子供のスマホ・ゲーム依存を病院行かずに治す方法

ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。

前回の記事では子供をスマホ依存にしない方法についてでしたが、既にスマホ依存状態にある場合にはスマホ依存を改善していく必要がありますが、完全に引きこもってコミュニケーションがほとんど取れないという状態でなければ、スマホとの付き合い方を学ぶことで改善していくことも可能です。

今回はそんなスマホ・タブレット・ゲーム(以下:スマホ)といったデジタル機器の依存を改善していく方法について一緒に考えていきたいと思います。是非最後までお読みください。

結論:スマホ依存についての正しい知識と管理法を身につけていくことが大切です

医学的には正式にスマホ依存症という病名はまだ存在していませんが、脳科学などの研究分野の知見からは、スマホの過度な使用をしている場合に、薬物依存症やギャンブル依存症に関わる報酬系の活動と同じような脳の活動が起こっていることがわかっています。

依存症の多くが報酬系といわれるドーパミンという快感や快楽を感じる神経系の働きが活性化することで、一度味わった快感をもう一度味わいたくて何度も何度も頻繁に同じ行動をとってしまうことが知られています。

病態としてはギャンブル依存症に近い状態であると考えることが出来ますが、ギャンブル依存書と異なるのが、依存対象をどこにでも持ち運びできてしまうこと、お金が無くなってギャンブルが出来なくなった際にお金を手に入れる為に犯罪行為などをするといった目立った問題を起こしにくいことがあげられます。

スマホ依存の場合にはスマホを触っていないと落ち着かなくなったり、不安になったり、イライラするなどの攻撃性が増す、スマホをずっと触っている(依存状態)ことで本来やるべきことをやる時間が無くなってしまうだけではなく、デジタル機器特有の人体への悪影響がある為、特に成長期の子供の場合にはそもそも依存にならないように初期対応をしっかりと行うということが一番重要です。

しかし、既に1日の間に何時間もスマホをさわっている、依存状態になっている子供が世界中で問題になっている為、現実的にはスマホ依存になった子供に適切なスマホの管理方法を身につけさせることの方が大切になってきています。

大人の多くも依存状態にある方が多いため、親御さん自身が軽いスマホ依存状態にあると、子供も同じように依存しやすくなっていってしまいますので、スマホ依存の改善は家族全体で取り組むことが必要です。

その為にはスマホを長時間使用することでどのような悪影響があるのかをしっかりと学び、依存症の特性を理解した対策が必要になってきます。

ただ単にスマホやタブレット、ゲーム、TVを取り上げるだけでも依存自体は改善できますが、現代社会においてデジタル機器に触れずに生活することは不可能です。

依存やデジタル機器からの悪影響を最小限に抑えた上手なスマホとの付き合い方を学んでいくことが大切です。

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子供が長時間スマホを使用することの一番の問題は、脳の発達が止まることにあります。

私達人間の脳は未熟な状態で生まれ、30歳ぐらいまで成長を続けて完成すると考えられています。身長などは栄養と適度な運動が十分であれば放っておいても年齢に達すれば適切な身体の成長が起こります。

しかし、脳は時期が来れば自然に成長するというものではなく、適切な刺激を適切な時期に外から受けることで成長していきます。

例えば言葉を扱えるようになるには、脳の発達がある程度完成する12歳までに言葉を獲得する必要があると考えられています。

ご飯と身体の世話だけをして一切言葉かけを行わない環境で育っても自然に言葉を話せるようになるわけではありません。

周囲の大人が子供に話しかけることで言葉を学習し獲得していきます。この場合の適切な刺激とは「周囲の大人が子供に話しかけること」です。

私達の人類史において、デジタル機器は今まで出会ったことのない特別な刺激です。私達が本能的に手放せなくなりやすいよう脳科学や心理学者の意見を取り入れながら設計された機器です。

その為、成長途上の子供ほど手放せなくなってしまいます。そして、一番の問題は子供の脳の発達に適切な刺激にはなっておらず、むしろ長時間の使用は脳の成長を止めてしまうのです。

