パニック障害の薬を使わない、頼らない薬以外の治し方

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

パニック障害になってしまったが病院へ行くと薬を出されて、神経に作用する薬を飲むのが怖いという方が当院へ来院されることも多いです。

人によっては薬を使用した方が良い状態の方もいらっしゃいますが、今回は薬を使わない、薬に頼らない、薬以外のパニック障害の治し方を探していらっしゃる方に向けての記事です。

薬を使ったパニック障害の改善と比較しながら、薬を使わないパニック障害の改善について一緒に考えていきたいと思います。ぜひ最後までご一読ください。

結論:状態にもよりますが、必ずしも薬は必要ではありません。

私自身はパニック障害の治療に最初は薬物治療を行いましたが、実感できるほどの効果はなく、結局自分自身に鍼灸治療を行うことと生活習慣の改善でパニック障害を克服してきました。

その為、薬を使うと「頭がぼーっとして意識がはっきりしなくなる。体力が落ちる。」程度で、不安感や動悸、息苦しさが楽になったという経験は特別ありませんでした。

状態によって薬が必要な場合と薬を使わずに改善が可能な場合がある

状態によって薬が必要な場合と薬を使わずに改善が可能な場合がある

しかし、薬を使うことで不安感、動悸、息苦しさが収まって楽になり、根本治療となる心理療法を行いやすくなる側面もある為、完全に否定派というわけではありません。

薬を使う、薬を使わないのそれぞれの特徴をしっかりと理解して、あなたの状態に合わせて使う・使わないを判断していくことが大切だと考えています。

薬を使った方が良い場合とは?

パニック障害は鍼灸・整体・心理療法・生活習慣の改善を組み合わせる自然療法でも改善が可能な疾患です。

しかし、状態によっては薬を使用することがやむを得ない場合もあります。ここではどのような状態の時に薬を使用した治療が必要になるのかについてお伝えさせて頂きます。

睡眠障害(不眠)が併発している場合

眠れないという不眠の状態が続いているようであれば、抗不安薬(成分は睡眠薬と同じ)を使った方が良いことがあります。

鍼灸・整体など自然療法での改善の基本は身体の持っている回復力を利用する為、神経の機能回復に必要な睡眠に問題が生じている場合には不安症状よりも先に、睡眠の対策が必要になります。

パニック障害に不眠が重なり、施術しても眠れない場合には薬物治療の方が良いことがある。

パニック障害に不眠が重なり、施術しても眠れない場合には薬物治療の方が良いことがある。

施術を数回行ってリラックス状態に入って睡眠がとれるようになれば薬の必要性は必要ありません。

しかし、脳の興奮状態が強すぎて鍼灸・整体施術を行っても一向にリラックス状態に入れない状態の方は眠れないことが多いので薬の力を借りる方が良いです。

不安症状や自律神経症状(動悸・息苦しさ・発汗・めまいなど)だけの場合であれば、鍼灸・整体で体を整えながら、食事・睡眠・運動を最適化して、落ち着いてきたら心理療法を行うという自然療法での改善が可能です。

ストレスがかかり続けている場合

自然療法で改善を行う場合の基本はストレス原因を一旦取り除くことが大切になります。

しかし、どうしてもストレス原因を取り除くことが難しい場合には薬物治療の方が向いています。

例えば、シングルマザーで身近に子供の世話を頼める人がおらず、子供の面倒を見ながら仕事もしなくてはいけないといったような場合は子育て・仕事のどちらも休むことが難しい状況です。

このような状況の場合は、薬物治療で症状を抑え込んで問題の先送りをする方が良い場合もあります。

ストレスをかけたままになるので負荷が大きく、慢性化しやすいので医学的にお勧めは出来ませんが、生活していくという面では致し方ない部分があります。

ストレス環境から離れることが出来ない場合、くすりで症状を抑えて問題を先送りするしかない。

ストレス環境から離れることが出来ない場合、くすりで症状を抑えて問題を先送りするしかない。

自然療法の方が身体にも優しいですし、自分の治癒力で治っていくので改善したときの状態が安定していて再発もしにくいですが、必ずしも最適な選択肢が選べるわけではありません。

