心と自律神経を整える低血糖ケア

心と自律神経を整える低血糖ケア

結論:血糖値を安定させる食事と有酸素運動で血糖値を安定させるとメンタルと自律神経の調子が整いやすくなる。

私達の体はブドウ糖、脂質、タンパク質(アミノ酸)など様々な物質からエネルギーを得ることができます。

しかし、神経細胞はブドウ糖ケトン体(脂質)の二つしかエネルギーとして利用することができない細胞です。

ケトン体(脂質)は炭水化物(糖)が体に不足した状態のときのみ働く特殊な代謝系なので、普通の食事では実質的にブドウ糖しか神経細胞はエネルギーとして利用できません。

神経細胞は血中のブドウ糖(グルコース)にエネルギーを依存している

神経細胞は血中のブドウ糖(グルコース)にエネルギーを依存している

血糖が安定している(ブドウ糖が安定供給される)ことは、神経が正常に機能することで重要な条件になります。

神経細胞は細胞内にエネルギーを貯蔵しておくことが出来ない為、エネルギー供給を完全に血糖に頼っています。

その為、低血糖状態は神経細胞にダメージを与え、メンタルや自律神経の問題を抱える方は低血糖状態を作らないこと(低血糖ケア)がとても大切になります。

低血糖を防ぐシステムが現代では害になる

私たちの祖先は低血糖を防ぐシステムを進化させてきました。

血糖を下げるホルモンはインスリン一つしかないのに対して、血糖を上げて低血糖にならないように働くホルモンは成長ホルモン、副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)、副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)、甲状腺ホルモン、グルカゴン、ソマトスタチンなど実に多くの種類があります。

私達の身体は純度の低い炭水化物からエネルギーを摂取して、低血糖になりやすい環境に適応しています。

その為、現代のように白米やパン、砂糖などの精製技術が発達して、純度の高い精製された炭水化物を豊富に得られる環境に人体が適応できていません。

急激な血糖の上昇を起こすとインスリンが大量に分泌(インスリンスパーク)されることで、今度は大量に分泌されたインスリンの作用で血糖が急激に下がって低血糖を引き起こしてしまう現象を引き起こしてしまいます。

急激な血糖値の上昇は過剰に分泌されたインスリンにより低血糖を引き起こす

急激な血糖値の上昇は過剰に分泌されたインスリンにより低血糖を引き起こす

この血糖値の乱高下が血糖を不安定にします。

通常、炭水化物を摂取していれば低血糖は起こさないように体が調整するのですが、血糖値が上がりやすい生成された食べ物が日常的に食べられるようになったことで、不具合を起こしてしまいやすいのです。

神経は血糖にエネルギーを頼っている

神経細胞は細胞内にエネルギーを貯蔵できない細胞です。

筋肉は細胞内にエネルギーを貯蔵しているため、低血糖状態になっても貯蔵しているエネルギーを使って活動することができますが、神経細胞はエネルギーを貯蔵できないため血液中のブドウ糖にそのエネルギー供給を頼っています。

空腹(低血糖)になるとイライラするのは感情を抑制する神経が低血糖によりうまく機能しなくなることで起こる現象です。

神経細胞は血糖からエネルギーを供給し続けてもらっている

神経細胞は血糖からエネルギーを供給し続けてもらっている

脳は神経細胞の集合体なので、低血糖の悪影響を受け、脳が行っている自律神経の調節、感情の調節、思考、感覚器(視覚、聴覚、平衡感覚など)といった機能に問題が発生してきます。

低血糖は神経の働き全般に悪影響を与えてしまうので、低血糖を防ぐことがメンタルの安定、自律神経の安定には不可欠なのです。

低血糖を予防するには?

