
こんにちは、浜松市のはりを刺さない鍼灸師の佐野です。
現在は病気の認知が広まったこともあり、起立性調節障害と診断されるお子さんが多いのですが、その弊害として起立性調節障害ではない疾患も起立性調節障害と診断することも増えています。
今回はその理由と背景について一緒に考えていきたいと思います。
結論:適応障害という診断名の代わりに使われることもかなり多い
不登校は複雑な問題が絡み、中には神経発達症(発達障害)などが絡むこともありますが、そういった問題が見つけられない場合には、適応障害よりも起立性調節障害と診断されるケースが多いです。
本来、不登校は大人であれば適応障害(特定のストレスにさらされると悪化する)の枠組みとして考えられる疾患です。
しかし、そこであえて起立性調節障害と診断されるにはいくつかの理由があます。
臨床で診させて頂いていると、デメリットになってしまっているケースも少なからずあり、その結果、水分を多くとったり、昇圧剤を飲んだり、起立性調節障害の整体や鍼灸を受けるといった適切な治療から離れたアプローチを続けて、お金と時間・そして子供の思春期の楽しい期間を体調不良で過ごすことになってしまいます。
適応障害という正しい診断を行うデメリット
当たり前ですが、正確な診断であればあるほど適切な治療を行うことが出来ます。それでも、起立性調節障害と診断されるケースが少なくないのは、適応障害という診断を選ぶ方がデメリットがあるからです。
1.精神疾患というレッテルの危険性
子供に精神疾患の診断名をつけることで、思い込みや本人にショックを与え、それがストレスとなって重度の精神疾患になってしまうのではないか?という懸念があります。
また、周囲の目も起立性調節障害であれば「体調不良だから仕方ないね」となりますが、精神疾患だと周囲の人から「気持ちの問題や精神的におかしい」など勘違いされやすいリスクを避けることが出来ます。
本人や家族も、体の疾患だから仕方がないと納得できますが、適応障害の場合は、学校が悪いのではないか?育て方が悪かったのではないか?子供が甘えているだけではないか?といった生贄を必要としてしまいやすくなります。
2.検査が証拠能力として強くなる
起立性調節障害であれば、血圧の異常が数値データの客観的な証拠として示すことが出来ますが、(本来の基準とは別に)臨床現場では、明らかな数値異常がなくても『状況証拠』でODと診断されるケースが多々あります。
適応障害であってもストレスをうけているため、自律神経が乱れて血圧異常は出ることも多いので、客観的なデータとしての証拠が出しやすくなります。
しかし、適応障害としてしまうと、客観的なデータを示すことが出来ない為、証拠がどうしても弱くなってしまい周囲を納得させる力が弱くなります。
適応障害なのか?起立性調節障害なのか?
かなり似通った症状を出すので、厳密に適応障害と起立性調節障害を分けることは難しいですが、適応障害的な要素がないか?は一つの指標になります。
注意して頂きたいのは適応障害もれっきとした病気だということで、怠けや甘えではありません。
例えば、以下のような特徴があると適応障害の可能性があります。
・平日や学校がある日に体調不良が集中する。
・学校がある時間帯だけ体調不良が出て放課後の時間は元気。
・楽しい行事や楽しいことをしている時は元気。
・学校がない日は基本的に体調不良が出てこない。
・夕方以外の時間に運動ができる日がある。
・立ち眩み・めまい・動悸などの症状がない
・体調が良くなった時間からでも学校へ行こうとしない
・遅刻で学校へ行くことを嫌がる
起立性調節障害と診断するメリットが同時にデメリットになる
適応障害を起立性調節障害と診断することで、前述したようなデメリットを避けることが出来る為、結果的に起立性調節障害という診断が乱発されることになります。
それでも、医師があえて「起立性調節障害」として診断するのは、「まずは体を休ませる正当な理由を作る」という戦略的な意図があります。
起立性調節障害という病名であれば学校というストレッサーから正当な理由をつけて遠ざけることが出来、それが適応障害の治療になり、周囲の誰も悪者にしなくてよいからです。
しかし、これが諸刃の剣にもなります。環境調整を行わずに治療さえ行えば治ると誤解させてしまうことにつながるからです。
適応障害は、気持ちの問題でも甘えでもなく、十分辛い疾患です。
適応障害の原則はストレス原因から離れて休養して体調を回復させ、そこから徐々に適応可能な環境へ順応させて社会復帰させていくというのが王道のパターンです。
その為にはストレス原因が何かを特定することと、そのストレス原因(環境)に適応できないという事実を受け入れるというプロセスが必要になります。
しかし、それは、子供自身が学校に自分がうまく適応できない自分、ストレス耐性を下げるような子育てをしてしまっていたかもしれない親、子供の適応を手助けできなかった先生、というように、結果的に誰かを生贄に差し出す必要があると思ってしまう認知のゆがみが存在します。
適応障害なら適応障害として治療をしたほうが確実に早く治ります。誰が原因で適応障害になったのかの悪者探しや、子供自身の弱さとしてとらえる必要性が元々ないのです。
わざわざ起立性調節障害のせいにして問題の先送りをしていると、卒業、進学、就職などの強制的な環境調整が来るまで、耐えるしかなくなります。
しかも、学校へ行けないことを前提に対処していないので、出席日数や学力でハンディを背負ったまま、人生の選択肢を狭めてしまいやすくなります。
起立性調節障害が乱発されることのもう一つのデメリット
適応障害にあたる子供にまで起立性調節障害と診断する理由とそのメリットデメリットについてここまで書いてきました。
もう一つ大きなデメリットがあって、本当の起立性調節障害の子供の肩身が狭くなることです。
重度の起立性調節障害の子供は、本当に活動を制限されて、ほとんど動くことが出来ません。起立性調節障害の幅が大きくなりやすくて、子供が良くなる病気で起きられなくなるやつでしょ?と軽くみられてしまうという別の弊害を社会に引き起こします。
大人になれば改善するとは言われていますが、大人になっても自律神経の弱さは残る方も多いので、本当は適応障害への変な偏見をなくし、起立性調節障害はなるべく分けて診断していくことのほうが社会として健全なのかもしれません。
まとめ
本来であれば、適応障害と診断する方が医学的に正しい場合でも、医師の治療上の戦略的理由から起立性調節障害と診断されるケースがあります。
しかし、休みの日は元気になる、楽しいことはできるなど適応障害に近い症状の出方をしている場合は、環境調整を真剣に考えてみてください。
この記事を読んで、胸が苦しくなった方もいるかもしれません。
厳しい現実を突きつける内容ですので、あなたがそれだけお子さんの将来を真剣に考えている証拠でもあります。
当院では、体調を整えるだけでなく、その『環境調整』をどう進めていくかを一緒に考えます。
当院での改善をご希望の方は不登校をご覧ください。
遠方で通院が難しいが、相談されたい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

