ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。
自律神経失調症、うつ病、パニック障害、起立性調節障害でほとんど家から出られなかった方でも、体調が回復してくると、友達と出かける、会う機会も増えてきます。
しかし、いざ外出してみるとその時は楽しかったけれど、帰ってきてから数日寝込むことになってしまったということはよくあります。病気になる前は平気だったのに・・・。とショックを受けられる方も多いです。
今回はそんな病前は平気だったのに人と会う、友達と外出した後にひどく体調を崩す原因と対処法についてついて一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。
結論:神経が回復していく過程の一つなので、徐々に慣らしていきましょう。
病気になってからあまり外出をしないというのは、ストレスを軽減して十分な休養をとるという意味でとても重要です。
しかし、ストレスを軽減する行為は同時にストレスに対する抵抗性を低下させてしまう作用がある為、症状が改善してきて少しずつ社会とのつながりを取り戻そうとしていく際には再度ストレス耐性を高めていく必要が出てきます。
体調が回復してきて久しぶりに外出してみたら体調を崩してしまったとショックを受ける必要はありません。
再度ストレス耐性を獲得していけば友達とご飯に行く、遊びに行くぐらいは問題なくできるようになっていきます。
しかし、親しい友人と久しぶりに会ってお話を1時間する。
人によっては最初、このたったの1時間だけでも相当疲労します。
私達は無意識に話をする相手の視線、表情、声のトーン、姿勢など、細かな身体の非言語の情報を参考にしながらコミュニケーションをとっています。
その為、久しぶりに家族以外と取ったコミュニケーションによってこれらの非言語の情報を処理する為に脳をフル稼働させて疲れてしまいやすくなります。
あっている最中は、感情も高ぶって興奮気味になる為、脳の疲労に気が付くことはあまりないことが多いですが、帰って気が抜けたとたんに疲れを感じて動けなくなってしまうことがあります。
一気に体調が悪くなってしまう方の場合は、「私は親しい友人と1時間お話しすることも出来ないのか・・・」と絶望してしまう方もいますが、永遠にその状態が続くわけではないので、安心してください。
神経系がダメージを受けると、回復には十分な時間とリハビリが必要になります。
直ぐに病前と同じことを同じだけできることの方が珍しいので、動けなくなってしまったことにショックを受ける必要はありません。
人体はリハビリをしないと機能回復しない。
自律神経失調症もパニック障害やうつ病などの精神疾患も神経の損傷による疾患だととらえてみると、骨折の治療と基本的には同じです。
受傷(発症)直後は固定をするなど、患部に負担がかからないようにして細胞分裂によって修復されるのを待ちます。(簡単に言えば休養)
骨折であればギプスを巻いて固定している期間です。
ある程度、修復が進んだらギプス外して固定を解いて、ゆっくりリハビリして落ちてしまった筋肉をつけさせたり、固まってしまった関節の動きを少しずつ取り戻します。
この時に一時的に患部が腫れてしまったりすることもある為、アイシングと安静を併用しながらリハビリを継続していきます。
骨折であればこれで機能が徐々に取り戻されていきます。
神経細胞の場合も基本的には骨折の治療と同じように、最初は患部である神経細胞に負担がかからないように生活環境を整えてストレスを減らして、休養させて神経の回復を待ちます。
その後、(人と会うなど)少しずつ神経を使って刺激を加えることで、神経の機能を取り戻していきます。神経に負担をかけると一時的に神経の働きが悪くなるため、休養とリハビリを組み合わせて社会へ復帰していきます。
気を付けないといけないのは、過度なリハビリをしないということです。
治療にリハビリは必要ですが、過ぎたるは及ばざるがごとしで、かえって悪化させてしまう原因となります。
リハビリ後は十分な休息を
私達の細胞は軽い破壊を行った後に十分な休息をとることで以前よりもさらに強化された状態で回復します。
一番わかりやすいのが筋肉トレーニングで、効果的な筋肉トレーニングはトレーニング後に十分筋肉を休ませることで筋肉が肥大してきます。
