機能性ディスペプシアで背中が痛い理由と治し方

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

機能性ディスペプシア(以下:FD)で悩まれる方が胃の不調以外にもよく訴えられる悩みが背中の痛みです。特に肩甲骨周辺の背部痛であることが多いです。

今回はFDになると背中の痛みが出てくる原因と治すために必要な事について、一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までご一読ください。

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結論:胃の不調が神経を介して背中の筋肉を収縮させる

FDは、胃炎などの所見が特に何もないのにも関わらず、胃もたれ感、胃の張り、胃痛、胃の不快感、胃がひりひりする、すぐにお腹いっぱいになってしまって食べることが出来ないなどの症状に悩まされる疾患です。

アコチアミド(アコファイド®)という薬が、FDの治療薬として用いられていますが、簡単に言うと胃の動きを活発にさせるお薬です。

FDはすべての原因・病態が特定されているわけではありませんが、胃腸炎などをきっかけに胃の動きが悪くなり、その状態が持続してしまっている考えられています。

胃の不調は脳へ情報が送られるようになっています。胃に張り巡らされてた神経→脊髄→脳という順番で情報が伝えられます。

その時に神経が脊髄を通る為、胃を支配している脊髄と同じ神経に支配されている背中側の筋肉に収縮(緊張させてこりが発生する)するように、指令が行ってしまうことで背中の痛みが発生すると考えることが出来ます。

医学的には内臓体性反射による背部痛

内臓の不調が筋肉に現れることは、医学的に内臓体性反射と呼ばれます。

内臓からの信号が筋肉や皮膚などの体表部に影響を及ぼすという神経反射で、FDによる胃の痛みや不快感は神経を通じて脳に伝わりますが、その途中で皮膚や神経に悪影響があることがあるのが内臓体性反射です。

有名なのが、心筋梗塞など前兆として心臓の痛みではなく、肩や歯痛として痛みを感じて病院を受診し、血液検査で心臓の検査をしたら心筋梗塞が見つかったなどがよく臨床で知られています。

これと同じように、FDでも胃の不調が神経経路を通じて背中の筋肉に影響を及ぼし、それが背中の痛みとして現れます。

胃の位置は腰椎の高さなのですが、胃を支配している神経は胸椎(背中)の間から出てくる神経によって支配されています。

つまり、背中の痛みは胃を支配している神経と同じところから分岐している筋肉の支配神経領域に悪影響を与えています。それが背中の痛みを引き起こしているというわけです。

原理的には胃の調子が良くなってくれば、背中の痛みも改善してくるのですがそうはならないところにFDの難しさがあります。

背中の痛みと胃の不快感が負のループを形成する

通常の内臓体性反射は原因となっている内臓の不調を取り除くと自然に消失することが知られています。

先ほどの例で上げた心筋梗塞の例でいえば、心筋梗塞の治療を無事に終えれば肩の痛みや歯痛は自然に消失します。

しかし、FDの場合は自律神経が関係してきてしまう疾患の為、一筋縄ではいかない部分があります。

その理由は背中の痛みがストレスとなり、そのストレスが自律神経に悪影響を与え、自律神経が胃の動きを抑制するように働く為、FDの症状を悪化させてしまうのです。

そして、FDの状態が背中の筋肉に反射として伝わる為、背中の痛みがさらに出やすくなり、そのストレスが・・という具合に負のループを形成してしまいやすいのです。

そうなってしまうと、FD自体の改善が難しいだけでなく、背中の痛みも改善が難しくなってきてしまいます。

時間が経過したものは、FDと背中の痛みに同時にアプローチが必要な事が多い

前述した負のループが完全に形成される前にFDを改善してしまうことが出来れば、内臓体性反射で一時的に筋肉が収縮しているだけなので、運動をして伸ばしてあげる程度で背中の痛みは自然に改善していくことも期待できます。

しかし、時間がある程度経過してしまうと、収縮した状態で筋肉が長い時間いたことになります。

筋肉が収縮した状態が継続するとその筋肉への血流が低下し、発痛物質や疲労物質などが蓄積してしまいます。

そうなると、仮にFDが改善できたとしても、背中の痛みが残りしばらくすると背中の痛みのストレスから胃の動きを抑制するよう自律神経が働く為、FDが再発してくるといったいたちごっこが始まってしまいます。

その為、FDと背中の痛みどちらか一方だけを治療するのではなく、両方の症状に対して同時にアプローチすることが重要となります。

FD→背中の痛み→FD→背中の痛み・・∞と、このような負のスパイラルを解消するためには、FDと背中の痛みの関係性を理解してアプローチしていくことが大切になります。

病院では改善するのが難しい?

原理的に言えば消化器内科の医師と整形外科の医師が連携した治療が必要になってきます。

しかし、一般的な病院ではFDに関しては消化器内科医が治療を担当してくれますが、背中の痛みに関しては整形外科を受診するように促されます。

整形外科ではFDからの内臓体性反射による背中の痛みと診断されることはほぼない為、痛みを緩和するために、胃に負担をかける鎮痛剤が処方されるという、FDの改善を邪魔してしまうような治療を受けることになってしまうこともあります。

患者さんが自分の判断で、消化器内科と整形外科を適切なタイミングで受診して、鎮痛剤での治療を拒否して、理学療法を中心とした物理療法を受ける必要があります。

病院では消化器内科で物理療法をするという仕組みはない為、同時に両方へアプローチするということが、難しいことが多く、背中の痛みを伴うFDが病院でなかなか改善しない理由もこういった理由からだと考えることが出来ます。

内臓と筋肉両方へアプローチ出来る先生を探す

鍼灸をはじめとした東洋医学では、五臓六腑(内臓)の不調が身体の痛みを引き起こすという考え方を中心にしている為、病院を受診するよりはFDと背部痛の因果関係を考えた対応をしてくれる可能性が高いです。

しかし、FD自体が比較的新しい概念の為、実際にFDの改善経験がない先生が多いのも事実です。

自律神経の問題を中心に扱っている先生であれば、比較的扱っている可能性が高いので、自律神経の疾患に強い先生を探されるのが良いと思います。

FDに関しては自律神経が主体であれば整体で対応が可能なものもありますが、胃腸そのものがこり固まってしまっている場合や筋肉そのもののこりが強い場合には、はりで直接患部の血流をピンポイントで改善してしまう方が効果的な場合もあるので、アプローチとして鍼灸も行える先生がより良い場合があります。

※あなたの身体の状態によって適切なアプローチ法が異なってくる為、整体の先生がダメだという意味ではありません。

まとめ

機能性ディスペプシアで背中が痛む理由は、内臓体性神経反射という身体が持っているシステムにより、胃の不調が神経を介して背中の筋肉を収縮させることで発生してきます。

機能性ディスペプシアを早期に改善出来れば、背中の痛みも自然に改善してくることが期待できます。

背中の痛みが出てきてから、ある程度時間が経過してしまった場合には、消化器内科的なアプローチと整形外科的なアプローチの両方を組み合わせる必要が出てきてしまいます。

現状の病院の仕組みでは両方のアプローチを組み合わせることが難しい仕組みになっています。

背中の痛みを伴う機能性ディスペプシアは、あなたの身体の状態にもよりますが、自律神経疾患を扱っている鍼灸師を探されると改善する可能性が高いです。

当院での改善を希望される方は、機能性ディスペプシアをご覧ください。

遠方で当院への来院が難しいけれど、心身の問題について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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