運転や仕事・上司を前にするとめまいがする原因と対処法

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

運転中や仕事の苦手な作業中、苦手な人(上司など)を前にするとふわふわ、ぐるぐるなどのめまい症状が現れてしまう。しかし、その状況から離れるとすぐにめまいが治まってきて普通の状態に戻るそういった特定の状況の時だけにめまいが出てお困りの方は意外と多いです。

今回は運転中、仕事中、特定の人、会話中、会議中など特定の状況でめまいが出てしまう原因と対処処法について、一緒に考えていきたいと思います。ぜひ最後までご一読ください。

 結論:パニック障害(広場恐怖症)や社交不安障害の症状

普段は平気だけれども、運転や仕事、苦手な人と関わるなど限定的な時だけめまい症状が出てしまうというお悩みで来院される方がいらっしゃいます。

通常のめまいとの違いは、めまいを誘発する事やものから離れてしまえば直ぐにもしくは少し時間をおけばめまいが消えることです。

この通常とは異なるめまいのパターンは、耳鼻科がメインで扱っているめまいとは全く性質が異なり、パニック障害(広場恐怖症)社交不安障害などの不安障害の症状です。

人前・上司の前、運転中など特定の条件下だけめまいが出るが、離れるとすぐに回復する。

人前・上司の前、運転中など特定の条件下だけめまいが出るが、離れるとすぐに回復する。

通常、パニック障害(広場恐怖症)や社交不安障害は不安感や恐怖感、動悸、息苦しさといった緊張症状が主体になることの方が多いのですが、そういった不安症状があまり出ない代わりにめまいが出るという場合が多いです。

人によってはめまいが出るタイミングとほぼ同じタイミングで不安感や恐怖感が出ることもあります。

このような特定の状況でのみめまいが発生してしまう場合には、パニック障害(広場恐怖症)・社交不安障害に対するアプローチと同じことをしていくことで、このようなめまいも改善していきます。

 

広場恐怖症(ひろばきょうふしょう)を自力で治すことは可能か!?
こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。 会議、集会、電車、飛行機、渋滞、高速道路、エレベーター、歯医者、美容院、人混み、ショッピングモール、閉鎖空間など、自分の自由にならない環境で、動悸、息苦しさ、冷や汗、意識が遠のく感覚、貧血...

 

運転や仕事・苦手な人で、なぜめまいが起こるのか?

めまいが引き起こされる刺激は、運転、仕事、苦手な人に限らず、嫌な臭い、人混みなど、広範囲に及びますがその共通点は交感神経が刺激されていること(緊張している)です。

広場恐怖症は自由が制限されると感じる特定の条件(渋滞、赤信号、橋、高速道路、電車、バス、エレベーター、映画館、歯医者、美容室など)、環境で交感神経が過剰に興奮する病態です。

社交不安障害の場合は特定の条件が、他人の視線、人の前で話をするなど、他の人がいるということが条件となり、交感神経が過剰に興奮する病態です。

眩暈を引き起こす交感神経の興奮(緊張)の条件は異なりますが、病態の基本原理は同じ。

眩暈を引き起こす交感神経の興奮(緊張)の条件は異なりますが、病態の基本原理は同じ。

運転中にめまいがするという方の中には、隣に誰か乗っていると緊張してめまいがしてくる方と、誰も乗っていないと不安になって緊張してめまいがしてくる方の両方がいます。

めまいが発生する条件が異なることは多いですが、交感神経が過剰に興奮した状態という共通点があります。

交感神経が高まると脳血流が低下する

交感神経系が過剰に働くと体の正常な反応として脳への血流量を低下させて、筋肉へ血液を送ろうとします。

これは交感神経が「闘争・逃走反応」といって、ライオンなどの捕食動物に出会ってしまった際に戦うか逃げるかを効率的に行う為の神経だからです。

戦うにしても逃げるにしても、筋肉への血流を最大にして筋肉の活動が最も行いやすい状態を作り出すように全身の血液を調整して筋肉へと集中させます。

脳への血流が低下するということは、脳のすぐそばにある平衡感覚を司る三半規管への血流も一緒に低下することになります。

交感神経が興奮すると筋肉へ血液が集中する為、脳や三半規管への血流低下が起こりやすく、結果的にめまいが起こりやすくなる。

交感神経が興奮すると筋肉へ血液が集中する為、脳や三半規管への血流低下が起こりやすく、結果的にめまいが起こりやすくなる。

その結果、運転・仕事・人混み・嫌な臭い・苦手な人などのストレスで交感神経の刺激がきっかけとなり、身体が「闘争・逃走反応」を起こして脳血流が低下するのと同時に三半規管への血流が低下して、平衡感覚をうまく制御できなくなり、めまいが発生すると考えることが出来ます。

その為、交感神経の刺激をした原因から物理的に離れるなど、ストレスから解放されると短時間で再び脳への血流量が元の量まで戻り、三半規管への血流も戻ってめまいが消えるというのがこの病気のメカニズムです。