毎日筋肉トレーニングをすると、筋肉の分解が進んでしまって原理的には筋肉は委縮してきてしまいます。
自律神経失調症やうつ病、パニック障害、起立性調節障害は神経細胞の損傷からの回復も同じです。
友人と外出したり、人に会うといったリハビリを行ってから十分休息をとることで神経の機能が向上します。
リハビリで軽い破壊を行った後に十分な休息をとることでより強固な状態へと細胞を変化させていくことになりますので、リハビリによる刺激と休息を必ずセットで行うことが大切です。
リハビリとは適切なストレスをかけること
リハビリで行うことは、人体からするとストレスをかけている行為と同じです。
「ストレス=悪いもの」という感じが定着してしまっていますが、実際には適切なストレスと休養を組み合わせると人体は弱るどころか強化されていきます。
「ストレス=悪いもの」ではなく、「長期的or過度のストレス」が人体に悪い影響を与えるだけで、「短期的&適度なストレス」は人体を強化する良い影響があります。
詳しくは過去記事を参照ください。
https://shin2do.com/2023/08/05/%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%ac%e3%82%b9%e3%81%a8%e3%81%af%e4%bd%95%e3%81%aa%e3%81%ae%e3%81%8b%ef%bc%9f%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%ac%e3%82%b9%e3%82%92%e3%82%8f%e3%81%8b%e3%82%8a%e3%82%84%e3%81%99%e3%81%8f/
自律神経を損傷した後に人と会う、友達と出かけるというストレスをかけることは機能を回復していくうえでとても重要です。
リハビリとして行う場合には、以下の条件を満たすか確認してみてください。
- 長期間のストレスにならないか?
- 今の自分の体力に対して強すぎるストレスではないか?
- 帰ってきてから十分な休息が取れる日程か?
一番難しいのは2の体力に対して強すぎるストレスではないか?を自分で判断することがとても難しい点です。
臨床で患者さんとお話をさせて頂いていると、自分の体力を適切に評価できている方というのはとても少ないです。
患者さん自身が感じる「これぐらいなら大丈夫」の多くは「私はこれぐらいやれる人でいたい」という願望で、現実から冷静に判断できていないことが多いです。
元々自律神経失調症や精神疾患を発症してしまう方は、適切に現実を評価するのが苦手な傾向がある為、ストレス過剰で病気になっているので、現実から冷静に判断できるようになるには訓練が必要です。
少し人にあっただけで、外出しただけで体調が悪くなった現実にショックを受けずに、今の自分の体調の限界を受け入れられるようになることも重要な練習です。
まとめ
ストレスから離れた環境で療養することは回復にとても重要ですが、その間にストレスに対する抵抗性が低くなってきてしまう為、神経が回復していく過程では自分でも驚くほど、ちょっとしたことでしばらく寝込まなくてはいけないほどの影響を受けるようになることが多いです。
これまでの経過にもよりますが、たった1時間友達と会うだけでも相当な負担になることがあります。
しかし、この負担を適度にかけていくことがリハビリとなり、徐々に社会復帰していくための活動ですのでショックを受ける必要はありません。
自律神経失調症、うつ病、パニック障害、起立性調節障害などは神経細胞に損傷が発生した状態だと考えることが出来ます。
その為、骨折の治療と同じようにある程度回復するまでは安静にして、その後徐々にリハビリと休息を組み合わせていくことで機能回復を行っていくことが重要です。
焦りたくなる気持ちはわかりますが、リハビリと休息を組み合わせていくことで人体の機能は強化されていきます。
リハビリは人体にとってはストレスに当たりますが、適度なストレスをかけること、長期間にならないこと、リハビリ後十分な休息をとることが重要です。
リハビリの強度を自分で調節することが難しいことも多いので専門家のアドバイスをもらいながら行っていくことをお勧めします。
当院での改善を希望の方は自律神経失調症をご覧ください。
遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。