規則正しい生活をしても自律神経が整わない理由

こんにちは、心身堂鍼灸院の佐野です。今回は自律神経の乱れを整えるために規則正しい生活をしているのにあまり効果を実感できない方に向けた記事です。

自律神経が乱れることと体内時計が乱れることは何となく同じことのように感じますが、この記事を読むことでその違いが明確に分かるようになります。ぜひ最後までお読みください。

結論:自律神経は体内時計に従って活動をするので、体内時計が乱れた状態で自律神経だけ整える事は難しい。

体内時計と聞くと、何となく自律神経の一部のようなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか?

確かに自律神経と体内時計には密接な関係がありますが、自律神経の中枢があるのは視床下部や脳幹、脊髄です。

一方体内時計の方は、視交叉上核と呼ばれる部位に最も重要な時計があり、その時計に同期させることで身体中の細胞が時間を知る仕組みになっています。

自律神経の反応は体内時計の中枢の働きによって時間を知って、それに合わせて全身に交感神経・副交感神経を通じて、活動的にさせたり、休息モードにしたり、といった命令を全身に送るようにできています。

体内時計は遺伝子時計

私達の体内時計は遺伝子の働きによって支えられています。

体内時計にかかわる遺伝子がいくつか見つかっており、その遺伝子が働かなくなると、体内時計が維持できなくなることが知られています。

簡単な仕組みとしては、遺伝子から特定の時計タンパク質を製造し、その量が一定量以上になると、今度は時計タンパク質の製造量を減らすようになります。

時計タンパク質の製造量が減った状態で、徐々に時計タンパク質が分解されると再び時計タンパク質の製造が再開されるといった具合です。

タンパク質の製造増加→タンパク質の製造低下→タンパク質の分解→タンパク質低下→タンパク質の製造増加

っといったループによって、体内時計を調整しています。

面白いことにこの機能はショウジョウバエなどと同じシステムを私達人間も使っています。

つまり、進化的にかなり古い遺伝子であると考えられているのです。

自律神経は体内時計に従って活動する

基本的に自律神経は体内時計に合わせて活動します。

朝方から昼にかけて活動的になり、昼から夕方にかけて活動し、夕方ぐらいから徐々に活動量が落ち、夜になったらエネルギー生産量を減らして、睡眠によって回復モードに入るといった感じです。

時計に従った動きをしているので、時計がずれていると自律神経自体は正常に動いていても、昼間に休眠モードに入ってしまったり、逆に夜に活動的になったりといった時間的なずれが生じてきます。

体内時計がずれた状態で、朝起きて夜寝る生活を送ろうとすると、自律神経自体は正常でも生活しずらいという状態になります。

体内時計が乱れているだけで、自律神経は乱れていないという状態が原理的にはあります。

体内時計は正常でも、自律神経が乱れた状態とは?

体内時計が正常に動いているにもかかわらず、自律神経が乱れている状態というのは、生活のリズム的には問題がないけれど、思ったように体調がすぐれないといった状態です。

例えば、朝起きてお腹が減って朝食を食べたいけれど、食べられない。

朝の決まった時間に目は覚めるけれど、体がだるくて動くことができない。

夜眠くなってくるが、寝付くことができない。

といった感じで、時間がくると正常な反応を一部するものの、自律神経の不具合によって体調不良が起こってしまう状態です。

混合型は体内時計・自律神経を同時にケアする必要がある

自律神経が乱れる事と体内時計が乱れる事が何となく同じことだと考えてしまうのは、ほとんどの方が最終的に体内時計の乱れ・自律神経の乱れが混合したような状態になるからです。

その為、体内時計を整える為のケアと自律神経を整える為のケアを同時に行わないと症状の改善には結びついてきません。

自律神経を整える目的で、規則正しい生活をすることはとても重要です。

規則正しい生活を継続することで体内時計が正常に戻ってきて、その結果正しいタイミングで自律神経が反応するようになるからです。

しかし、タイミングがそろっていても自律神経の反応が正常に行われない場合には規則正しい生活だけでは改善が難しい状態になります。

自律神経の機能を取り戻す為に、時間を意識した自律神経のケアが必要になってきます。

時間を意識した自律神経のケアとは?

自律神経のケアは例えば、リラックスする音楽を聴いたり、ストレッチをする。

運動をする。適切な食事をとるといったことになりますが、いつやっても同じ効果があるわけではありません。

活動的な時間にはより活動的なことをするといったことの方が適切ですし、夜など副交感神経が優位になる時間にリラックスしやすいケアを行うことが大切です。

昼間は光を十分に浴びながら、身体的ストレス(運動)をかけて交感神経をしっかりと刺激し、夕方から夜にかけては光を避けて、身体ストレスを減らしてリラックスするような活動(ストレッチ、呼吸法、適温での入浴)をします。

また、食事も一日の必要摂取カロリーが極端に少ないなどでなければ、朝、昼に多く、夕食は少なめ~普通に食べることが望ましいです。

また、長期的なストレスは自律神経にとっては大敵になりますので、ストレス管理をしっかりと行い、特に夕方~夜にかけては副交感神経を優位にしたいのでストレスからは完全に離れることが大切です。

体内時計が正常に動いているなら、昼と夜のメリハリをつけていくことが自律神経を整えていくうえで重要です。

鍼灸や整体はなぜ行うのか?

鍼灸や整体が必要になる場合は、身体の筋肉が硬くなっていたり、内臓(胃腸)が硬くなっている場合には、物理的に一度緩めることで、夜にリラックスモードに入りやすくする目的です。

身体や内臓の血流が悪くなると、昼夜問わずある程度の緊張状態(交感神経優位)が持続してしまう為、昼間は問題にならなくても夜に十分な副交感神経優位の状態が作り出せなくなってしまいます。

自律神経を回復させるためには、夜にリラックスできるベースの状態を作っておくことが重要なのです。

まとめ

自律神経の乱れを整えようと努力していても、思うような効果が得られないと感じている方は、もしかすると体内時計を整える事しかしていないのかもしれません。

自律神経は体内時計のリズムに従って働いているため、まずはその土台となる体内時計を正常に整えることはとても大切です。

しかし、それだけでは不十分な場合には整ったリズムの中で、自律神経が正しく反応できるように、時間帯に合ったケアを行うことが必要です。

朝や昼は活動的に、夕方以降はリラックスを意識し、生活にメリハリをつけることで、自律神経は本来の働きを取り戻していきます。

鍼灸や整体などもそのサポートとして有効ですので、必要に応じて取り入れてみてください。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、カウンセリングを受けたいという方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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自律神経失調症
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