こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。
はじめてパニック発作を起こして信じられないような苦しさを味わってしまうともうあんなに苦しい思いはしたくないと思いますよね。
しかし、パニック発作を起こしたくない!と思えば思うほどパニック発作を起こしやすくなるのはご存知でしょうか?
今回はそんな辛いパニック障害を克服できない理由と解決策について一緒に考えていきたいと思います。何年もパニック障害に苦しんでいるという方はぜひ最後までご一読ください。
結論:パニック障害の克服はパニック発作に対処できるようになること
心拍が上がってひどい動悸に襲われると同時に、呼吸をしているのに息苦しくてだんだん手足がしびれて、力が入らなくなる。めまいや冷や汗がひどいなど、パニック発作を体験したことがある人であれば誰しも強い恐怖としてパニック発作が頭にこびりついてしまうと思います。
パニック発作を経験した後に発作が怖くなってしまうのは誰にでもある自然なことですのでそれ自体は仕方がありません。
しかし、怖いからこそパニック発作を警戒して避けるという行動が、パニック障害の改善を邪魔してしまうことがあります。
私たちの脳は自分のとった行動に意味付けを無意識に行います。不安を避ける行動をとると、避けたものがより危険な行動であると脳が強く認識します。(人混みを避けると人混みは危険だという脳の反応が強まり、不安感や恐怖感が強くなります。)
抗不安薬を使えばある程度、パニック発作はコントロールできるようになりますが、抗不安薬を飲んで意図的に暴露療法を行っていかないと、苦しいときは薬に頼るというスタンスでは意味付けに失敗して負のパターンから抜け出すことができなくなってしまいます。
特にデパスなどすぐにスカッと効くタイプの切れ味の鋭い抗不安薬はその効果のとりこになってしまいます。
本当のパニック障害の克服はパニック発作を起こさないことではなく、自分自身の力でパニック発作を支配できるようになることです。
パニック発作が起こっても大丈夫だと感じられるようになることが大切です。
その大丈夫だと感じられる感覚が結果的にパニック発作を引き起こしにくいリラックス状態を作り出すことにつながり、あなたをパニック発作を起こしにくい状態へと導いてくれます。
水をこぼさないように運ぶ方法に学ぶパニック発作予防
コップにたくさん水を入れて、「絶対にこぼさずに運んでください」といわれてしまうと、運ぼうとすると緊張して手が震えてこぼしやすくなってしまいます。
それよりも、「こぼしてもいいから向こうにもっていって」といわれると、緊張せずにリラックスして運ぶことが出来るので、案外こぼさないで運ぶことが出来たりします。
人間は禁止や制限を受けるとそうならないように交感神経を働かせて緊張モードに入ります。
パニック発作は過剰な交感神経の興奮によって発生する症状ですから、緊張モードに入らないような心の扱い方が大切になります。
なかなか改善されないパニック障害の方は、パニック発作を起こさないようにと日々警戒してパニックに発作を引き起こさないように、パニック発作を引き起こすようなきっかけがないかにアンテナを張って、厳戒態勢を引いて生活しています。
これは裏を介せば、パニック発作を起こすことを自分に禁止していることになります。
パニック発作はつらいですから当然といえば当然なのですが、禁止することで自分にプレッシャーを与えてしまい、パニック発作を誘発させやすい交感神経優位の状態を誘発してしまっているのです。
この状態をやめる為には簡単に言えば、逆をやることになります。
パニック発作を起こさないようにしている警戒と予防線をなるべくひかないという戦略をとり続けていることで、パニック発作をコントロールできるようになっていきます。
軽いパニック発作を自分の力で鎮める
パニック発作を自分でコントロールできるようになるためには、軽めのパニック発作を何度も自分で鎮める経験を持つことです。
大切なのは軽めのパニック発作で経験値を積み上げることです。その為には軽めのパニック発作を積極的に自らの意志で誘発する行動をとることが重要になります。
ここでの注意点は激しいパニックが起こるような状況に身を置くのはパニック発作に対する恐怖を増幅させるだけなので絶対にそんなに怖い状況に身を置こうとしないことです。
軽くザワザワ、ソワソワするぐらいの環境に自分であえていって、辛くなりすぎる前に落ち着けるところに戻ることを繰り返します。
ザワザワしたけれど何とか大丈夫だったから、すぐにさらに負荷を強くしていく必要はありません。
同じ負荷のまま、軽くザワザワ、ソワソワしてこなくなるまで何度も繰り返してください。
緊張するような感覚、違和感もでなくならなくなったぐらい平気になれば、次のステップに進むように検討しましょう。
負荷の強度は少しずつ少しずつあげていきます。
パニック発作を鎮めるスキルが向上
何度も軽いパニック発作を誘発して鎮めてを繰り返していると、パニック発作を自分がどう意識することで鎮めることが出来るのかなど、自分なりの落ち着け方が徐々にわかるようになっていきます。
最初からいきなり自転車に乗れる人がいないように、安全を確保した状態で何度も何度も転びながら練習していくことで、自転車に乗るスキルが身につくように、パニック発作を鎮めるスキルを転びながら身につけていきましょう。
繰り返し、繰り返し軽いパニック発作を誘発させていると、パニック発作そのものの苦しさに多少慣れが生じてくることにもなり、パニック発作そのものに対する恐怖心もへり、よりパニック発作を冷静に鎮めることが出来るようになってきます。
自転車の練習も最初は何度も転びます。その中で、「転ぶ」ことも「立ち上がる」ことも徐々に上達して、上手に転ぶことでダメージを減らし、復帰も早くなり、運転もうまくなるため次第に転ばなくなってくるのと同じです。
パニック障害を何年も引きずっている方は1度も転ばずに自転車に乗れるようになろうとすることと同じことを何年もしていることが多いです。
パニック障害が発症したばかりで、他の自律神経症状も多い場合には一時的に完全に安全な領域に非難して症状が落ち着くことから始めますが、徐々に発作時以外は自律神経症状が出ないのであれば積極的に軽いパニック発作に慣れていくようにしましょう。
森田療法の恐怖突入になっている
パニック発作に対する対応能力を高めるこのような練習を行うアプローチは森田療法(日本人が発案した心理療法で世界的に不安障害の治療に利用されている。)で言うところの、不安や恐怖を感じたままにしておく恐怖突入をしていることと同じことになります。
その為、軽めのパニック発作を積極的に誘発させようとしていくことそのものが、既にパニック障害の克服の効果が期待できるのです。
パニック発作を誘発させるというのは、とても怖いことですが、きつ過ぎない範囲でやっていくことが重要です。
まとめ
パニック発作は怖いものなので避けたくなりますが、避けるとより症状が悪化する為、急性期でない限りは積極的に軽いパニック発作を引き起こすことが大切になります。
大切なのは軽いパニック発作を引き起こすことなので、心的外傷を追うようなひどいパニック発作を引き起こすような負荷をかけないように注意してください。
適切な負荷をかけることで、パニック発作の鎮め方が上達し、パニック発作を起こしても鎮めるスキルが身についてきます。
このアプローチ法は森田療法を並行して行っていることにもなるので、辛すぎる負荷をかけすぎないように注意しながら実践を行っていきましょう。
当院での改善をご検討の方はパニック障害、全般性不安障害をご覧ください。
遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善についてや心理的アプローチ法について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。