眠れない!睡眠学が明らかにした正しい不眠解消法

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

なかなか寝付けない、途中で起きてしまうなど、睡眠の問題で来院される方もとても多いです。

なぜ私達は眠るのか?といった単純な答えにすら睡眠の結論は到達していませんが、今回はそんな悩みの多い睡眠について近年急速に研究が進んでいる睡眠学の知見を交えながら不眠解消法について一緒に考えていきたいと思います。睡眠に悩まれている方はぜひ最後までご一読ください。

 結論:睡眠についてわかっていることから睡眠改善に取り組む事が大切です

睡眠は現代医学でもまだよくわからないことが多い分野です。

しかし、脳の観測技術技術の発展もあり以前に比べて正しく睡眠はどういう状態なのか?というものが科学的にわかってきている分野でもあります。

しかし、インターネット上には昔の睡眠の常識がそのまま残っていたり、古い研究の情報をもとに記事が書かれたものもあります。

例えば、眠れなければ横になっているだけで睡眠と同じ効果があるなどがそうです。(現在は、眠れない場合に横になり続ける行為は良くないとされています。)

過去に正しいとされていた情報が古くなって間違いになってしまっていることも多くあります。

最新の研究だから必ずしも正しいわけではありませんが、おおよそ正しいだろうとわかってきている情報をもとに睡眠について知っていくことが大切です。

体内時計が生まれつき乱れやすい人

人間の体内時計は人種に関係なくおおよそ1日が24時間10分程度を中心に正規分布していることがわかっています。

この10分のずれを朝、太陽の光を見ることで朝にセットし、夜暗くなってから光を目に入れない状態で過ごすことでそのセットされた時間が維持されます。

体内時計は遺伝子によって1日の時間が決定されるため、すべての人が同じ程度生活リズムを上手に整えられるわけではありません。体内時計正規分布

この1日の時間が24時間10分よりも長かったり、短かったりすると光によって補正できる時間を超えてしまう為、毎日少しずつ体内時計がずれていってしまい、普通に朝起きて夜寝る生活を維持することがかなり大変になります。

子供の時から寝付けない、なかなか起きられない、同じ時間にベッドに入っているのに眠れたり、眠れなかったりする人はこの体内時計が遺伝的に一般的な人よりも長いか短いかという特性を持っている可能性があります。

その場合にはその人にとって一日の時間が毎日少しずつずれていくことがその人の健康体となるため、標準的な体内リズムの人よりも生きていくのが大変になります。

例えば、目から光を入れることで体内時計を修正できる範囲が最大10分だとします。その状態で24時間10分の体内リズムの人であれば、朝光を浴びることさえしていればずっと一定でいられます。

しかし、24時間20分の体内リズムを持っている人は、1日ごとに10分後ろにずれていくことになります。

1日だけであれば大したことがないのですが、これが1週間で生じるズレは70分、一ヶ月を28日とすると280分(4時間40分)も寝る時間と起きる時間が後ろにずれることになります。

0時に寝ていた人が一か月後には5時近くにならないと眠くならなくなり、7時に起きていたとしても、11時を過ぎないと起きられなくなるといった感じです。

放っておけば周期的には普通の人の生活リズムに揃うタイミングはあるものの、144日後ぐらいなので半年に一度だけ標準的な体内リズムの人と同じ生活が出来る程度です。

繰り返しますが、体内リズムは遺伝子によって決定されているため、生まれつきで現在のところ治療法が確立されていません。

時間の融通が利く学校や仕事を選ぶなど、体内時計に自分の生活を合わせていくという方が日常生活を健康的に過ごすことが楽になります。

睡眠時間は〇時間という神話

睡眠時間は何時間とるのが良いのかというのはとても難しい問題ですが、ほとんどの人は7~8時間ぐらいに収まるとされています。

しかし、最適な睡眠時間は個人差が大きい為、個別に調節は必要です。

ショートスリーパーという人であれば3時間ぐらいの睡眠で全く問題ありませんし、平均的な方だと7時間程度、ロングスリーパーは12時間という場合もあります。

統計的に8時間睡眠は中学生ぐらいまでの最適時間で、高校生以上は徐々に短くなって青年期は7時間~8時間ぐらいに収まる方が多く、高齢になるにしたがって少しずつ短くなっていきます。

ナルコレプシーなどの病気でなければ、十分な睡眠をとれば必要なだけの睡眠をとるとそれ以上は眠れなくなります。

眠気を引き起こすメラトニンというホルモンは起床して朝に目から光が入った14~16時間後に分泌が増加して睡眠を引き起こします。

その為、睡眠時間が長すぎると起床後14時間未満の時間に眠る時間が来てしまう為、生活リズムが取りずらくなってしまう場合があります。

概算ではありますが、睡眠時間は20歳を基準に20年で30分程度ずつ短く減る傾向にあります。(20歳の時に7時間が最適だった人が60歳になった時に6時間ぐらいに減少する計算です。)

