ブログをご覧頂きありがとうございます。浜松市はりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。
夏場は食欲が低下して、軽くさっぱりしたものが食べたくなるのは経験的にはわかっていても、なぜ暑くなると食欲不振になるのかをご存じない方も多いのではないでしょうか?
夏場に食欲が低下する医学(生理学)的な理由を理解して、対策をとると夏場でもそれほど強い食欲低下を起こさずに美味しくご飯を食べることが可能です。
夏場の食欲不振を放置すると、栄養不足から秋以降になっても何となく体調不良を引きずることになりますので、今のうちからしっかり対策をとっておきましょう。今回は夏に暑さで食欲がなくなる理由とその対策について、身体の仕組みを理解してその対策も一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までお読みください。
結論:胃腸への血流が低下し、冷たいもので胃腸の動きをさらに悪くしてしまっている
食欲低下の主な原因は胃腸への血流低下により、胃腸の動きが悪くなってしまうことが原因となります。
私達の身体はすべての臓器が同時に全力で動けるようには出来ていません。
時間帯や外界の状況に合わせてどの臓器に血液を集中させて活動し、どの臓器への血液の供給を低下させて節約を行うのかを自律的に判断し、命令を出してコントロールしています。
その血液の集中と節約の判断と実際の命令を行っているのが自律神経系です。
例えば長距離走の直後は食欲が低下しますが、これは長距離を走っている最中には筋肉への血流を増加させている為、胃腸などへの血液の供給が低下する為走るのをやめてから筋肉への血流供給が低下して胃腸への血流供給が再開されるまで胃腸が動ける状態ではなくなる為です。
夏の暑さが続くと食欲が低下する理由は、この状態とかなり近い状態で暑さによって胃腸への血液の供給が低下することで食欲がなくなってしまいます。
また、熱中症予防のために大量の冷たい水分を摂取したり、暑いためアイスやかき氷など極端に温度の低い食べ物やそーめんやそば、うどん、冷やし中華など冷たい食べ物を多く食べることで、胃腸そのものが物理的に冷やされてしまうことも悪影響を与えています。
体温を下げる為に胃への血流量が低下する
体温が高くなると身体は皮膚表面への血流を増大させて皮膚表面から放散によって熱を体の外へと逃がして体温を下げようとします。
また、血液中の水分を汗として汗腺から発汗させることで気化熱によっても体温を下げようとするため、たくさんの血液が皮膚表面に集中するように自律神経が働きます。
暑いと食欲低下の他にも、集中力がなくなり、だるくてやる気がなくなるなどの身体症状を感じる方も多いと思いますが、血液が皮膚表面へ集中して放散や気化による放熱の為に利用されるため、脳や胃腸、筋肉への血流が低下します。
その結果、活動する為の酸素やエネルギーの供給が低下して、あまり活動したくなくなる(活動できなくなる)のです。
胃腸だけで見れば運動中と同じように血液の供給が低下する為、食欲不振という形で現れます。
暑い環境にいて食欲がないというのは普通なので、食欲がなくても良い時間帯は暑い場所にいても良いですが、食事の数時間前からはある程度、エアコンなどで気温が低い場所で過ごして体温を下げてあげると胃への血流が戻って、食欲を感じやすくなります。
涼しいエアコンの効いた部屋にいるのに食欲が出ない理由
原理的に言えば涼しいエアコンの効いた部屋にいれば、体温を下げる為に皮膚表面へ血液が集中させる必要がないので、胃腸への血流低下を予防することが出来ます。
しかし、夏場は熱中症予防として多くの冷たい水分などを摂取することが増える為、エアコンの効いた部屋にいても胃への血流が戻らなくなってしまう場合があります。
東洋医学では生冷の過食(せいれいのかしょく)による直中(じきちゅう)といって、寒邪(かんじゃ:冷えのこと)が直接胃腸を傷める(機能を低下させる)行為だとされています。
簡単に言えば、冷たい飲み物やアイス、そーめん、そばなど、冷やし○○といった冷たいものや生の食べ物を多く食べてしまうと、胃腸が直接冷やされてしまい、その結果として胃の血管が冷たさで収縮してしまいます。