成長期には身体の感覚情報の統合、感情のコントロール、他者とのコミュニケーションなど、実際に対面でのコミュニケーションや手足を使うなど身体を使う経験のフィードバックによって子供の脳は発達していきます。

しかし、長時間のスマホ使用はそのような経験を帳消しにしてしまいます。

本来は経験のフィードバックにより脳が刺激を受けて活動し、その活動によって脳が成長するのですが、デジタル機器を長時間使用した脳は持続的な抑制作用が働き、その子にとって必要な刺激を受けたとしても、脳の活動が抑制されている為、成長に必要な脳の活動が誘発されません。

【本来】 刺激(経験)→脳の成長に必要な脳の活動が誘発→脳が成長
【スマホを使用】刺激(経験)→脳の抑制されている為、脳の活動がおらない→経験しなかった場合と同じ脳の活動しかしない→脳は成長しない

学力の低下はまさにこの典型で、スマホを3時間使用して2時間自宅学習する子供よりも、スマホを使用しない自宅学習を一切しない子供の方が成績が良くなる逆転現象が東北大学の研究でも実際にわかっています。

実際、中学1年生の脳のMRIを撮影しておき、中学3年生になった時にもう一度脳のMRIを撮影して脳の成長を調べた研究があります。

研究の結果、スマホを使わなかった子供の脳は成長していたのに対し、スマホを長時間使っていた子供は中学1年生の入学当初からほとんど脳が成長していなかったことがわかっています。

スマホ依存から脱却するステップ

依存からの脱却は簡単ではありません。なぜなら、依存状態を自覚できる人は少なく、依存は意志で使わないようにすること困難だからです。

また、急激な脱却は離脱症状を伴う為、苦痛を感じます。そもそも気持ちよさを追い求めて依存状態になっている為、必ずと言っていいほど抵抗にあいます。

大人の方にも長時間使用していて依存状態にある方には使用時間を制限するようにお伝えするのですが、強い不快感を示される方がほとんどで、それなりに症状に苦しんでいる方でないと本格的に改善することは難しいことが多いです。

ですから、まずはスマホの長時間使用についてどのような脳への悪影響があるのか、本を使って親子で勉強することから始めましょう。

特に中学生ぐらいであれば夏休みの自由研究などで、スマホの長時間使用が脳に与える影響について本を使って調べてみるのも良いと思います。

知識を入れることでなぜ、スマホ依存を改善していく必要があるのかという必要性を子供が感じない限り、依存状態にすぐに戻ってしまいます。

現代においてスマホを「使わない」ということは難しいですが、スマホの誘惑に「飲み込まれない」方法を身につけていくことはとても大切です。

1.パートナー・家族でスマホ制限の必要性について共通認識を持ちましょう

子供のスマホ使用制限を始める前に、家庭内にいる大人(家族)全員がスマホの制限を行うことが必要になります。

子供がスマホを制限していたとしても、祖父母がTVをつけっぱなしで見ている。パートナーがダラダラゲームをしているなど、子供にとって自分だけスマホを制限されることはとても強いストレスになります。

子供のスマホ制限は家族全員が巻き込まれる必要があります。(糖尿病の患者さんがいる家庭では家族全員が糖尿病療養食を食べることで治療が上手くいきやすいのと同じです。)

家の中でお母さんだけがスマホの制限に乗り気でも、他の家族が自分のスマホ制限に消極的であったり、非協力的な場合はうまくいきません。

子供もスマホ使用を多めに見て大人にすり寄れば、使えることを知っている為、家族全体で取り組むことが大切です。

その為にも特にパートナーとは子供の脳の発達にどういう影響があるのかについて、まずは一緒に学ぶことから始めてみてください。

2.スマホの長時間使用の悪影響について親子で学ぼう

まずは親御さんだけでも、スマホを長時間使用し続けることが脳へどのような悪影響を与えるのかの科学的事実を知ることから始めてみましょう。

お勧め書籍はスマホ脳川島隆太先生の著書が読みやすいです。より詳しく知りたい方は、川島先生が訳を監修をされた『子どものデジタル脳完全回復プログラム』などもお勧めですが、こちらは内容がかなりハードで子供には読みずらいかと思います。