平均ではありますが、仕事をされている年代の方であれば、7時間程度は毎日睡眠をとることが大切です。

ご高齢の方の不眠の相談は、よく聞いていくと若い時の睡眠時間と同じだけ寝ようとして、ベッドに9時間いて6時間しか眠れない、途中で起きてしまうなど、ベッドにいる時間が必要以上に長いことが多いです。

これは不眠ではなく正常な反応です。

昼間に眠くなってしまう、ぼーっとしてしまう、などの辛さがなければ高齢者の場合はベッドにいる時間を6時間に減らして問題ありません。

身体活動が減れば睡眠時間は短くなる

たくさん運動すればそれだけ回復するために睡眠時間は延長されますし、運動をほとんどしなければそれだけ睡眠時間は短くなります。

その日の運動量に合わせて睡眠の時間は微調整することが望ましいということになります。

運動習慣は睡眠を促すうえではとても重要な要素です。睡眠の悩みを解消するには昼間にしっかりと運動することが大切です。

また、運動にはストレス解消効果があります。不眠の入り口はストレスから眠れなくなる方も多いですので、カウンセリングを受けるなども有効ですが、日ごろから散歩などの軽い運動習慣を持つことで運動によるストレス解消を行っていきましょう。

10分眠れなければベッドから出よう

人間の脳はどの場所で何を行うのか、場所と活動内容をセットで記憶しています。

図書館では勉強しやすくても自宅やリビングでは勉強を集中できないという経験はある人も多いのではないでしょうか?

普段、リラックスする空間にしているところは、その空間に入ると無意識にリラックスモードに体が入るようになっているため、そこで勉強しようとしてもリラックスしてしまって集中できません。

睡眠にもこれは当てはまって、ベッドで読書をしたり、スマホをいじっていたり、TVを見ていたりなど、寝る以外のことをしていると脳がベッドに入っても落ち着けなくなってしまいます。

同じように、寝床に入って眠れない状態のままベッドの上でごろごろしていると寝床が寝るところではないと脳が錯覚して覚えてしまうのでベッドで寝ずらくなってしまいます。

眠くなるまでは起きていて、眠くなってからベッドに入り10分以上しても眠れそうになければ一度ベッドから出ましょう。

これは不眠症に対する認知行動療法でかなり強力な睡眠改善法です。横になると寝付けないという方には効果的なことが多いです。

夜中に目覚めても時計を見ない

夜中に目覚めるとつい今何時なんだろう?と時計を確認してしまう方も多いと思いますが、睡眠で悩んでいる方は夜中に目覚めても時計を見るのをやめましょう。

時計を見た時にスマホの画面などで時間を確認すると目に光が入ってしまうので脳が覚醒してしまいます。

また、まだ何時だから、早く寝なくてはいけないと自分にプレッシャーをかけてしまって余計に眠りずらくなる方も多いです。

そして、起きるたびに時間を確認していると、自分の睡眠時間が何時間だったのかを把握してしまい○○時間しか眠ることが出来なかった~と、心理的ストレスを自分自身に与えてしまいます。

睡眠時間が短かったとしても、何時間寝たのかわからなければ必要以上の心理ストレスを回避できます。

そうすることで、実際の睡眠不足としての身体ストレスだけの最小限のストレスにすることが出来ます。

昼寝は午後三時より前に

睡眠不足になって眠たい時は昼寝で補うことも大切です。

しかし、必ず午後3時以降も寝てしまうと夜の睡眠に悪影響が出てしまうので、遅くても3時までには起きるようにして下さい。

30分以上昼寝をすると深い睡眠に入ってしまう為、起きた時にだるい、気持ちが悪い、ぼーっとしてしまうなどの症状が出てしまいます。

最適な昼寝の時間は30分以内にするのがポイントです。

寝酒は辞めましょう

ストレスなどがかかって寝付けない時にお酒を飲むと入眠しやすくなるので、寝酒をしている方がいますが、お酒は睡眠の質を低下させてしまうので、寝酒としての飲酒はやめましょう。

また、寝酒が習慣化されすぎているとお酒を飲まないと眠ることが出来ないアルコール依存症になってしまっている場合もあります。そうなってくると、不眠症の治療とアルコール依存症の治療の両方が必要になってきます。

アルコール依存症は薬物の依存と基本的には同じなため、依存症の専門医でなければ診察も適切な対応も難しくなってしまいます。

寝ずらいなと思ったら、まずは運動してしっかり体を昼間に疲れさせる。それでもだめであればお酒を飲むよりも、睡眠薬を検討しましょう。

不眠解消目的での飲酒は絶対にやめてください。

リラックスできる体の状態に

体のコリが強いとリラックスしずらいので眠れない、寝付けない、途中で起きてしまうという症状が起こりやすいです。

そういった場合には、鍼灸や整体などで全身の筋肉をリラックスさせる施術を受けると眠りやすくなることがあります。

セルフで出来ることでいえば、軽いストレッチなどがありますが、コリがあまりにも強くなってしまった場合には十分な効果が見込めなくなってしまう為、その場合には専門家の施術を受けるようにしましょう。

当院での改善をご検討の方は不眠症(睡眠障害)自律神経失調症をご覧ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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