今、置かれている状況によってどうしていくのが良いのかを選択していくことが大切です。

薬物治療の治し方

パニック障害は脳内のセロトニン不足が原因だと考えられています。

セロトニンは一旦分泌された後は、セロトニントランスポーターというタンパク質によって脳内から再吸収(回収)されます。

薬物治療では薬(SSRI)でこのセロトニントランスポーターの働きを邪魔する(阻害)ことで、セロトニンが再吸収されずに脳内にとどまるように働く薬です。

SSRI

パニック障害のセロトニン不足は再吸収の促進ではなく、分泌低下から発生しますので、病気の発現メカニズムとは異なる方法でセロトニン量の回復を図っています。

メリットとしては、ある程度再現性が高く効果が表れやすいという特徴があります。(私のように効かない人もいますが・・・)

デメリットとしては、投与直後に副作用が出やすい点です。

症状を引き起こしているセロトニン不足だけでなく身体のすべての細胞で使われているセロトニンに無差別に作用してセロトニン量が増えてしまうので、本来はセロトニン濃度を高くしない方が好ましい細胞にも影響を与えてしまいます。

その結果、例えば、ぼーっとしやすい、体力がなくなる、下痢や腹痛、頭痛、ドキドキする、ソワソワするなどの副作用が出ることになり、SSRIの投与を開始しても副作用が辛くてやめてしまう方も多いです。

セロトニン量が回復しても、分泌量が戻っているわけではないので原理上は再発リスクが高めである。

症状が消えた後もセロトニン量が安定するまで半年から1年程度は飲み続けて徐々に減薬していく必要がある為、治療期間が長期になるなどのデメリットがあります。

薬を使わない改善方法

薬を使わないパニック障害の改善方法は、分泌低下を引き起こしている原因の除去することが基本になります。

原理的にも元々はセロトニンの分泌低下によってパニック障害が発生しますから分泌量を元に戻すように身体的、心理的に分泌低下の原因となっている原因を取り除くという本来の体の機能だけで元に戻すことを目指す方法です。

メリットとしては自然に近い形での改善が可能な為、薬物治療よりも再発リスクが下がるようなアプローチしていないと改善しない為、再発リスクも同時に下げることが可能です。

しかし、原因の特定が必ずしもできるわけではなかったり、わかったとしても原因を除去できないなど、薬物治療に比べて再現性に劣る面があります。

セロトニンを増やしていくために最低限必要な事

セロトニンが脳内で分泌される為の条件を身体的に満たしていない場合はそれぞれに対応したアプローチが必要です。

セロトニンの原料摂取

セロトニンの原料になるのはトリプトファンというアミノ酸(タンパク質)ですが、脳内でセロトニンが分泌されるには、その他の栄養素として葉酸、鉄、ナイアシン、ビタミンB6も必要になります。

肉などにもトリプトファンは多く含まれますが、肉に多く含まれるBCAAというアミノ酸を優先的に脳の中に取り込んでしまう為、BCAAを含まない植物性タンパク質の摂取を増やす必要もあります。

消化吸収

最低限食事はよく噛んで食べることで、食物を細かくし消化酵素に触れる表面積を大きくすることで消化が促されます。日頃からタンパク質不足がある場合には消化酵素が不足しており十分な消化を行うことが出来ません。

アミノ酸などでまずは消化酵素を増やすことが大切になります。

また、腸内細菌の助けを借りてトリプトファンは脳内に取り込まれる形のL-トリプトファンとなりますので、腸内環境が荒れている場合には食物繊維や乳酸菌などを利用して、腸内環境を整える必要があります。

また、物理的に腸内の動きが悪くて便秘をしていたり、逆に動きすぎるせいで下痢をしている場合には鍼灸刺激などを行い腸の動きが正常になるように手助けする必要があります。

脳への運搬

腸で吸収されたL-トリプトファンは血液を介して脳へ運ばれます。

ここで問題となるのは脳への血流が十分行われているのかどうかという物理的な問題と、脳内に取り込まれるにはインスリンの力が必要なことです。

首肩こりなどがひどい方では、脳へ血流を送る総頚動脈、椎骨動脈の流れが悪くなるため血流低下が発生してしまいます。ここでも首肩こりがある場合には鍼灸刺激などを行い脳血流を改善する必要があります。

