嫉妬が止まらない…パートナーを疑ってしまうオセロ症候群の原因と改善法
結論:嫉妬妄想と現実を見分ける認知行動療法やACTを行っていきましょう
※妄想性パーソナリティ障害・妄想性障害ではないということが前提の方向けの記事です。
パートナーに浮気をされたくないというのは自然な感情です。しかし、浮気されるのではないか?と病的なまでに疑ってしまうようになった状態をオセロ症候群といいます。
オセロ症候群によるパートナーが浮気するのではないか、自分は捨てられるのではないかという不安は妄想によるものです。
不安感を解消するために、パートナーを縛り付けたり、パートナーに頻回の連絡を要求する、位置情報を共有させるなど行き過ぎた管理を行ってしまうと、より不安感が増していきます。
これは不安を主体とする疾患すべてに共通することですが、不安だと感じた出来事から逃げる(不安を解消する)行動をとると、その場の不安は鎮まるもののそのあとにさらに強い不安感に襲われるようになります。
相手の行動を監視したり、制限することで、どんどん不安感が強くなり、さらに相手に強い行動制限をかけていってしまい、その不安感から抜け出すことが出来なくなってしまいます。
ひどくなれば仕事に行くことすら、不安だからやめて欲しいと感じるようになってしまいます。
そこまで制限をするようになってしまうとパートナーも人間ですから、精神的に疲弊してしまいますし、関係性そのものが破綻してしまいます。
そうならないためにも、嫉妬が強い場合にはなるべく早い段階から認知行動療法やACTを行っていき、自分が抱いている嫉妬妄想と現実をしっかりと見分けられるように訓練することが必要となります。
オセロ症候群になってしまう原因
オセロ症候群を発症してしまうきっかけが明確に存在する場合もありますが、多くのケースで「些細な浮気されるかもという不安」を取り除こうとしたことがオセロ症候群を引き起こしていく原因となります。
過去に浮気をされた経験
過去にパートナーに浮気をされて深く傷ついた経験があるとパートナーに対して疑り深くなってしまうのは当然です。
心理的に深く傷つけば傷つくほど、同じような辛い思いはしたくない為、疑り深くなってしまうのは人間として正常な反応です。
しかし、「過去に浮気をされた→これからも浮気をされる」というのは思考が飛躍しすぎてしまっています。この状態を認知が歪んでいるといいます。
過去にパートナーに浮気されたことで、認知が歪んでしまったのです。
認知の歪みの修正を行うには、まずはどう自分が考えているのか?自分の思考のプロセスと向き合うことが大切です。
パートナーが浮気するのではないか?と強く感じる時に、何が起こりそうと自分の頭の中で想像しているのかを具体的に言語化してみましょう。
また、実際にパートナーが浮気したことがあり、別れずに関係性は修復したもののパートナー側が過去に自分が行った裏切り行為に反省して、不安を与えるような行動をすべてをやめようとあなたの言いなりになる場合があります。
パートナーとしては失った信頼を取り戻そうと、誠実さが伝わるように一生懸命なのですが、あなたがパートナーの行動を容易に支配できる状況を作り出すことにもなる為、あなたの不安行動がどんどんエスカレートし、不安感も強くなっていってしまいます。
親に不安定な愛情を与えられて育った
子供時代に安定した愛情を与えられずに育った方は、愛着の形成不全を起こし、他人を信頼することが出来なくなります。
その結果、大人になってからも信頼関係を築くことが苦手になります。
基本的には特定のパートナー関係に限らず、友人関係などでも常に見捨てられるのではないか?という不安を感じやすい為、おためし行動(自分のことを見捨てないか相手に過度な要求をする)をとったり、突然ラインをブロックしたりなど、行動が極端です。
俗にいうメンヘラ気質といわれる方ですが、パートナーの自分への注目度が下がっていると感じると極端に不安になってしまいます。
他人を信頼することが出来ないため、パートナーが自分をいつか嫌いになるのではないか、浮気するのではないか、見捨てるのではないか?と不安な感情を抱きながら生活しています。
その不安感を払しょくするために、パートナーに頻繁な連絡を強要したり、位置情報を共有させたり、外出を制限したりといった不安解消行動をしてしまいます。
そして、その行動を繰り返しているうちにさらに不安が強くなりオセロ症候群を発症します。
こういった方の場合には、自分の愛着形成と向き合って改善していくことも並行していく必要があります。
オセロ症候群の改善法
認知行動療法やACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)が代表的な改善法となります。
認知行動療法とは
自分がどういう思考プロセスで不安になっているのかを客観視するトレーニングです。
不安感に支配されていて客観的な事実と妄想を切り分けるのが、自分一人で行うことが難しいことが多いので、最初のうちは専門家に感情をなだめてもらいながら、認知行動療法を行っていきます。
認知行動療法によって自分の思考の中で発生した思考プロセス(妄想)を分けて考える練習を何度もしていくと、現実を客観的にとらえる脳の神経回路が出来上がっていきます。
愛着形成に問題がありオセロ症候群になってしまっている場合には、過去の自分の経験を専門家と一緒に振り返り、辛かった感情を処理することが必要になります。
過去の振り返りを行い自己理解が進むことで、不安な感情がわきずらくなっていきます。
自分で行う簡単な認知行動療法(CBT)の方法
認知行動療法(CBT)は専門家と一緒に行うことでより効果が出やすいですが、自分一人でも行うことが可能です。
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)という第二世代のCBTも組み合わせるとより効果的ですが、ここではシンプルなCBT(第一世代)のやり方についてお伝えします。
自分で行える簡単なCBTの5ステップのやり方
1.パートナーが浮気するかも?と思った行動や発言、状況を書き出す。(例:一人で外出すると言った。)
2.その時の感情を書き出す。(例:不安になった、自分から離れていくような感覚)
3.その感情になった際にどのようなことを頭の中で考えたのかを書き出す。(例:一人で外出するのは何かやましいことがあるからではないか?)
4.頭の中で考えた内容を1.の情報の中から証明する証拠を書き出す。
5.証拠がないことを理解し、他の可能性について書き出す。
まとめ
パートナーが浮気をしているのではないか?と嫉妬妄想が拡がってしまい過度な束縛をしてしまう状態をオセロ症候群といいます。
浮気をされるのではないか?という妄想と現実の区別がつきにくくなってしまい、強い不安感を抱くことで束縛行動をとり、束縛行動をとることでより不安感が強くなるという悪循環によって形成されていきます。
あまりにも束縛がひどくなると、関係性が破綻してしまう危険がある為、なるべく早い段階から認知行動療法・ACTなどの心理療法で対策を行うことが大切です。
嫉妬妄想が拡がってしまう原因は、過去に浮気されたことが心の傷になっている場合や親子関係に問題があり、愛着形成の問題から見捨てられ不安が基盤になっていることがあります。
オセロ症候群の改善は、認知行動療法・ACTが有効な方法になりますが、愛着形成に問題がある場合には、過去の自分の感情を処理することで不安感情が改善してくることがあります。
専門家と一緒に改善に取り組むことが大切ですが、自分でも紙に書き出すことで簡単なCBTを実践していくことは出来るので、軽度の方は是非実践してみましょう。
当院での改善をご検討の方はオセロ症候群をご覧ください。
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