・運動・ストレス管理を行えば数週間程度で回復する場合もあります。

自律神経失調症になってからの期間が長かったり、かなり強いストレスを受けたことで自律神経失調症に悩まされるようになった場合には、数ヶ月~数年かかることも珍しくありません。

しかし、だからと言って数ヶ月~数年という長期間今と同じ症状がずっと続くというわけではありません

適切な対応をしていれば、徐々に症状が軽くなったり、症状が出ない日が増えて、辛い症状に悩まされる機会が減り、日常生活に支障がなくなってくるという経過をとることがほとんどです。

しかし、対応を間違えれば徐々に悪化の一途をたどることももちろんあるので、楽観視もできません。

○○までに治さなくてはいけない!とプレッシャーは交感神経が刺激されてかえって悪化し、長引かせることにつながります。

急いで治そうとしないことが結果的に、最短の改善につながることが多いです。急がば回れです。

治り易さを決定する要因とは?

自律神経失調症の治り易さは大きく二つの要因で決まります。

自律神経に悪影響を与える負担を減らす状態を作り出すことが出来るのか?

例えば、仕事が忙しい、子供の世話をしなくてはいけない、時間的に睡眠時間を確保することが難しい、夜勤をやめられないなど、自律神経に悪影響を与える負担を減らすことが出来ない人ほど回復は遅く、悪化しやすくなります。

当院へ来院された時点で会社も休職している方と、辛いながらも頑張って出社しながら改善に取り組まれている方では明らかに前者の方が改善率も高く、改善速度も速いです。

軽度であれば働きながらということも可能ですが、重症になってくると休まないとじりじり悪くなっていってしまうこともあります。

現在、あなたが置かれている環境、自律神経失調症を引き起こした原因をみながらどうしていくのが良いのかを考えていくことが大切です。

現状の生活を維持したまま改善に取り組むと多くの場合は改善が難航します。

なぜなら、自律神経を乱したストレスがあなたの現在の生活習慣の中に含まれていることが多い為です。

毒を飲みながら解毒剤を飲んでも解毒が完了する日はやってこないのと同じです。毒の量を少なくとも減らすことが必要です。

神経細胞がどのレベルのダメージを受けているのか?

自律神経失調症は病名はともかく、自律神経の機能が正常に機能しなくなった状態です。

自律神経という自分の意志ではコントロールできない神経の働きが失調した状態ですから、神経細胞の活動が正常にできなくなっていることは間違いありません。

神経細胞は強い負荷が長期間かかり続けると以下の順番で機能を失っていきます。

  1. 神経細胞自体の機能が低下する
  2. 神経伝達物質が不足し、神経の興奮・抑制を制御できなくなる
  3. 神経細胞が死滅し、神経ネットワークが破壊される

1が最も軽度で3が最も重度です。

1から徐々に3に進行していくため、実際には中間の状態が存在します。

1だけの状態の方は数回の施術と適切な療養で急激に回復されますが、3に近づけば近づくほど改善の難易度が高くなり、回復に要する時間も長くなります。

もちろん、3の中でも神経細胞の死滅が始まったばかりで、神経ネットワークの破壊が軽微な人とだいぶ前から神経細胞の死滅が起った状態で何ヶ月、何年も過ごしており、神経ネットワークがズタボロに破壊されている人とでは回復にかかる期間やそもそも回復しきらないという回復の限界レベル異なります。

臨床的には1度の施術でほとんど症状が消えてしまう人もいれば、回復の兆候が出るまでに1ヶ月以上時間が必要な人もおり、改善がみられても改善した状態がなかなか安定しないとそれだけ施術回数も多く、改善に必要な時間も長くなります。

機能低下が原因の場合は早ければ数週間で改善する

スマホで考えてみると良いのですが、長期間電源を切らずに使っていると少し動きが重たくなってきたり、誤作動を起こすようになってくることがあるかと思います。

しかし、一度電源を落とししばらく休ませてから再度電源を入れてあげると元通りに正常に動くようになるのは経験したことがある方も多いのではないでしょうか?

神経細胞の機能低下はまさにこの状態に近い状態で、休養させてあげれば短期間に元の状態まで回復することが出来ます。

問題はスマホと違って、人間の場合は電源ボタンでお手軽に休養させることが出来ない点です。

基本的には眠ることが神経細胞の機能回復には重要ですが、あまりにも興奮状態が強いと休養モードにうまく入れなくなってしまうので、回復の妨げになります。

スマホでいえば強制終了で電源を落とすことすらできない状態になっていることもあります。

スマホは最悪バッテリー切れを待てば電源は落ちますが、人間はそういうことは出来ませんので、休養モードに入れる為の手伝いが必要になることがあります。

それを鍼灸や整体で副交感神経を刺激して休養モードに誘導する施術になります。薬で強制的にということも一つの方法ですが、今度は薬をやめるのに苦労するので、一長一短です。

