予約規約についての前提

前提として知っておきたい法律の基礎知識

ここでは、前提として日本において予約がどういうものなのかについて、知っておきたい法律の基礎知識について解説します。

予約は法律的には契約行為にあたります。その為、お互いに法的に権利と義務が発生します。

例えばあなたが取られた予約日時に、どうしても診てもらいたいから施術料を2倍支払うのでその日時で予約を取りたいという方が現れたとしても、2倍支払ってくれる方がいるのであなたの予約はお断りしますと当院の方から一方的に予約を取り消すことはできません。

また、同じように一方的に予約をやめたいと予約を取り消すことはできません。

予約を取り消す(契約を破棄)場合は、それによって発生した損害分を相手に請求されたら、支払う義務が生じます。

簡単に言えば、約束したことは守りましょう。どうしても守れない場合には約束を守れなかったことで相手に与えてしまった損害分は相手に求められた場合には支払いましょう。というのが民法で定められています。

飛行機の予約で追加料金を支払えばキャンセル・変更可能プランと、そもそもキャンセルや変更が出来ないプランがありますが、まさに法律を厳密に適応した場合がキャンセルや変更が出来ないプラン(キャンセルしても代金は返ってこない)の予約です。

キャンセル規約がなくても、キャンセル料はかかる

キャンセル規約は予めキャンセルが発生した時に○○円の損害を賠償するという予めの取り決めです。(契約の損害にそぐわない異常に高いキャンセル料は認められません。例:一か月前に予約をキャンセルしたのに施術料の100%などは損害を穴埋めするまでに十分な時間があるため認められません。)

民法ではキャンセル規約がなくても直前にキャンセルや変更などによって損害を与えていれば、損害を受けた側から適切な損害の弁償を求められれば弁償の義務が発生します。

損害を与えれば正当な損害分であれば相手に求められた場合は支払わなければいけないというのが日本の法律です。(正当な損害分以上の損害額については支払いの義務はありません。)

しかし、ここまで聞いて、美容院やサロンなどで、やむを得ない理由を言ったらキャンセル料は請求されなかった、当日キャンセルしたけどキャンセル料かからなかったなどから、変更とキャンセルは自由にできる権利で、キャンセル規約がなければキャンセル料はかからないと何となく理解していませんか?

ここまで読まれている方はご理解いただけていると思いますが、それはすべてお店側の厚意で、損害を受けてもお店側が負担してくれています。

損害が発生するタイミングで予約の変更・キャンセルをして、お店に損害を与えると変更・キャンセルの理由に関わらず正当な損害額の賠償を請求するか、しないかはお店側が自由に決めることが出来ます。

そうはいっても突然の用事で直前に来られなくなってしまったなどの場合は、生きていてどうしても発生します。

そういったやむを得ない理由で行けなくなってしまったときの救済的な法律は・・残念ながら日本にはそのような法律はありません

だからこそ、そういったやむを得ない事情に対応するためにお店側の厚意が補完的に機能しているのが日本です。

予約規約を定めている理由

前述の前提として知っておきたい法律の基礎知識をご理解して頂いた上で当院で予約規約を定めている以下の2つの点の理由についてご説明させて頂きます。

・公平に対応できるようにして、急な都合で来院できなくなった方を守るため

・来院されている方の予約枠を確保する為

公平に対応できるようにして、急な都合で来院できなくなった方を守るため。

予約規約を定めないと、キャンセル料を請求「したり、しなかったり」、「いくらのキャンセル料を請求するのか」を損害額の範囲内で自由に変えることが出来ます。

同じことをして他の人はキャンセル料支払わないのに、自分だけキャンセル料を支払ったり、金額が自分だけ高いというのでは多くの方が納得できないと思います。

なるべく私情ははさまないようにはしていますが、私も人間ですので男女関係なく無意識レベルで好感を持っている人もいれば、苦手な人もいますし、また、体調によって気分にむらが多かれ少なかれあります。

無意識に好感を持っている人に対しては甘い対応になったり、苦手な人には厳しい対応になってしまう可能性もあります。

人間は機嫌がいい時は寛容な対応に、機嫌が悪い時は厳しくなってしまう傾向があり、私も例外ではありませんので気分で対応が変わってしまう可能性は否定できません。

ですから、予約規約を定めて規約に従った対応を行っていくことで公平性を担保しています。

また、急な用事やトラブルで突然行けなくなってしまったというのは生きていれば誰にでも起こり得ることです。

その理由を伺ってキャンセル料を請求するかどうかを私の主観で判断していては、こちらも対応にむらが出来てしまいます。

そこで、交通事故、急な発熱、体調不良、子供が朝起きられない、仕事の都合、家族の都合など理由を問わず予約日時の24時間以内に急に都合が悪くなり、来院が出来なくなった場合には振替の変更を行って頂ければ、キャンセル料は頂かない方針をとっています。