胃の血管が収縮してしまうと、涼しいエアコンのヘアにいて体温を下げる為に皮膚表面へ血液を集中させる必要がなくなったとしても、胃腸の血管が冷たいものの摂りすぎで収縮しているという別の理由で血液が胃腸へ送れなくなってしまいます。
その結果、エアコンの効いた部屋にいても食欲が低下した状態が継続してしまうのです。
食欲が出ない為、食事量が減ったり、食べても胃腸への血流が低いため消化吸収が十分にできず、だるい、何となく体調不良といった栄養失調とエネルギー不足による夏バテ症状が出てきます。
この状態が長く継続すると、自律神経が活動する為に必要なエネルギーや栄養素も枯渇してきてしまう為、秋から冬にかけてひどい自律神経症状が出てくることになります。
胃腸への血流を下げない為に必要な事
胃腸への血流を下げ過ぎない為の基本は予防が一番大切です。
熱中症を予防する必要があるのでエアコンを使用することは大切ですが、部屋を冷やしすぎて体全体を冷やしすぎないようにして温かい血液が胃腸へ回るようにすることとも大切です。
食事や水分補給では、なるべく常温~温かいものを食べる用にしましょう。
冷たい食べ物ばかり食べない、冷たい飲み物ばかりをがぶがぶ飲まない、アイスやかき氷など凍っているものは控えめにする。
どうしても冷たいものを食べたい場合には、食べる前に温かいお湯やお茶などを飲んで胃腸内の温度を上げてクッションを作ってから、冷たいものを食べ、食べ終わってからまた温かいお湯やお茶などで胃腸内の温度が下がりすぎないようにするといった感じで胃腸の温度を冷やさないための工夫が必要です。
既に食欲が低下してしまっている場合には?
既に食欲が低下してしまっている場合には、冷たいものの摂り過ぎで胃腸の血管が収縮した状態が常態化してしまっている可能性があります。
セルフケアとしてできることは、意識的に温かい食べ物の飲み物で胃腸を温めること、お腹を湯たんぽなどで温めるなどを行ってみましょう。
また、運動をして一時的に体温を上げて胃腸が動きやすい温度まで体温を上げることも有効です。(熱中症に注意して冷たいものを飲みすぎないことが大切です。)
それでも食欲が戻ってこないとなると、胃腸の血管がかなり収縮してしまって胃腸自体も収縮してしまっている為、鍼灸や整体による内臓へのアプローチが必要になってしまいます。
内臓アプローチによって胃腸の血管を物理的に拡張させるように刺激を行うことで、胃腸への血流が改善し、再び食欲が出てくるようになります。
食欲が戻って安定しても今シーズンは冷たいものを食べたり飲んだりということは基本的に避けた方が無難ですので、食欲が戻っても冷たいものをまた食べてよいわけではないので注意してください。
まとめ
暑くなると食欲がなくなる原因は体温を下げる為に、皮膚表面に血液が集まることで胃腸への血流量が減ってしまい、胃腸の活動が低下した結果食欲がなくなりやすくなります。
原理的にはエアコンの効いた部屋にいれば胃への血流量は低下しずらいため、暑さで食欲不振になっている場合には食事の2時間ぐらい前からエアコンの効いた部屋で体温を下げておくと食欲が出てくることがあります。
熱中症予防の為の水分補給や暑くて冷たいものを食べすぎてしまうと、胃腸そのものが直接冷やされてしまい、その結果胃腸の血管が収縮して胃腸への血流量があげたくても上げられなくなってしまいます。
軽度であれば、温かいものや常温の食べ物を食べるようにしたり、湯たんぽでお腹を温める、運動して体温を上げるなどのセルフケアで胃腸の温度が上がるだけで胃腸への血流が戻る場合があります。
そういったことを行っても食欲が戻ってこない場合には、鍼灸や整体で胃腸刺激をして改善することも検討してみてください。
胃腸への血流低下は体にとって必要な栄養素の消化・吸収を妨げてしまう為、夏バテや秋や冬になってから体調不良が出てきてしまうことがあります。
また、胃への血流低下がひどくなると機能性ディスペプシアが引き起こされることもあるので注意が必要です。
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