失敗しない鍼灸院選びのポイント
こんにちは、浜松のはりを刺さない心身堂鍼灸院の佐野です。 現在は鍼灸院、整骨院(接骨院)、整体院などの治療院の数はコンビニよりも多いといわれています。
利用者の立場からすれば、そんなたくさんある治療院の中から、どうやって自分にあった治療院(鍼灸院)を選べばいいのか?わかりませんよね。
このページでは、治療院業界の裏側を知る鍼灸師がもし自分ならどんな治療院を選ぶのか!?ちょっとブラックな鍼灸院の経営目線から、失敗しない治療院選びのポイントをご紹介します。
あなたがどんな治療院を求めているのかを明確にする
まず大前提ですが、あなたがどんな治療院を求めているのかを明確にすることが大切です。
- 確かな腕と技術
- 医学的知識がしっかりしている
- とにかく価格を重視
- 自分の生活習慣は変えたくない
- お客様として丁重に扱ってほしい
- 先生が話しやすそう
- 自宅から近くて通いやすい
- 辛さを何とかしてくれればそれ以外は求めない
- 他の患者さんに話を聞かれたくない
- 再発予防までしっかりしたい
- 辛い時だけ通いたい
- 短期的にでも症状が改善すればいい
- 長時間施術してもらいたい
- なるべく短い時間で終わらせてほしい
- 自分の症状に専門性がある
- 自信満々にふるまって安心させてほしい
- 丁寧な言葉遣いで接して欲しい
- 同じ症状で苦しんだことのある先生から施術を受けたい
- メディアで取り上げられた有名な先生の施術を受けたい
まずはこういったあなたが求めていることが明確になっていないと治療院選びは高確率で失敗してしまいます。
まずは自分がどんな治療院を求めているのかを紙に書きだして上位3つぐらいを満たす治療院を探しましょう。
自分が何を求めているのかの基準を持たない状態でなんとなく治療院に足を運んでしまうとどこに行っても満足できず、失敗したと感じてしまいます。
増加する偽物の専門家
症状がひどく、長期間体調不良が続いていてなかなか良くならない方ほど、専門家に診てもらうことが大切です。ここ数年は専門分野に特化した治療院も増えてきました。
複雑な人体の仕組みを理解し、症状を改善していくことを考えれば院長の得意分野に沿う形で、専門分野に分かれていくというのは、患者さんにとっては良いことです。
しかし、「専門性を打ち出すと集客に有利になる」というな理由から専門家であるかのようにみせかける院も増えています。
特にコロナ禍以降は経営が苦しくなった院が増えた為、専門的な知識や経験を有していない疾患でも専門性を謳っている院が急増しました。
そういった偽物の専門はホームページ内で紹介している症状ページのほぼすべてに○○専門と書かれていたり、専門なのにその症状についての口コミがほぼないなどの特徴があります。
偽物の専門家を見分ける方法は、はあなたの診てもらいたい症状以外のページをチェックすればわかります。
特にトップページはその院の最も得意とする疾患であったり、患者数が多い疾患(肩こりや腰痛など)を取り上げられていることが多いです。
偽物の専門家に診てもらっても改善する見込みは低いですから、口コミがその症状の方が書かれたものが多いのか?と同時に他の症状ページやその院のトップページをチェックしましょう。
プロならこう見る!治療院を探す際の口コミの利用法
自分の悩んでいる症状を改善がしたくて色々な治療院の口コミ投稿を読んでいると、ますます、どこがいいのかわからなくなってしまいますよね。
経営をしているとよくわかりますが、良い口コミは自然には発生しません。
うまく改善した事例の方に口コミ投稿をお願いして、人為的に口コミ数を増やしていきます。
口コミの自然発生だけの場合は、全く投稿されないもしくは、10件程度の口コミ投稿の中にちらほらネガティブなものが交じるといった状態になります。
最も利用価値が高いのは、あなたと似た状態の人の改善例があるのか?です。
高評価で口コミ100件あり、自分と似た症状の方の口コミがないよりも、自分と似た症状の口コミ1件の院のほうがあなたが治る可能性が高いです。
専門家推薦や一般雑誌への掲載はお金で買える時代
マーケティング戦略として重要視されるのは権威性です。最近の治療院業界のマーケティングのトレンドは専門家からの推薦です。
医師、歯科医師、看護師、医学博士(大学教授など)、鍼灸師、柔道整復師、整体師などの専門家からの推薦文、雑誌への掲載など、人は権威に弱く権威性を感じさせると商品(サービス)が売れやすくなるという行動心理学にのっとったものです。
権威を感じさせるためにメディアから権威を買う
雑誌で取り上げられるというのはどのようにしてされているかご存知でしょうか?