過呼吸を起こした経験がある方は、血中の二酸化炭素濃度が低めなことが多く、二酸化炭素濃度が低いと脳への血管が収縮してしまうのと、赤血球の酸素が細胞に供給されにくくなります。その為、血中の二酸化炭素濃度を上げるために呼吸法を行ったり、炭酸水を飲み続けることが必要な場合があります。

血流が脳へ十分供給されている状態で、インスリンの作用(ブドウ糖を細胞に取り込む)が働く際に一緒にL-トリプトファンが取り込まれます。

その為、L-トリプトファンの摂取と同時にブドウ糖になる炭水化物の摂取が必要です。また、インスリンへの感受性が低下(糖尿病やその予備軍)の方は、肥満の改善、有酸素運動を行うなどでインスリンへの感受性を改善する必要があります。

合成

インスリンの合成は目の網膜に光が入ることで酵素が活性化し、合成が開始されます。

太陽光を目に入れるということが最も効果的な方法なので、欠かさず太陽の光を浴びることが合成には必要になります。

分泌

セロトニンの分泌は意識的なリズム運動によって分泌が促進されることがわかっています。

・呼吸

・咀嚼

・歩行

が代表的なものですが、スキンシップ、適温での入浴などでも分泌が促進されます。

生活の中に無理なく意識的なリズム運動を入れましょう。

ストレス原因

ストレスを受けるとセロトニンの分泌量が低下します。その状態を継続しすぎた結果脳内のセロトニン量が低下して不安症状に悩まされるようになるのがパニック障害です。

現在もストレスを受ける原因が残っている場合にはその原因となっているストレスを取り除くことが大切です。

物理的環境

騒音、振動、臭い、光、湿度、温度、気圧、過度の身体疲労など、物理的な環境や肉体にかかる負担はストレスがかかり、セロトニンの分泌を低下させます。

住居が線路の近くで騒音が激しいなど、二重窓を設置するなどの騒音対策や場合によっては引っ越しなども検討する必要があります。

睡眠

睡眠不足の状態では神経細胞が疲労によって、正常に機能することが出来ません。

決まった時間に寝て、決まった時間に起きて光を見るようにして生活のリズムを整えながら良い睡眠をとる必要があります。

人間関係

家族、親戚、友人、職場など、人間関係の悩みは尽きないものですが、距離が近すぎてストレスを受けている場合には物理的、心理的に距離をとる練習をしていくことが必要になります。

別居や連絡を取らないなど、適度な距離まで離れて暮らすことを検討する必要がある場合もあります。

経済的状況

お金に関する不安は抱えやすい悩みです。

幸い日本は法律と福祉制度が整備されている国です。最悪の場合は債務を法律的に整理したり、福祉制度を利用して経済的に助けてもらうことも可能であることを知り、具体的な知識を身につけることで、経済的な不安感は軽減可能です。

認知の歪みによるストレス

自分が苦しくなるようなものの捉え方(認知)をしていたり、能力的に達成できない目標や信念をもってしまっているとストレスを受けやすくなります。

自分自身の認知を心理療法で修正しながら、ストレスへの対処法を身につけていくことが大切です。

生物的ストレス

パニック障害になる方は交感神経過剰になっていることがほとんどです。交感神経が過剰になると、全身の筋肉が緊張しやすくなります。

脳は筋肉の緊張状態にあるという情報からさらに交感神経を刺激するように全身に指令を送る為、生物的ストレスは交感神経を刺激する負のループを形成します。

鍼灸・整体を行うことで、筋肉の緊張状態を緩めると筋肉が緩んでいるという情報から、脳は副交感神経を刺激するように全身に指令を送ります。

鍼灸・整体がパニック障害に効果があるのは、脳が身体の状態を見て外部環境を把握しているからです。

当院での改善をご検討の方はパニック障害全般性不安障害をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

記事の投稿者
心身堂鍼灸院 院長
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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