お子さんと一緒にどんな問題が出る可能性があるのかを勉強していくことで、子供自身にスマホ依存を改善していく必要性を理解してもらうことがまずは大切です。

依存の改善は親子・家族で一緒に取り組むことが大切です。

3.現状を把握しよう

どんな問題も、現状がどうなっているのか?といった現状把握から始めていくことが大切になります。現状がわからないと何度をどう努力して、努力の結果どのような成果が出たのか?といった評価が出来ません。

漫然とスマホをあまり使わないようにするだけでは長続きしませんので、現状把握から始めていきましょう。

1日どれぐらい画面をみているか(スクリーンタイム)確認しましょう

以下の方法で1日にどれぐらい画面を見ているか確認できます。設定されていなかった場合は機能をオンにして1週間ぐらいのデータをとってから、平均どれぐらい使っているのかを確認しましょう。

iPhone,iPadの場合は[設定]→[スクリーンタイム]

Androidの場合は[設定]→[Digital Wellbeing]

前頭前野の機能テストをやってみよう

スマホ依存が脳を傷つける』に載っている前頭前野の機能テストをやってみましょう。

親御さんがお子さんに質問する形式でやってみてください。

  1. 今年は何年ですか?
  2. 今月は何月ですか?
  3. 今日は何日ですか?
  4. 今日は何曜日ですか?
  5. 今の季節は何ですか?
  6. ここは都道府県でどこに当たりますか?
  7. ここは何市の(町・村・区)ですか?
  8. ここは何という建物ですか?
  9. ここは何階ですか?
  10. ここは何地方ですか?
  11. 次の3つの言葉を言ってください。「さくら、ねこ、電車」
  12. 100から順番に7を繰り返し5回引いて下さい。
  13. 11で言った3つの言葉は何ですか?

1~10を1点、11,13をそれぞれ3点、12は1回正解するごとに1点(合計5点)で計算してください。

満点で21点になりますが、合計が18点以下の場合は前頭前野の機能が低下してきている可能性が高いです。

4.生活のスケジュールを書き出してみよう

スマホを長時間使用していると、時間の概念が狂いやすくなることがわかっています。その為、本人の自覚ではあまり見ていないという感覚が強いことが多いです。

また、スマホ、タブレット、ゲーム機、TVなど複数のデジタル機器を使用している場合にはスクリーンタイムが把握しずらくなりますので、スケジュールで合計していくことも大切です。

平日と休日それぞれどの時間帯でスマホを操作しているのか、1日のスケジュールを書き出してみましょう。

そのスケジュールとスクリーンタイム時間が揃っていれば良いのですが、1時間も2時間もズレているようであれば、本人も把握できていないので、把握し直す意味でもスケジュールを書き出すことには意味があります。

複数の端末を使っている場合には管理が難しくなるので、一つだけに絞る方がお勧めです。

5.人生の時間を計算してみよう

1日の使用時間が把握出来たらどれだけの時間がスマホに奪われるのかを自覚する為に、少しだけ簡単に計算を行いましょう。

例えば、1日4時間使用していた場合、1週間ですと×7で21時間。

1ヶ月ですと×31で124時間(約3日とちょっと)1年は×365で1460時間(60日)約2ヶ月の時間スマホに時間を奪われている計算になります。

これが中学や高校3年間では約半年(6ヵ月4380時間)、中学から高校卒業までの場合は約1年がスマホに時間を奪われていることになります。

今後もこれが続いていけば、さらに長い時間が奪われていくという事実にまずは気が付くことから始めましょう。

スマホは便利な道具ですが、娯楽として付き合う場合には制限を設けないと人生の貴重な時間を浪費してしまう道具になります。

6.依存の特性を理解した小さなルールを設定してみよう

薬物依存症やアルコール依存症などもそうですが、目の前にあると使用してしまうのが依存です。

ですから、スマホを物理的に遠ざける訓練を行うことが、スマホとうまく付き合っていくうえでとても重要な技術になります。

その練習として、まずは小さなルールをいくつか設定してそのルールを守れるようにスマホをどう扱ったらいいのかを学んでいきます。

スマホをダラダラ使用しないようにするには、物理的に遠ざけるしかありません。

6.1食事中は使用禁止

常にスマホが気になっている子供の場合は、食事中もスマホを手放すことが出来なくなっていますので、まずは家族で食事をする時間は全員スマホの電源をOFFやサイレントマナーにして食卓から離れた所定の場所においてから食事をはじめるなど、家族でルールを設定してみましょう。