雑誌や書籍は掲載料を支払うことで掲載してもらうことが可能です。以下は当院に実際届いた書籍出版の案内です。書籍や雑誌への掲載も結局お金で買うことができるので、お金を持っているということ以外はわからないということです。
書籍出版のほかにも、有名雑誌から広告料を支払って掲載する方法もあります。広告費を支払えば有名雑誌への掲載実績多数!と宣伝することができます。
こういった広告料を支払ってメディア掲載実績を作り出して、あたかも凄いかのように見せる手法は治療院業界では結構当たり前に行われています。
推薦文も凄腕だからではない?
医師、薬剤師や大学教授、助産師、看護師、などの専門家と異業種交流会などでコネクションを利用してお願いしたり、場合によっては謝礼金を支払って推薦文を買い取って掲載しています。
理学療法士、作業療法士、鍼灸師、柔道整復師、整体師などの同業者の場合は、施術のセミナーに参加した「先生と生徒」という立場であったり、同じセミナーを受講した生徒同士がお互いに推薦文を書きあったりします。
すべてマーケティングの一環で、推薦文などは治療院選びの参考にならないゴミ情報でしかありません。
撤退も視野に入れてくれているのか?
全ての方が元気を取り戻されることが理想ですが、医学に絶対はありません。どんな有名な凄腕のゴッドハンドといわれる先生でも思ったような成果が得られないケースは存在します。
良い先生は〇回やってみて変化がなければそこで一度継続していくか話し合いましょうという提案をしてくれます。
ビジネス形態がリピートによって成り立つビジネスモデルなので、競争が激化した結果、あなたが治ることよりもあなたが何度も通ってお金を落としてくれる方が目標になっている治療院も少なくありません。
ある程度の回数の施術と経過観察をしないと何とも言えないことも多い為、多少の忍耐は必要ですが、継続していけばよくなるからと、最低限の変化が現れる目安の回数も示さずにとにかく継続していくように伝えてくる治療院はお勧めできません。
骨盤矯正を謳っている院は知識不足か儲け重視
産後の骨盤矯正など、メディアや雑誌で取り上げられて知名度が高いですが、まともな基礎医学の知識がある先生であれば、骨盤矯正を行いません。
なぜなら、骨盤はかなり固い靱帯によって固定されており、骨盤がゆがむには交通事故や転落などのかなり強い力が加わる以外におこりえないからです。(それだけの力が加わると同時に骨盤骨折します。)
元々正常として1mm以上の骨盤の左右の非対称性がある人が8割以上いることは確認されていますが、腰痛などと相関がないことが報告されています。※
※参考
Pelvic bone asymmetry in 323 study participants receiving abdominal CT scans.Badii M1, et al: Spine. 2003 Jun 15;28(12):1335-9.
The association between static pelvic asymmetry and low back pain.
Levangie PK: Spine. 1999 Jun 15;24(12):1234-42.
100歩譲って骨盤がゆがんでいたとしても、正常なものを動かす必要性がそもそもないこと。強力な靱帯で固定されている骨盤を人力程度の力で元に戻すことはできません。
骨盤矯正は基礎医学をそもそも理解していないか、矯正できないことを知っているうえで儲かるからやっているかのどちらかです。
知識がない先生の施術は危険ですし、儲ける為に解剖学的に起こりえない「骨盤の歪み」を指摘し、不安を煽って通院させるのは経営者としては素晴らしいのかもしれませんが、医療倫理に反します。
初回割引と返金保証には気を付けましょう
初回割引や、効果に満足しなければ返金保証!〇月〇日まで限定!〇名様を行っているところをみたことはないでしょうか?
