自律神経を整えるツボは?

こんにちは、心身堂鍼灸院の佐野です。

今回は自律神経を整えるツボについて考えてみたいと思います。このツボを押せば自律神経が整うようなツボがあったら便利ですが、鍼灸師目線から自律神経を整えるツボについて考えてみたいと思います。

結論:鍼灸師は体の状態からツボを決めているので、実は自律神経が整うツボは存在しない。

 

もしかすると、「自律神経を整える ツボ」というキーワード検索をして、このページをご覧になられているかもしれないのに、さっそくご希望に添えない結論になってしまい申し訳ありません。

しかし、嘘はよくないので、本当のことを言いますが、自律神経が整うツボは存在しません。

自律神経が整うツボが存在しないのに私たち鍼灸師はどうやって自律神経を整えているのか?不思議ですよね。

その答えは東洋医学は症状に対する医学ではなく、バランスの医学だからです。

東洋医学で考える場合、自律神経がうまく機能しない原因は体のバランス(姿勢の崩れという意味ではありません)の偏り、専門的には五臓六腑のパワーバランスが崩れたことで引き起こされると考えます。

五臓(肝・心・脾・肺・腎)六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)のパワーバランスを整えると、自律神経の機能が整っていくというのが東洋医学の考え方です。

足三里というツボでバランスを考えてみよう

一般の方でも聞いたことがあるかもしれませんが、自律神経の調節の際に使うことの多いツボである足三里というツボがあります。

自律神経を整えるツボとして紹介されることが多いですが、足三里を刺激すると反射で胃の活動が活発になるということが研究報告されています。

胃の動きが悪いことが原因の症状には比較的使いやすいツボですが、胃の動きが良くなりすぎている(胃けいれんなど)などの場合には、逆に動きを促進して症状を悪化させる恐れがあるツボということになります。

胃の動きが悪い自律神経を整えるツボという意味であれば、効果が出やすいツボですが胃の動きに問題がなかったり、胃の動きが過剰な場合には使いづらいツボです。

また、胃の動き自体に問題がないが、首の問題で自律神経の命令に不具合が出て胃の不調が出ている場合には、その場はよくなってもすぐに元に戻ってしまって持続的には効きません。

自律神経を整えるという主語が大きすぎるためこのようなことが起こりますが、鍼灸師はこの辺りを考えてどのツボをどの程度刺激するのかを決めています。

自分でツボ押しするのは危険?

インターネット上に○○に効くツボがありますが、調べてご自分で押していいのか?ちょっと不安になってしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、大丈夫です。

なぜなら、ツボに効かせるための適切な位置、適切な深さ、適切な強さでの刺激になっていないことがほとんどで、相当なラッキーパンチが当たらない限りは効果が出ないからです。

インターネットで検索したツボを押しても変化しないので害になることがほとんどありません。

当たり前ですが、あまりにも指やツボ押し棒などでグイグイ乱暴に刺激すれば、その組織が傷ついてしまうことがあるので、ツボ押しされる際は優しく刺激してあげてください。

鍼灸刺激自体が自律神経に働きかける

まだ詳しいメカニズムはよくわかっていないことも多いのですが、鍼灸刺激を行うとそれ自体が副交感神経を優位にする作用があることが報告されています。

つまり、鍼灸の刺激そのものがリラックスモードにして、神経が回復するための休息モードの入口へ誘導してくれる効果があるのです。

私の臨床での感覚ですが、より高い効果を出すために、特定の場所(ツボ)を刺激したほうが、より体が大きく変化するのは間違いありません。

しかし、ツボと呼ばれるほど狭い範囲を狙わずに、点ではなく面で治療するほうが効果が出やすい場合もあります。

鍼の刺激をしただけでも副交感神経が優位になるという鍼灸刺激そのものの効果に改善効果を助けてもらっている部分が少なからずあります。

ツボを効かせるのは難しい

私が学生だった時に鍼灸の勉強会に行った際に、その時の講師の先生から「ツボは効くものではなく効かせるものだ」と言われたことがあります。

適切な鍼灸術を正しく行って初めてツボの持つポテンシャルを引き出せるのだと思います。

実際の臨床からも自分自身の体に鍼をしての変化を見ても、効かせる技術というのは言葉で表しにくい感覚の話ではありますが、存在していると思います。

こだわっていくと、ツボに触れるときの術者の姿勢(術者のリラックス度)、ツボに触れる道具(鍼)、ツボに触れている時間などが施術効果に影響してきます。

だからこそ、鍼灸師という専門職があり、それだけでやっている先生がいるのです。

まとめ

「自律神経を整えるツボ」というものが一つだけ存在するわけではありません。

東洋医学では体全体のバランスを整えることで自律神経の働きが正常化されていく、という考え方に基づいて施術が行われています。

ツボの効果は単純な「このツボが効く」という話ではなく、体の状態に応じて選び、的確に刺激することで初めて本来の効果を発揮します。

ネットの情報を参考にセルフケアすること自体に大きな害はありませんが、本当に効果を実感したい、根本的な改善を目指したいという方は、ぜひ専門家の手を借りてみてください。

体の声に耳を傾け、そのバランスを整えることこそが、自律神経と上手に付き合っていくための一歩になるはずです。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、セカンドオピニオンとしての意見が欲しい、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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