基本は3食の食事をバランスよく食べることです。

インターネットで特殊な食事法を見つけて実践する前に、小学校の家庭科の授業で習う基本的な食事を心がけましょう。

低血糖がひどい場合には食事の回数を増やしたり、こまめに血糖値の上がりにくい食品で補食していくことも効果的です。

基本の朝昼夕の3食は規則正しく食べましょう。

基本の朝昼夕の3食は規則正しく食べましょう。

急激な血糖の上昇を避けましょう

急激に血糖値が上昇すると、その血糖値を下げるために、インスリンが大量に分泌されます。その結果インスリンの作用により低血糖が引き起こされるのが、現代の低血糖です。

いわゆる低GI食品低GL食品という血糖値が上がりにくい食べ物を主食として選ぶようにしましょう。

過度な糖質制限はやめましょう

ダイエットを目的に糖質制限をされる方が増えましたが、不十分な知識から安易に糖質制限を行うことで低血糖を引き起こしてしまい、神経にダメージを与えてしまっているケースが見受けられます。

炭水化物をエネルギーとして使わない代謝は脂質をエネルギーとして代用する脂質代謝を行う必要がありますが、ビタミンなどの消費も激しい為、素人が行えるほど食事管理が簡単なものではありません。

安易に糖質制限を行うことで低血糖を招きやすくなります。

オートファジーを狙った断食もお勧めできません

オートファジーを狙った断食や1日1食を行うと、古くなったタンパク質が分解されて調子が良くなる。

サーチュイン遺伝子が動き出して老化を防止してくれるという研究がなされていますので、体調不良で悩まれている方は取り組まれた方もいらっしゃるかもしれません。

元々食べすぎの肥満の方であれば、体に蓄えているエネルギーを放出させるということでこういった食事を減らす健康法は行うことに一定の意味があるのですが、もともと痩せ気味の方(BMIが22よりも低い方)は飢餓状態になり、単純に体に悪いことも多いです。

食事をとらないと体調が良くなるのは消化吸収に使うエネルギーを他の活動に振り分けることができる為、体調が良いと感じます。

メンタルや自律神経の問題を抱えている方は避けた方が良い健康法です。

食事は生活リズムを作る大切な要素

食事による血糖値の上昇は末梢時計(体内時計)の調節に関与している為、毎日規則正しい時間に食事を食べることで血糖値が安定しやすくなります。

朝食を抜いたり、仕事が忙しいなどで食事の時間が安定しないことで、次の食事までにエネルギーを使いきってしまい低血糖を引き起こしやすくなります。

有酸素運動は血糖値を安定させる作用があります

運動不足はエネルギー代謝を悪くさせてしまうことから、血糖のコントロール機能が低下してしまいやすくなります。

有酸素運動を行うと血糖値を安定させる作用があることがわかっているので、意識的に散歩を行うことがとても大切です。

心理社会的ストレスは血糖値を乱します

人間の体は心理社会的ストレスを受けると、血糖を上げてストレスに抵抗しようとする反応が出ます。(ストレス反応)

このストレス反応は捕食動物がそばにいるときに素早く戦うか逃げるかを行う為に発達したシステムで、ストレスを受けた後には戦うか逃げるかでエネルギーを消費することになるのですが、現代のストレスは戦うか逃げるかでエネルギーを消費することがないストレスがほとんどです。

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その為、ストレスによって血糖に乱れだけが発生し、本来は戦うか逃げるかで消費される予定だった血糖を再び下げるためにインスリンが分泌されて低血糖状態を引き起こしやすくなってしまうのです。

ストレスから糖尿病になる方もいるので食事と同じぐらい心理社会的ストレスには注意が必要です。

睡眠不足は血糖値を乱します

睡眠不足になると摂取カロリーが増大することが知られており、血糖値を上昇させるコルチゾールの分泌も増える為、十分な睡眠はとても大切です。

睡眠不足は生物的ストレスを与えることで血糖値を乱す原因となりますので、注意しましょう。

血糖コントロールの遺伝的要因

血糖のコントロールが上手な人、苦手な人というのは遺伝子である程度決まっています。

精製度の高い穀物を沢山食べても、特に問題ない人もいれば、砂糖を少し食べるだけで血糖が乱れて体調不良が出やすい方まで様々です。

遺伝的に血糖のコントロール能力が高い方は低血糖ケアが必要なものではありません。

まとめ

血糖値が安定すると神経系が正常に機能しやすくなる為、メンタルが安定したり、自律神経が整いやすくなります。

血糖値が不安定になる原因は、純度の高い炭水化物の食事、不規則な生活リズム、運動不足、睡眠不足、心理社会的ストレスなどが原因となります。

食事・睡眠・運動とストレス管理を行うことが血糖値を安定させる低血糖ケアになります。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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