これは有名なマーケティング手法(販売上の心理戦略)で、今、申し込まなければ!と思わせて来院させ、あなたに通院の必要があると思わせるチャンスを得るために行います。
ティッシュを無料で配って、そこからスマホや保険など高い商品を買わせる手法と基本的には同じです。
人間はどういうときにサービスを買いたくなるのか?というのは行動心理学によってある程度、明らかになっています。
実際の心理操作の方法は話の順序などをマニュアル化して、その通りに声掛けを行うことで購買率が高まることがわかっています。
あなたの不調改善に適した施術でなくてもあなたが受けたくなるように心理誘導する準備が出来ているから、割引しても元が取れるということです。
症状の改善を目的としているのであれば、このような治療院は避けましょう。
あなたの体調不良に対して、どのようなアプローチが可能なのか?他に良い治療法の選択肢がないか?まで考えて、あなたに最適な提案をする治療院は初回割引していたら赤字になってしまうのでやっていけません。
初回割引や返金保証でをつけて集客を行う以上は、あなたの身体の状態で、通院が必要かどうかは関係なくあなたに通ってもらう必要が治療院側にあることは理解しておきましょう。
経営的な立場からいえば、繰り返し、何度も長期にわたって来院を継続し続けてくれる方が安定した利益が期待できるので、そういう人をたくさん顧客に抱え込みたいのが本音です。
あなたが本当に健康を取り戻すために何が必要なのかを最優先で考える医療的立場と、経営的立場が相いれない部分でもあります。
常に予約が取りずらい院は再発予防が甘い?
なかなか予約の取れない治療院というと、腕がよくて人気だと思われるかもしれませんが、残念ながら必ずしもそうとは言えません。
飲食店などであれば、行列ができているお店は美味しいというのは理解できます。なぜなら、私達はまたお腹がすくからです。
しかし、治療は違います。良くなれば通い続ける必要などなくなります。
根本から改善するというフレーズが使われますが、根本から改善しているのに、同じ症状で再度来院したり、メンテナンス通院が必要なのはおかしいです。
メンテナンスでの通院が必要なのは根本的な原因が残っているからです。
根本改善が出来ている治療院で予約が取りにくい治療院は、新しく通院を開始される方が圧倒的に多い状態が維持され続ける必要があります。
そうでないと、暇になったり忙しくなったりを必ず繰り返すからです。(基本的によくなった患者さんは卒業されていき、腕がいい先生ほど少ない回数で卒業させられるので、予約がある程度取りやすいハズです。)
常に予約が取りにくい治療院は一時的に楽にはなるけれど、根本から改善できておらずメンテナンスで通い続ける必要があるか、再発してまた通うを繰り返している方が多い治療院です。
予約が取れないというのは、飲食店の人気店とは意味が違うのです。
個人院とチェーン院の違い
治療院には複数のスタッフがいる院と当院のように施術者一人の個人でやっている院の2つのタイプがあります。
飲食のチェーンと同じで、チェーンの良さは価格がある程度リーズナブルでマニュアル化された画一的な施術を受けられることです。
個人院は施術がマニュアル化されていないのでオーダーメイドで個人に合わせた施術を行うことになります。
スタッフが複数いる場合には技術力を高くすることよりも、全員の施術レベルをそろえることの方が重要です。
技術水準や医学知識が一番経験の浅いスタッフでもできるレベルに下げるか、スタッフにより技量がばらつくというデメリットはありますが、対応人数を増やすので予約が取りやすいメリットがあります。
個人でやっている場合には、才能がある限られた人しかできない難しい施術を提供することが可能ですし、医学的知識も全員で共有しないといけないなどもないので技術水準、知識水準を可能な限り上げることが可能というメリットがありますが対応できる人数に制限があるのがデメリットです。
個人院の場合であれば口コミ情報もその先生が施術を行っているので、参考になるのですが複数のスタッフがいる院の口コミ情報はどのスタッフが対応したのかによっても変わってきてしまいます。
系列店の別のスタッフが行った施術の口コミを掲載していたり、既に退職したスタッフの施術についての口コミ掲載だったりなどもあります。
軽度の問題であればチェーン店の方が価格の安さなどでお勧めできますが、重度の問題であればあるほど個人でやっている専門の先生の治療院を選ばれる方がよいです。
施術費用について
施術の費用は安ければ、安いだけ嬉しいというお気持ちはよくわかりますが、安いということは一人あたりにかける時間やエネルギー、勉強や練習時間を減らして薄利多売をしていかなければ、その院が成り立っていきません。
カウンセリングや説明の時間を削るなどの物理的な時間もそうですし、一日に何人診ているのかも重要です。
病院での治療が顔をみずに画面ばかり見て3分診療で・・・ということを言われますが、人間が一日に判断できる力は有限であり、一日に100人以上も診察することを考えると、一人にかける集中力・判断力のコストは抑えなくてはいけません。
1日に何人受け入れているのか?ということは、一人にかけられる時間もありますが、それだけ一人にかけられる集中力と判断力と深い関係があります。人間ですから当然疲れますし、疲れた状態での施術は施術のクオリティ(質)が落ちます。
それほど集中力を必要としないで淡々と決まった手順の施術内容を繰り返すベルトコンベア式の施術で十分な状態であれば安いところでも構いません。
しかし、病院へ行っても全然よくならないから、自費での改善を・・・っという難しい状態の方であれば、施術料金の優先順位はある程度下げて、鍼灸師一人が1日で行う施術人数が10人未満になる鍼灸院を選ぶことをおススメします。
また、クーポン、回数券はお得なようですが、通い続けてもらうことを先に確約することになるので、経営的な理由で導入されているだけです。
病気を治す病院や薬局での治療費が、クーポンや回数券が発行されていたら買いますか?
