再発を繰り返すと治らなくなるのはなぜか?

再発を繰り返すと治らなくなるのはなぜか?

結論:治るとは細胞分裂によっておこる現象であり、細胞分裂できる回数には上限があるから

自律神経失調症、うつ病、不安障害(パニック障害)は再発を繰り返すたびに、さらに再発しやすくなり、治りにくくなることが知られています。

元々私たちの体を構成する細胞は、多くの臓器で代謝により細胞が新たに生まれて置き換わっています。

病気が治る過程では、新たに生まれた細胞が[破壊されたり、不具合を起こしている細胞]と置き換わることで、治るという現象が起こります。

通常は医学的な介入を行わなくても、しばらく休養を取ることで細胞の置き換わりが起こり治りますが、細胞の置き換わりがスムーズにいかなくなってしまった際に置き換わりを手助けする医学的な介入が必要になります。

自律神経やメンタル疾患も細胞レベルで見ると神経細胞が破壊されたり、細胞が不具合を起こした状態になることで引き起こされる疾患のため、新たに生まれた神経細胞が置き換わる(または配線を変える)ことで治癒が起こると考えられています。

細胞分裂により生まれた新しい神経細胞で置き換える必要がありますが、細胞が新たに生まれる回数には上限があり、その回数を超えてしまうと、新しい神経細胞が不足する為、治りにくくなったり、治らなくなるといった状態になります。

細胞が新たに生まれる為の回数券

私達の体は元々はたった1個の受精卵が細胞分裂を繰り返すことで作られています。

細胞が分裂できる回数は遺伝子の端に回数券(テロメア)が付いており、回数券が無くなると細胞分裂が行えなくなります。

例えば、老化によって皺が目立つようになってくるのは、皮膚の細胞分裂の回数が上限に達することで、寿命により死んだ肌の細胞の隙間を埋められなくなり、肌の細胞と細胞の間に空間ができてしまうことが原因です。

一部全く細胞分裂をしない細胞を除いて、多くの細胞が代謝によって細胞分裂を繰り返して生まれ変わっています。(心臓や腎臓などは全く再生しない臓器です。)

細胞が破壊されたり、不具合を起こした細胞を置き換える際(治癒)には、その細胞の代わりとなる細胞が細胞分裂により生まれる必要があり、回数券を老化とは別に多めに消費することになります。

「治りますか?」と聞かれても、お答えできないのは全く同じ症状でも細胞分裂の回数券の残りがどれくらいあるのか?によって同じ施術をしても効果が異なる為です。

若いほどの回数券の残りは多い傾向にはありますが、若いから必ず症状を引き起こしている細胞の置き換えに使える細胞の回数券が残っているわけではありません。

回数券はストレスを受けていると減少が早いことがわかっており、実年齢よりもはるかに早い速度で回数券が消費されている場合があります。

細胞の回数券は回復するのか?

細胞の回数券はテロメアーゼという酵素により修復される(回数券が増える)ことがわかっています。

マウス実験でテロメアーゼの働きを止めたマウスは非常に早く老化が進んでいくことが証明されています。

また、がん細胞ではテロメアーゼが過剰に活性化することで、細胞分裂が際限なく起こり、がん細胞が増殖し続けることがわかっています。

がんほどの過剰なテロメアーゼの活性ではなく、テロメアーゼを適度に活性化させる可能性についてはいくつか報告がありますが、老化をゆっくりさせることはできても、止めたり、元に戻すほどの効果は今のところ確認されていません。(元に戻す方法が見つかれば不老不死の身体を手に入れられるということです。)

現段階では回数券の消費を極力抑えた生活をすることが最も効果的ということです。

再発を繰り返すと細胞の分裂回数が上限に達してしまう

年齢が上がると傷がなかなか治らなくなると言われますが、これは傷ついた細胞を置き換える為の細胞分裂を行える回数券の残った細胞の数が減る為です。

自律神経・メンタル疾患も神経細胞がダメージを受けて、それを修復のために細胞が分裂して治したにもかかわらず、再度ダメージを受けて再発を繰り返していると、細胞の分裂回数が上限に達してしまい、修復に使える細胞分裂を行うことができる細胞が少なくなっていきます。

強いストレスをかけていてもすぐに症状が出ませんが、一度発症した時はすでにかなり細胞分裂可能な回数が削られて無くなっている状態です。

1回目の発症の際はうまく立て治すことが多いですが、治癒に多くの回数券を使用している為、2回目以降は、どんどん治りにくくなっていきます。

また、子供の時から家庭環境が悪い中で育ってきた方はストレスを受けた状態を長期間継続している為、20代など若くても回数券の残数が少なく、初回の発症でも治りにくい傾向があります。

まとめ

再発を繰り返すと治りにくくなってしまう原因は、自律神経やメンタル疾患も本質的には神経細胞の物理的損傷が発生しているためです。

神経細胞も細胞分裂により再生することができますが、細胞分裂には分裂できる回数に上限があり、上限を超えると細胞分裂をおこなって損傷した細胞を置き換えて修復することができなくなってしまいます。

細胞分裂の回数券の回数が少ないほど治りにくくなります。

一度自律神経・メンタル疾患になってしまうと、治る際に多くの細胞の回数券を消費しているため、再発した際には治りにくかったり、治らなかったりといった問題が生じます。

今のところ、細胞分裂の回数上限をコントロールする方法はわかっていないため、無駄に回数券を消費しないことが大切になります。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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