パニック発作では死なないから大丈夫と言われて傷ついてしまった方へ

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

突然の動悸、息苦しさなどのパニック発作で死ぬのではないかというほどの怖い体験をして、心療内科や精神科を受診しようか迷った挙句に勇気を振り絞って行った心療内科や精神科で「パニック発作では死なないから大丈夫」といわれて傷ついたといわれる方は多いです。

私もパニック障害で精神科を受診したときにこの言葉をかけられ傷ついた思い出があります。

この言葉はパニック発作を起こされた方がどういう気持ちなのかを理解せずに、医学的な正解を伝えることで起こることなのですが、今回は医師に言われて傷ついた一言から立ち直る方法について、一緒に考えていきたいと思います。是非、最後までご一読ください。

結論:パニック発作は体験者にしか分からない苦しみ

突然、不安感・恐怖感、心臓がドキドキし始め、息が詰まるような感じや息苦しさ、冷や汗が止まらない、手足から血の気が引く、意識が遠のくような感覚がある、発狂しそうになるなどの体験をすると怖くなりますよね。

私もパニック発作で過呼吸(過換気症候群)になった時は、自分で自分がどうなったのか理解できませんでした。

こういったパニック発作の体験は、体験者にしかわからない苦しみです。

今までの人生のなかでパニック発作を体験したことがない医師が、医学書でいくら学んでも体験として辛さや苦しさを理解できているわけではありません。

これらの感情は、体験したことがなければ理解することが難しいでしょう。

このような感情を抱えているあなたにとって、他の人が理解し、共感してくれることは、あなたの孤独感を和らげることにつながるはずですが、「パニック発作では死なないから安心してください」といわれ、共感も理解もしてもらえず、パニック発作の孤独感をより濃く感じてしまうのは当然です。

しかし、医師も悪気があって言っているわけではないので、あなたが傷つく必要がない言葉であることをまずは知って頂きたいと思います。

心療内科医・精神科医が死なないから大丈夫という言葉はテキストに書かれている

医師から「パニック発作では死なないから大丈夫」というような内容を言われたときに、あなたはどのように感じたでしょうか?

安心できたでしょうか?むしろ不安感や孤独感、理解されない苦しみを感じたのではないでしょうか?

その原因は、あなたの感じている苦しみや辛さ、不安感や恐怖が無視されているように感じ、もしかすると「そんなに大げさに騒ぐことじゃない」と邪険にされたように感じたのかもしれません。

医師の言う「パニック発作では死なないから大丈夫」という言葉は、「死ぬことがない疾患だから安心して良い疾患ですよ。」ということを伝えて患者さんを安心させましょうというパニック障害の患者さんと接する時の声掛けとしてテキストに載っているものです。

しかし、そのテキストはパニック発作経験のない医師が書いた本ですから、医師たちは、自分たちが学んだ知識を使って、あなたにアドバイスを提供しようとしているのにあなたのことを傷けてしまったという事態が発生しまったという悲しい行き違いでもあります。

死なないから大丈夫という言葉の真意

「パニック発作では死なないから大丈夫」という言葉はあなたの辛さを無視しているわけではありませんが、もう少し配慮のある声かけを心がけることは大切だと思います。

事実を伝える前に、あなたの経験した辛さに「辛いですよね。怖いですよね。」と寄り添って安心できるようにすることも大切です。

「パニック発作では死なないから大丈夫」という声掛けの前に共感や理解を示す言葉をかけてあなたが安心する、信頼関係がある程度構築できたところで声掛けを行うべき言葉でもあります。

場合によっては「死なないのに大げさな」っと、あなたの経験した辛さが軽視されているような印象をあなたに感じさせてしまっている可能性すらあります。

しかし、医師はあなたの辛さに共感を示したり、理解を示すようなカウンセリング技術のトレーニングを受けていないことと、毎日100人以上もの患者さんと接している為、このような声掛けになってしまうのが致し方がない部分もあります。

これは医療制度の問題点もある為、根深い問題です。

医師の仕事のメインはカウンセリングではなく、薬の処方

一般的に、医師の主な仕事は病気の診断と治療のための薬の処方です。それは心療内科医や精神科医であっても同じです。

医師は日々、多くの患者さんを診ており、それぞれの患者さんに対して時間を掛けてカウンセリングを行うことは難しいのが現状です。

このため、医師があなたの精神的な苦しみに対して十分な配慮を行えないこともあります。

特に病院は分業体制がしっかりと確立されている為、辛さに共感するなど心理ケアについてはカウンセラーの仕事とされており、医師は専門分野である診断と薬の処方に集中していることがほとんどです。