そうすることで、やむを得ない理由で直前に来られなくなった方であれば、基本的には施術を受けたいと思われている方ですから施術は受ける意思を持たれていますので振替変更して頂ければ、急なやむを得ない都合で来院できなかった方をキャンセル料の対象から外すことが出来ます。

また、施術の中断・終了を直前まで連絡しなかっただけの方が、キャンセル料から逃れる為に嘘の理由を言っているだけなのか、本当にやむを得ない理由で来院できなかったのかどうかを、理由を伺って判断しようとすると、少なからず疑いの目で見ることになってしまい、お互いの信頼関係上よくありません。

しかし、この仕組みにしておけば理由が本当なのか嘘なのかを私が判断する必要がなく、(限定して例外は残していますが)公平に決めることが出来ます。

そして、キャンセル料の請求対象かどうかも、予約日時24時間以内のキャンセル連絡なのか?というシンプルで私の主観が入らない判断基準でお互いに明瞭にわかるようにすることが出来るため、公平にキャンセル料の請求を行えるようにするための仕組みです。

来院されている方の予約枠を確保する為

ご予約頂いた時間は、他の方のご予約をお断りし、駐車場、ベッドを確保し、準備を整えて予約時間内は待機しております。

ご予約されている日時は他の方から予約したいという連絡があったとしても当院側も法律的に義務が発生する為、ご予約日時に他の方からご予約希望の連絡を受けてもすべて断っています

予約直前変更・キャンセルをされますと、他の方のご予約をお受けできなくなってしまい、当院へ通われている他の方の予約枠を圧迫して、施術機会を奪ってしまうこととなります。

私は、真剣に改善に取り組まれる方を最優先にサポートさせて頂きたいと考えております。

真剣に改善に取り組み、施術計画に合わせて予約を守って頂いている方の施術の機会が奪われてしまうのを一番に回避したいのです。

それでも、キャンセルの連絡が当日になってしまったやむを得ない事情がある場合(天災、事故で身体障害を負って通院が難しくなった、別の重大な疾患が見つかった)には、連絡を頂き事情を説明をして頂ければ、キャンセル料の免除については考慮致します。(実際の免除条件には公平性を保つために事情の証明書類の提出と審査があります。詳しくはキャンセル規約をご覧ください。)

医療の自己決定権はあなたにあります。

施術を受けると決める権利と受けることをやめる権利があなたにはあります。

医療は結果が約束できません。医学的に良くなる確率が高いことを施術として行いますが、確実に良い結果を出せる医療もなければ、絶対に悪くなることがあり得ない医療もありません。

その為、どんな医療を受けるのか、または受けないのかを決定する権利があなたの権利として保障されています。

これは、結果としてあなたの心身がどのような状態になったとしてもその結果を最終的に引き受けるのはあなたであり、そのあなたの身体と一生付き合っていくのはあなただからです。

ですから、あなたが施術を継続されるのも、中断・終了されることを決めるのも、すべてあなたの権利です。

もし、あなたが施術を中断・終了をしたい場合には、私の方から意見したり、反対致しません。中断・終了することの医学的リスクの高低に関わらず、あなたを不安にさせて引き留めるようなことも致しません。100%あなたの意思を尊重します。

しかし、当院へはあなた以外の方も来院されておりますので、キャンセルするつもりの予約はご遠慮ください。

他の方の予約枠を圧迫して迷惑となります。迷われた段階で次の予約はとらないようお願い致します。

もし、既に予約を取られてしまっている場合には、今すぐ「〇月〇日〇時、予約の○○ですが、キャンセルします。」とだけご連絡をお願い致します。

理由も必要ありません。もし、施術を再開したいと思えば、改めてご予約をお取りください。(予約を取ってやっぱり直前にキャンセルは迷惑なので、気持ちが定まる前のご予約はおやめください。)

鍼灸院は自費診療が多い為キャンセルの連絡をしたら、怒られるのではないか、嫌がられるのではないか、しつこく次の予約を迫られるのではないか、嫌みを言われたり、放置すると悪くなると脅されるのではないか、また診てもらいたくなった時に診てもらえないのではないか、と不安になるのもわかります。

そういった無理な通院を勧める院があるのは事実なのでお気持ちはわかります。

私も来院された方のことは少しでも改善したいと思っておりますから、次の来院時までに色々と調べたり、なぜそうなっているのかを考察しています。予約頂いていた後にキャンセルの連絡を頂くと残念な気持ちになるのは確かです。

しかし、中断・終了したいと思われた段階で、次のご予約をご遠慮頂いたり、キャンセル連絡を頂ければ、その方の為に使おうとしていた調べる時間や考察の労力を他の方の為に使うことが出来よりよい施術を提供することにつながりますので、すべての方にとって結果的にプラスになります。

最低でも予約日時の24時間以上前にご連絡頂ければ「ご連絡ありがとうとございます。ご予約をキャンセルさせて頂きました。お大事になさってください。」とだけ返事をさせて頂き、不快になられる可能性があることはお伝えしないようにしております。

安心してキャンセルのご連絡を行ってください。