思春期(中学生・高校生)の子供が言うことを聞かない理由
結論:脳の成長とホルモンバランスの変化で、仲間を優先するようになるのが正常な発達
思春期はどの親御さんもお子さんとの関係性で悩まれることが増える子育てフェーズです。
今までは言うことも聞いて懐いてきてくれたのに、口も聞いてくれなくなる。ダメと言っているのに言うことを全く聞いてくれない。家族での外食を嫌がるようになったりもします。
思春期のお子さんは脳の前頭葉と呼ばれる部分の発達が進むだけでなく、性ホルモンの分泌が盛んになる第二次性徴期になります。
男の子の場合は男性ホルモンの影響から、大きな事を言うようになったり、危険な行動とることで周囲から賞賛を得ようとする、攻撃性が増しやすくなります。
女の子の場合は生理周期によるホルモンバランスの変化にどうやって対処していけばいいのかがまだよくわかっていないため、身体的にも心理的にも不安定になります。
そして、男女ともに思春期に入ると仲間(友達)を優先するようになります。
家族と距離を取ることについては正常な発達なので、問題ありませんが思春期に気をつけるべき問題については親御さんが適切に介入する必要もあります。
思春期は社会性の基本を身につける時期
思春期は近い価値観の集団の中での社会性を身につける練習の時期でもあります。
これは人間だけではなく、他の霊長類にも見られる成長過程です。
社会への適応能力を身につけるために家族という既に適応した守られた社会ではなく、保護してくれる人がいない、お互いの利害が交差する社会に上手に適応していく練習をします。
そのため、親御さんの言う事を聞くよりも、仲間から嫌われたり、のけものにされる、仲間内でのカーストの低下を嫌い、家族のルールや価値観よりも、仲間を優先するようになるのです。
うまく適応できなかった際に親御さんが常に味方でいること、他にも多くの社会(コミュニティ)の存在を教えてあげることも重要です。
性ホルモンの分泌が高まるため性的な興味も強くなる
性ホルモンの分泌が高まり、性的な興味が非常に強くなります。
彼氏・彼女といった新たに異性としての関係性を構築する子供も増えます。正しい性教育を行っていないと、望まぬ妊娠などに繋がる恐れがでてきます。
思春期は性ホルモンの増加に伴って急激に性的な欲求が強くなり、発達途上の前頭葉では十分に抑制することが難しい場合もあります。
男性ホルモンには性的な欲求だけでなく、危険な行動を促すような作用もあるため、性交渉そのものを禁止するといった対応よりも、避妊について正しい知識をつけさせることのほうが重要です。
女の子も女性ホルモンの影響で繋がりを重要視して、衝突を避けようとするという特性が強くなるため、本人が乗り気でなかったとしても、嫌われないために性交渉を受け入れやすい時期です。
ドーパミンへの感受性が高い為、容易に依存状態に陥る
若い脳はドーパミンと呼ばれる快感を与えてくれる神経伝達物質への感受性が高い状態です。
そのため、ドーパミンの刺激によって容易に依存状態に陥りやすい時期でもあります。
ゲーム、スマホなどもドーパミンの分泌を促すため、長時間使用を行うと依存状態に陥りやすくなります。
アルコール依存、性依存、恋愛依存など、ドーパミンが関与する物質や行為にのめり込みやすく、自分でコントロールが効かなくなりやすくなります。
アルコールは家に酒類を常備しないなどの対処で問題ありませんが、それ以外に関しては適度な距離感を保つように手助けが必要です。
大きくなってきて身体は大人と変わらないため、親御さんも自分で管理ができると考えてしまいますが、脳が成熟していないことで、理性でのコントロール能力は大人と比べてまだまだ低い状態であることを忘れないでください。
まとめ
思春期に入ると脳の発達とホルモンバランスの変化から、親御さんの言う事を聞かなくなるのは成長段階として正常な発達です。
身体的に大人と変わらなくなりますが、脳は成熟しておらず、ホルモンバランスの不安定さもあるため、親御さんのサポートがまだ必要な時期でもあります。
性ホルモンの増大や前頭葉の未成熟さ、ドーパミンへの感受性の高さが人生に影響を与えるようなトラブルに繋がることがあるので、依存状態などには特に注意が必要です。
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