起立性調節障害を抱える子供の心理的な問題|浜松市中区の心身堂鍼灸院(はりきゅう)

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起立性調節障害を抱える子供の心理的な問題

「小児心身医学会ガイドライン集」の冒頭に「起立性調節障害は身体疾患である」との記載がありますが、起立性調節障害の専門医森下克也先生の著書にも「身体的要素のみならず、心理・社会的な要素が絡んでくる」とあります。

矛盾するようですが私自身も臨床で多くの起立性調節障害の子供を診させて頂く中で、完全に全てが身体的な問題に起因する症状はごく限られた軽症例のみで、学校へ行けないなどの中程度以上になった起立性調節障害には何らかの心理・社会的ストレスが関与していると考えています。

身体疾患だから体さえ整えれば・・・っと思われるかもしれませんが、身体・心理・環境などの多方面からのアプローチが必要になってきます。

起立性調節障害症状としてのメンタルへの影響

起立性調節障害は自律神経症状として、朝起きられない、頭痛、めまい、腹痛、だるいなど様々な影響が出ます。脳が十分な血液をもらえていないことによってやる気が出ない、ぼーっとして集中できない、感情の不安定さ、一貫性の欠如(意見がころころ変わる)などとして現れます。

例えば、明日は絶対に学校へ行くと夜は言っていたが、朝になって起きてから、頭痛や腹痛がなくてもやっぱりやめると言い出す。頭痛や腹痛が出ていなくてもやる気が出ないと言って何もしない。ぼーっとしている。学校へ行かない間、ゲームはするが勉強はしない。不機嫌な時間が長い、怒りっぽくなる。話を聞いていなかったり、話しかけても答えない。返答が遅くなるなどです。

体に何の異常もない子であれば、だらけている、怠惰というように思われてしまうのですが、起立性調節障害になると脳が十分機能しなくなるため、やる気が低下して、考えたりする事がとても苦手になります。時間によってもやる気があったりなかったりして、やる気がある時間帯の発言とやる気がない時間帯とで発言内容が異なる為、親はどちらの言葉を信じていいのかわからなくなります。

脳が十分に働ける状態ではないので、周囲の人が期待を押し付けないで見放さずに見守るという姿勢で、そのことを理解してあげる事が大切です。

起立性調節障害と心の発達

起立性調節障害の子供と話をすると年齢に対して極端に大人びていたり、逆に極端に幼いという印象を持つことが多くあります。

子供の心というのは発達の速度に個人差はあるものの、極端に大人っぽかったり、幼いというのは心の発達段階が適切に行われてこなかった可能性を示します。

具体的には礼儀正しすぎたり、高校生であっても自分の体の状態を自分で説明したり、自分のことを自分で決めることが難しいなどです。

性格的なところで言えば、自信がない、プライドが高い、他人の目が気になる、他人の評価でひどく落ち込む、悩み事があっても相談しない、反抗しない、友達が多いが本気で喧嘩することがない、友達や下級生の面倒をよく見ているなどがあげられます。

一言でいうなら「良い子」になるのですが、思春期に自他の間でトラブルが発生しないまたは過度に発生させてしまうのは、対人の距離感がうまくつかめておらず我慢によって人間関係を成立させている子供に多くいます。

感情をすぐに抑圧してしまう癖がついている為、自分で自分の感情に気が付いていません。

この特性が学校の先生や友達とも上手くやれていて問題がないのに、学校へ行くこと(人が多い環境へ行くこと、行かなくてはいけないと思う事)がストレスとなって、自律神経に悪影響を与えて起立性調節障害の症状として現れるケースがあります。 

起立性調節障害の子供が抱えるメンタル的な問題

元々の問題に加えて起立性調節障害になったことで、さらに様々なメンタル的な問題を抱え込みやすくなります。ここでは、当院で診させて頂いていた方が抱えていたメンタル的な問題について解説させて頂きます。

親が腫れ物に触るように接してくると感じる

起立性調節障害のお子さんを持つ親御さんは、頭では病気を理解しても親心として、感情面で心配する気持ちが抑えきれなくなったりするのが普通です。しかし、その心配の気持ちから出るしぐさや言葉かけなどを子供が感じ取り、親の心配の種が自分の存在だということを感じて、それをストレスに感じるお子さんが少なくありません。

関心を持たないでほしいわけでも、見放してほしいというわけではありませんが、親の迷惑になっているという感情に圧し潰されそうになっている場合があります。例え起立性調節障害という病気であってもお子さんを愛する気持ちは変わらない、私は常にあなたの味方でいるという態度で、見守って普通に接して頂く事が大切です。

怠けていると思われているのではという、周囲からの視線

起立性調節障害になると自分でも理解できないぐらいやる気が低下したり、気力がなくなったりします。家族の理解が得られたとしても、学校の友人が理解してくれるかどうかは別問題です。友達からどんな風に思われているのだろうか?というのは思春期に多い心理的ストレスの代表的なものですが、不調で学校に思うようにいけないことから、さぼっていると思われているんじゃないかなど、強くストレスを受けやすくなります。

勉強が遅れることで、将来への不安

 ひどくなると、ほとんど学校へ行けなくなるため、学力が低下してきます。調子が良い日に学校へ行っても、授業の内容が理解できませんし、学力が低下すると進学・就職の妨げになってきますので、将来どうなるのかが不安になり、その不安がストレスとなって自律神経症状をさらに悪化させます。

 自分では現状を受け入れているつもりでも、実際に進路の面談を行った後などに顕著に体調が悪くなる子もいますので、色々な道があることを教えてあげることが大切です。

学校へ行きたいという言葉に注意

 子供の口から出る「学校へ行きたい」という言葉は嘘ではありませんが、単純に自分の感情がよくわからないで口にしていることがあります。

 子供は大人と比べて言語能力が未熟です。人は自分の感情に言葉を当てはめることで感情を認識しています。そういった経験や知識が少ないために、学校へ行くことを拒否していることに気が付いていない(もしくは、気が付いてはいるが認めたくない)ことが、しばしばあります。特に自分の気持ちを日頃からあまり口にしたいタイプの子供の場合に多いです。

 休みの日だけは症状が軽くなったり、イベントがある時は元気になったり、夏休みなどの長期休暇は学校へ行かなくていいというお墨付きがあるので元気なことが多いです。起立性調節障害で来院されてから、ある程度症状が良くなっても学校に行きたがらない。体調が改善してきて、学校への復帰の話をし始めると通院拒否を始めることが多いです。

 学校をやめたり、単位制の高校へ切り替えるなど、少しゆるい環境へ切り替わると良くなることが多いですが、自分で学校へ行くことに対して目的を見つけることが出来ると、突然、嘘のように元気になる場合もあります。

起立性調節障害の心理ケアについて

 このページでご紹介させて頂いたのは、ほんの一例ですが、起立性調節障害の子供が抱える心理的な問題は本人がどう感じているのか?をしっかりと聞いて、それに合った日常生活へ切り替えたり、対策を提案したり、といったことが大切になってきます。

 大切なのは本人がどう感じてどう考えているのかをしっかり聞き取る姿勢です。親子間は特に存在が近すぎてうまく話が出来ないことも多いので、専門家の力を借りることも大切です。

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