しかし、心療内科・精神科の現状としてカウンセラーも常駐しておらず、薬だけをひたすらに処方し続けるだけの病院が多いことも事実です。

希望すればカウンセラーを紹介してくれる場合もありますが、患者さん側から希望されなければ薬の処方だけしておしまいということも少なくありません。

パニック障害は比較的よく見る疾患の為、対応がどうしても流れ作業になる

心療内科・精神科の診療所は日々多くの患者さんを診ています。初診で3ヶ月以上待つことも珍しくありません。

パニック発作は一生を通じて10人に1人程度が体験する疾患で、パニック障害になった場合は100人に3~4人なると言われています。

比較的よく見かける疾患ではあり、毎日のように不安感が出てきて死ぬかと思ったという話を聞き続けています。

医師も人間なので、(実際には一人一人違いますが・・・)同じようなパニック発作の体験の話を毎日100人近くも聞いていると次第に慣れが生じてしまい、医師の対応が少しずつ流れ作業のようになってきてしまうのは人間の適応反応としてありうることです。

 

苦しさや不安を共感できる専門家に話そう

パニック発作の苦しみを共感してくれる相手に話すことは、とても重要なことです。一番良いのはパニック障害を経験したことのある専門家です。

家族や友人、パニック障害になったことのある経験者に話を聞いてもらうということももちろん大切ですが、パニック障害経験のある専門家に話を聞いてもらうというのがお勧めです。

なぜなら、話に共感してくれるだけでなく、パニック障害の方がどういう行動をとればいいのか?など、多くの対処法を知っており、実際に実践した経験があるからです。

また、自分の苦しさを改善する為にパニック障害について様々な情報を学習し、実践してきた経験があります。

そういった専門家がカウンセラーである場合もありますし、私のような鍼灸師や整体師をしている場合もあります。

私自身も休診日を多くさせて頂いていますが、一度、パニック障害になると社会復帰した後も症状が重たい方の心身の状態に影響を受けることで為、何人も診させて頂くことが出来ません。

その分、時間をかけて丁寧には診させて頂きやすくはなりますが、パニック障害を経験した専門家がカウンセラーや鍼灸師・整体師などをしていて、なおかつ継続できる方は少数ですので、巡り合うことが出来たのであれば、相談されると良いと思います。

 

あなたの心身の状態を専門家に説明してもらおう

パニック障害を改善していくうえで、自分の心身にどのようなことが起っているのか?といった自己理解がとても大切になります。

不安や恐怖、動悸や過呼吸が起きる原因を理解することで、パニック障害を心の弱さと誤解することなく、自分の病気について正確に理解することが可能になります。

病気の理解が深まると、パニック発作を自分自身でコントロールする技術を身につけ、日常生活へと戻ることが可能になります。

心理療法に取り組む際にも、心に対するアプローチとしたふわっとした抽象的で曖昧なイメージになりがちで効果を実感しずらい方もいます。

脳の性質や神経の性質を理解した上で、心理療法に取り組むと自分の心理的な変化(脳の情報処理のパターン変化)を実感しやすくなり、実感できることで継続できるため結果的に十分な効果をえられるという好循環が発生します。

その為にも、専門家にあなたの脳内でどのようなことが起っているのか?脳や神経の性質説明してもらい、心理療法によって脳にどのようにアプローチするのか?

そのため、専門家に自分の脳内で何が起きているのか、脳や神経の性質を説明してもらうこと、日常生活で取り組む生活習慣の修正や思考の変更に何が必要で、どのような変化を目指すべきなのかを具体的に理解することが重要です。

そして、そのような説明を惜しまない専門家からの支援を受けることが重要です。

まとめ

パニック発作は体験者にしか分からない苦しみです。なるべく、パニック障害の体験者に話をして共感してもらう方が心理的には落ち着きやすいことが多いです。

医師のいう「パニック発作では死なないから大丈夫」という言葉は「あなたの苦しみや辛さが大したことがない」と言いたいわけではなく、「死に至る疾患ではありませんので、安心してください」という意味で話をしていることが多いです。

パニック発作は経験したことがない人からは、理解しずらい苦しさの為、パニック障害経験のある人に話を聞いてもらったり、共感的な返答をしてくれる家族や友人に話をすることが大切です。

可能であればパニック障害の経験があり、克服した専門家の支援を受けると改善への近道になり、実際の経験者しか知らない情報を多く持っていますので、あなたの助けになることが多いと思います。

当院での改善をご検討の方はパニック障害をご覧ください。

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