パニック障害・うつ病・自律神経失調症が軽度でも何年も苦しむ理由

パニック障害・うつ病・自律神経失調症が軽度でも何年も苦しむ理由

結論:症状による認知機能低下から、本人が適切な判断ができずに、重症化させてしまう。

軽度のパニック障害、うつ病、自律神経失調症は適切な対処をすれば3ヶ月程度で改善していくことがほとんどです。

しかし、軽度な状態からちょっとした判断を誤ることで重症化させてしまい、結果的に何年も苦しむことになる方が少なくありません。

自律神経の絡む疾患は 発症した時にいきなり重症という症例はまれで、軽度の段階で適切な対処を取らずにいたことで深刻なダメージをうけて重症化させてしまい、治すことが難しくなってから受診するというケースが非常に多いです。

自律神経に関わる疾患が治りにくいという印象を持たれる方が多いのは、受診の段階で軽度な方はほとんどおらず、重症化させてしまっている症例が大半だからです。

初期に適切な対処を取れない原因は、病気の症状の一つである認知機能の低下が関わっています。

認知機能というと難しく感じるかもしれませんが、簡単に言えば判断力が低下するということです。

適切な判断ができずに正しいと思ってした判断が結果的に、悪化・重症化しやすい選択になってしまっていることが多いからです。

判断力が低下していることに気が付かず、合理的な判断が出来なくなる

認知機能の低下はパニック障害・うつ病・自律神経失調症などの自律神経が関わる疾患でもよく見られます。

病気までいかなくても睡眠不足、体調不良、心理/物理/化学的ストレスなどの影響で認知機能(判断力)は簡単に低下することが知られています。

日常生活をしていても、後から振り返ると「なんであの時あんなことをしてしまったのか」と後悔した経験は誰にでもあるかと思いますが、認知機能が低下した状態の時には自分でも信じられないような愚かな判断を下すのが人間です。

認知機能の低下は自分で自覚できないことがほとんどのため、その時は自分では正しく判断できていると感じています。(合理的だと感じてしまっている。)

そのため、まずは医療機関に相談するという簡単な判断ができずに、どうしようもなくなるほど辛くなるまで、悪化させるのを待ってしまう事が多いです。

せっかく専門家の元を受診をしたとしても、医療者の提案する治療を疑ったり、もっと良い方法があるのではないかと考えたりして、さらに治療が先に先に伸びて悪化させてしまうこともあります。

短期的で最小の経済的の損失(治療費の支払いや短期的な休養による損失)が気になり、長期的なより大きな損失(より長期間治療が必要になり、長期の休養が必要になり、最悪仕事に復帰できなくなる)を結果的に選んでしまい、大きな損失を選んでいたことを後から気が付くことが少なくありません。

医療者は介入できない

我々医療者は医学情報を提供することはできますが、あなたに代わって治療を受けるか受けないか、受ける場合にどの治療を受けるのかをあなたに代わって判断することを医療倫理によって厳しく禁じています。

医療は100%の効果や結果をを保証できません。

そのため、あなたの人生に与える影響のが大きい心身に関わる問題を、代理で判断することが現代の医療倫理では、適切な対応ではないと考えているからです。

例えば、90%以上の確率で治療を行わなければ3ヶ月以内に亡くなるという状態であっても、決定権は患者さん本人に選択させることが医療倫理に沿った医療者の立場です。

時々、初期のガンで適切な治療を行えば高確率で助かっていた場合であっても、効果のない民間療法を信じて命を落とした芸能人などが報じられるケースがありますが、医療倫理を遵守している医師が担当医だったことが伺えます。

医療者は医学的に明らかに間違った選択を患者さんがしそうになっている場合でも、その選択を尊重する立場にいるため、医学的に良くなる可能性が高い治療を提案することはありますが、あなたの選択を止めてはくれないのです。

自分で判断せず、信頼できる人に客観的な意見をもらおう

認知機能の低下はあなた自身に起こっていることなので、あなたが判断するよりも信頼できる第三者に客観的に判断した場合の意見をもらいあなたの判断と乖離していないかを確認することが大切です。

私達はもともと自分の事になると、冷静な判断が難しくなります。健康に関することは自分のことなので認知機能の低下がなくても、正しい判断をすることが元々難しい性質の問題です。

特に発症している時は、自分の感じる「正しい」を信用できないぐらいの感覚でちょうど良くなります。

私達人間は感情の生き物といわれるように、判断の多くを感情に基づいて決定しています。

感情による判断はもともと合理的ではありませんが、自律神経疾患は感情が不安定になるので、より不合理な判断を下しやすくなってしまうので、他の疾患に比べて判断を間違いやすくなります。

第三者に意見を聞く場合にはできるだけあなたと関係性が近すぎない人で経済的な結びつきがない人の意見が理想的です。

母親などは子供に対する愛情が冷静な判断力を失わせ、夫婦などの場合はパートナーが働けなくなったら…という不安が判断力を鈍らせます。

まとめ

パニック障害・うつ病・自律神経失調症・不眠症など、自律神経が関わる疾患は軽度な状態から始まりますが、多くの方が悪化・重症化させて何年も苦しむことが少なくありません。

軽度な状態からわざわざ重症化させてしまう原因は、自律神経症状の一つである認知機能の低下から正しい判断を行うことが難しくなり、悪化・重症化するような選択をしてしまうことが原因です。

医療者は医療倫理に縛られているため、あなたが間違った判断を下しそうになっていても止めることができない立場にあり、治療の判断においては医療情報を提供する以外、あなたの手助けをすることができません。

認知機能が低下した状態での判断は正しい選択を行いにくくなるため、信頼できる第三者に意見をもらい、自分の判断と乖離していないかをチェックすることが大切です。

 

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経・メンタル専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
パニック障害、広場恐怖症、うつ病などの精神疾患領域と起立性調節障害、機能性ディスペプシア、眩暈などの自律神経疾患の専門の鍼灸師。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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