休養モードに入り、他の負荷を取り払っていれば、早ければ数週間で改善することも可能です。

神経細胞同士の情報伝達に問題が生じている

神経細胞と神経細胞はシナプスという神経細胞同士のわずかな隙間に神経伝達物質を放出することで情報を伝えます。

神経伝達物質が不足してくると本来は神経の活動を抑制させて興奮を鎮める必要があっても抑制できなくなったり、逆に神経を興奮させて活動的にする必要があっても神経細胞が興奮しないといった不具合が出てきてしまいます。

神経伝達物質が不足し始めると、神経同士の自分の力で休養モードに入ることは基本的には出来なくなってきている為、医学的な手助けを受けながら休養モードに入って休養をとることが必要になってきます。

神経細胞の機能低下+神経伝達物質の不足

という二つの状態が合わさっている為、休養をとることが出来ると神経細胞の機能低下から来ていた不調は改善がみられますが、神経細胞がある程度機能しても神経細胞間での情報伝達に必要な神経伝達物質が足りない為、ちょっとマシだけれども、体調不良が治らないといった感じになります。

神経伝達物質の原料となる栄養療法が必要になったり、神経伝達物質を分泌させるために必要な生活習慣を取り入れていく必要が出てきます。

神経伝達物質を合成・分泌して脳内で濃度が上昇する為には時間が必要なので改善までにある程度のタイムラグが生じます。

神経細胞が傷ついたり死滅してしまっている

私達の脳の機能は構造に依存しています。

例えば数字に強い方というのは、数字を扱う脳の領域での神経のネットワークの構造が数学的な思考をするのに適した構造をしています。

神経細胞が傷ついたり、死滅してしまうと神経ネットワークを形成している構造が破壊されることになってしまいます。

家でいえば柱や梁、壁が割れてしまったり、失くなってしまうのと同じです。家としての機能を一部失うことになります。

しかし、脳の神経細胞はゆっくりではありますが新しい神経細胞が新たに生まれていることもわかっており、ゆっくり時間をかけて新たに生まれた神経細胞が死滅してしまった神経細胞の代わりになったり、死滅してしまった神経細胞をショートカットするような形で情報伝達を行うように代替的な神経ネットワークが形成されて修復されることがわかっています。

神経ネットワークが形成され修復するのですが、以前と全く同じ構造になるという保証があるわけでもありません。

新しい神経細胞が新たに組み込まれたり、本来は一度中継した方が都合がよかった部分をやむを得ず中継せずに直接接続するという形に変化することで機能を少しでも取り戻そうとしているからです。

10代の成長期の子供は一度増えた神経ネットワークを削っていっている時期なので、削る予定の神経を削らずに代用することで回復につなげることが出来ます。

その為、無理なダイエットや家庭環境に問題がない限りは、比較的回復早いです。

しかし、ある程度の年齢以上になると、加齢によっても神経細胞は徐々に減っていくようになるため、死滅してしまった神経細胞の代わりになる新たな神経細胞が生まれたとしても、そこに組み込まれずに現状維持のために使われてしまう可能性もあります。

そういった点で、重度の場合には何年もかかってしまうことがあります。

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基本は予防と早期に対処することが大切

自律神経失調症に限らず、あらゆる病気で予防に勝る治療法は存在しません。

ごく初期の神経細胞の機能低下であれば1週間仕事を休んでぼーっと過ごしてリフレッシュすれば回復できるなんてこともあります。

しかし、1週間の休養を惜しんでしまったがために、その後に何ヶ月何年もの闘病を強いられることもあります。

自律神経失調症を発症してしまった場合には、治す前に何よりも優先して悪化を食い止めることから始めることが大切です。

現在の生活を維持したまま、治したいという気持ちはわかりますが、初期の不調ほど食事、適度な運動、十分な休息、ストレス管理など、自分の生活習慣を見直すことが大切です。

もうすでに悪化させてしまったのであれば、今からできることを少しずつやっていくしかありません。

時間を戻してやり直すことは出来ませんから、今からできる食事、睡眠、運動、ストレス管理をしていき、身体が回復してくれるように根気強く改善を行っていきましょう。

いつまでも、自律神経失調症と付き合っていかなくてはいけないのか、先が見えない状態はとても不安ですし、絶望を感じられているかもしれません。

しかし、今できることに集中して、いつ治るのかといった不安からくるストレスを減らしていくということも回復には必要になってきます。

まとめ

自律神経失調症がどのくらいで治るのか?といった明確な答えは残念ながらありません。

しかし、初期であればあるほど改善はしやすいことは確かです。

このままの状態が続いたらどうしようと不安になられる気持ちはとても辛いと思います。正しく治療に取り組めば少しずつ辛さからは改善されていきますので、焦らないことが大切です。

回復のしやすさは自律神経が受けたダメージや現在かかっている負担をどれだけ減らすことが出来るのかによって決まってきます。

重度の場合は数ヶ月から数年単位が必要になる場合もありますが、今の辛さがそのまま継続するという意味ではありません。

既に悪化させてしまい絶望してしまっていたとしても、今ここからできることから始めるしか私達にはできません。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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