リラクゼーションや美容とは性質が違います。
どういうときに鍼灸院を選んだらいいの?
心や体にある不調を改善したくて、あなたはこのページを見られていると思いますが、病院と鍼灸院では扱っている専門分野が異なります。あなたの現在の状態に合わせて、病院へ行くのか、鍼灸院へ行くのかを考えるとよいでしょう。
病院への受診の判断基準は「外傷や命に係わる緊急性の高い病気」である可能性が高いかどうかです。
頭痛であっても後頭部をバッドで殴られたような激しい頭痛が突然始まった、発熱を伴う、突然、意識を失うことがある方の頭痛であれば病院が得意とする分野であり鍼灸院では対応できません。
鍼灸院が得意とする頭痛は、検査で異常はないが頭痛が止まらない、数週間から数年単位で頭痛に悩まされている、既に病院の治療を受けているけれど治らない、脳の検査で異常が見つからないなど、命に関わる状態ではないが、原因不明な症状や慢性的な症状です。
命にかかわる病気ではない、原因がわからない、病院に通っているけれど手術は行いたくない、手術を受けたけれど調子が優れないなど、鍼灸院の受診を検討してみてください。
鍼灸院それとも接骨院(整骨院)・整体・カイロプラティック・マッサージ・気功?
鍼灸院以外にも、接骨院(整骨院)や整体院、カイロプラティック、マッサージ・気功など、様々な治療院が存在していると、どこへ行った方がいいのか迷われる方も多いかと思います。
接骨院(整骨院)は、外傷の専門家です。具体的には、捻挫・打撲、応急処置の骨折・脱臼の処置を医師以外のものが行う際に必要となる国家資格となります。接骨院で扱う疾患は急性外傷に限られますので、慢性症状は接骨院の専門外です。
その他については、イメージで選ばないことが大切です。
例えば、体のゆがみを整えたい方は整体・カイロプラティックと言うイメージがあるかもしれませんが、整体やカイロプラティックでもアトピーや難聴などの内科系の疾患を改善する治療院もありますし、鍼灸や気功であっても、体のゆがみを整える事も出来ます。
大切なのは、あなたがどのような症状に悩んでいて、検討している院があなたの疾患に対応しているかどうかです。例えるなら、富士山の頂上に行きたいんだけれど、どのルート(鍼灸・整体・カイロ・マッサージ・気功)を使うのか?の違いになるだけです。
鍼灸がいいとか、整体がいいとか施術法で分けてしまうと、あなたが元気になるチャンスを逃すことになりますので、あなたの疾患が改善される可能性が高い治療院かどうかを重視して選ぶことが大切です。
特別、施術方法に神経質になる必要はありませんが、鍼灸師は国家資格であり、安全に施術を行える知識・技術水準を国から認められています。一方、整体師などは民間資格である為、知識や技術水準にばらつきが大きく事故の報告例が多いのも事実です。
しかし、鍼灸師の施術であればどこの鍼灸院でも安全性に関する訓練を一通り受け、安全に施術を行う知識レベルが十分かを国家試験で確認されている為、最低レベルの安全性は保たれています。また、年間の医療費が10万円を超える鍼灸の施術に支払った費用については高額医療控除の対象としてとなりますので、安全性と税金の観点からは鍼灸院がおススメできます。