最初のうちは落ち着かないですが、慣れてくればスマホがなくても食事が出来るようになります。

TVなどが付きっぱなしの家がありますが、基本的にTVもデジタル機器なので食事の時間は基本的には電源を切りましょう。

6.2運動する時間やリアルな活動をする時間をとる

スマホを使用してしまうのは、スマホを触る時間があるからです。成長期の子供が本来やるべきことは、リアルな体験を増やすことです。

親子の会話の時間を増やす、友達とお茶して会話するでも、公園を散歩するでも実際に合わなければできない体験に時間を使うことです。

コミュニケーションをとる時間はスマホをそばに置かないことが重要です。外出して持ち運んでいる場合には、カバン底にスマホをしまって容易に取り出せないようにしてください。

6.3夜はスクリーンタイム設定で使えないようにして、寝室には持ち込まない

スマホを長時間使用すると脳が過覚醒状態になり、その状態が数日継続することがわかっています。

刺激的なゲームなどに熱中した子供がアンフェタミン投与後の人と同じような行動をとることが知られていますが、過覚醒状態は数日から数週間継続します。

しかし、まずはスマホの管理を行えるようになることが大切なので、夜になったら(20時ぐらいまでには)スマホを親に預けて親側の方からもロックをかけるなど使えないようにするなどの処置も行いましょう。

先週よりもスクリーンタイムを減らしていこう

子どものデジタル脳完全回復プログラム』ではデジタル機器を一気に辞めさせるのですが、親子関係が破壊されることもあるので、タバコを止める時に用いられるように徐々に減らしていくという方法で、スクリーンタイムを減らしていくことがお勧めです。

ただ単に制限をかけるだけでなく、スマホが扱えない時間は親子での会話時間を増やしたり、ボードゲームやトランプをする、パズルやプラモデルを作るなど、デジタル機器を使用しない方法で子供が遊ぶ環境を用意することも大切です。

数週間かけて1時間未満まで使用時間を減らしていく

子供が睡眠時間などに影響が出ないスクリーンタイムは1日合計1時間未満であることがわかっています。

最終的には1時間未満を目標にして頂きたいですが、1時間未満まで減らした状態で生活できるようになると、睡眠状態も良くなり、メンタルも安定してくる、記憶力や認知能力が高まるなど良い効果が実感できるレベルまで脳の機能が戻り、再び脳が成長を始めます。

スマホ離脱出来た後で維持する仕組みを考えよう

アルコール依存症などもそうですが、過去に1度でも依存に一旦陥った場合、一生管理し続けていくことが大切です。

成人すれば2時間未満までは使用しても脳への悪影響がないと考えられていますので、少なくとも18歳になるまでは1時間未満になるように親が積極的に管理に関わっていくことが必要です。

18歳以降は本人の人生なのであまりとやかく言うことではありませんが、再びスマホ依存に陥りやすい可能性はある為、2時間未満の使用に管理できるようにしていくことが大切です。

まとめ

スマホを長時間子供が使い続けると、脳の成長が止まっていまう為、大人以上に子供のスマホ依存は悪影響が大きくなります。

既にスマホ依存傾向にある場合には家族全体でスマホ依存を改善していく取り組みが大切になります。

両親が管理の重要性を理解し、家族全員がスマホ管理を行う技術を身につけましょう。

管理方法の基本は物理的に、遠ざけることが有効ですので最初は小さなルールからスマホを遠ざける練習をしていき、徐々にスマホがない生活になじませていきましょう。

未成年の場合は最終的には1日のスクリーンタイム時間が1時間未満になるように管理能力を身につけさせることが重要です。

当院での改善をご検討の方は不登校起立性調節障害をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、子供について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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