通常時の交感神経優位と首こり

日頃からストレスをため込んでいる方は、通常時の交感神経が既に高い状態にあり、若干脳への血流が悪くなっている場合があります。

その状態のところへ、少しの刺激が加わるだけでさらに強い交感神経の高まりが発生します。

すぐに闘争・逃走反応が引き起こされて交感神経が過剰に興奮しやすい状態になっています。

普段からストレスがあると、ちょっとした刺激だけで交感神経過剰になり易い

普段からストレスがあると、ちょっとした刺激だけで交感神経過剰になり易い

また、首から肩周辺の筋肉の多くは副交感神経の支配を受けているため、交感神経優位な状態が日常的に継続していると強い首肩こりが発生します。

この首肩こりが脳へ血液を送る総頚動脈・椎骨動脈という合計4本の血管を圧迫することより脳血流が悪い状態となり、めまいを起こしやすい状態が常態化しているのです。

ストレスでめまいが発生しないようにするには?

ストレスを受けた時にめまいが発生しないようにするには、日常的に副交感神経の刺激を行って交感神経が低いレベルでいるようにする、首こりを改善して脳への血流を改善する、ストレスに対する心理療法を行うことで改善が可能です。

通常時のリラックスレベルを高める

日常的に交感神経が高い状態にある場合には、めまいが直接誘発されないストレスも含めて生活全体からストレスコントロールを行っていくことが大切です。

食事・睡眠・運動・ストレス管理を行ってリラックスした生活習慣・環境を整えることが基本

食事・睡眠・運動・ストレス管理を行ってリラックスした生活習慣・環境を整えることが基本

心理的ストレスを抱えているのであれば、困っている人間関係からは一時的に物理的に距離をとるなどの対策も必要です。

不規則な生活、偏った食事、睡眠不足、暑い寒い、過度な運動または運動不足、夜まで明るい光を目に入れるなども体にとってはストレスになります。

散歩をする、ゆっくり入浴する、森林浴、呼吸法など積極的にリラックスしやすいように生活習慣を整えることが大切になります。

また、鍼灸には副交感神経を刺激してリラックス状態へと身体を導く作用がある為、生活習慣の改善と併用するとより効果的です。

脳血流の邪魔になる要素を取り除く

首肩こりがひどいと脳へ血液を送る血管が圧迫を受けてしまうことがあるので、首肩こりがひどい場合には専門家の施術を受けてこりを改善してもらうことが大切になります。

脳へと血液を送っている4本の血管は体の深い場所(骨のすぐそば)に通っている為、通常の施術では緩めることがかなり難しいです。

表面はクイックマッサージやセルフマッサージ、動画を見て行う首のストレッチなどでも緩めることが可能ですが、首の深い場所の筋肉は大切な神経もたくさん通っている為、首の施術に精通した専門家を探して改善してもらうことが大切です。

力づくで首周りの血管周囲の筋肉を緩めようとテニスボールやマッサージ機などでゴリゴリ刺激するのは絶対にやめてください。

めまいを誘発するストレッサーへの暴露療法を行う

普段の身体をリラックス状態にして、脳血流も改善したうえで心理療法を行って誘発原因に対する抵抗力を獲得いきましょう。

リラックスできていない状態や脳血流が改善していない場合には、心理療法を行っても学習が行われない為、あまり効果が期待できません。

まずは生活習慣と身体を整えたうえで心理療法を個なっていきます。

広場恐怖症も社交不安障害も基本的には暴露療法といって、誘発するストレッサーに段階的に触れていくことで、危険がないことを再学習させていくことが必要になります。

ここで重要なのは段階的に触れていくということで、例えば橋が怖いのにいきなり大きな橋に挑戦してしまうなどはNGです。

段階を踏んで少しずつ暴露していくことで安全であること、大丈夫であることを脳に学習させていきます。

また、暴露療法を行う際にリラックスする呼吸法や強制的に脳血流を上げる呼吸法を組み合わせると、暴露療法が成功しやすいのでそういったテクニックも併せて行っていくと改善率が上昇します。

まとめ

運転や仕事中、上司を前にしたり、人前で話をする際にめまいが出てきてしまうのは広場恐怖症や社交不安障害の症状の一部です。

基本的には不安が主症状の病気ではありますが、人によっては不安感よりもめまいが主体で出てくることがあります。

交感神経が過剰に興奮すると闘争・逃走反応がが起こり脳血流が下がります。その結果三半規管への血流も低下し、めまい症状が出てくると考えられます。

改善していくには、広場恐怖所や社交不安障害の改善と同じアプローチを行うことで改善されていきます。

生活習慣を見直して交感神経が優位になりにくいように改善し、身体も全身の筋肉を緩めることで交感神経が刺激されにくい状態を作り出します。

また、首肩こりがあるようであればそちらも改善すると、脳への血流が良くなるため、症状が改善しやすくなります。

生活習慣の改善と身体的な改善を行ったうえで、暴露療法を専門家と一緒に行っていくことでめまい症状は徐々に改善されていきます。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症社交不安障害パニック障害をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。