秋や冬に調子が悪くなる季節性うつ病の対策

こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。

秋から冬にかけて寒くなるだけでなく、日照時間もだいぶ減ってくると何となく調子が悪い、気分が落ち込みがちになる、活動力がなくなる、意欲がなくなるといった季節性うつ病(季節型感情障害(SAD))の症状が出てきやすくなります。
SADの治療はSSRIという抗うつ薬を用いられることがありますが、赤道付近では発症する人が少ないことから、本質的には光不足が原因だと考えられています。

その為、日の出とともに起きてなるべく太陽光を多く浴びるように意識することで改善されていきます。

秋ぐらいから気分が落ち込みやすいと自覚がありながらも、春先になれば自然に元気になるため、季節性うつだと気が付かずに何年も過ごしている方も多いです。

季節性うつ病は常に気分が沈んでいるわけではなく、楽しい事や嬉しいことがあると気分が上がり、楽しむことが出来ます。また、多くは3月ごろになって苦手な季節を通り過ぎると何事もなかったかのように元気になります。

今回はそんな秋・冬に調子が悪くなる季節性うつ病の原因や治し方、対策、対処法について解説していきます。

結論:光を多く浴びましょう。

季節性うつは一般的なうつ病と症状が異なり、新型うつ病などと同じ非定型うつに分類されます。

非定型うつ病は、楽しいことをとやっているときはうつ症状が軽減され、定型うつ病と異なり好きなことに対して楽しい気分になったり、好きなことに対しては気力もあります。

嫌なことや嫌いなことをやろうとすると途端にうつ症状が強く出てきます。

嫌なことや嫌いなことなんて誰しも我慢してやっていると思われるかもしれませんが、非定型うつ病では病的なレベルまで気分が落ち込み、暗く身体が動けないほどまで沈み込んでしまいます。

嫌なことや嫌いなことをやろうとすると途端にうつ症状が強く

嫌なことや嫌いなことをやろうとすると途端にうつ症状が強く

私の体験談としては、気持ちが重くなって何もしたくない、何が嫌という理由はないけれど、冬場は消えたくなるなど極端に気分が沈みこむ鬱症状が出ていました。

うつ症状が出ている時の気分の落ち込み方が自分の存在を消してしまいたくなるような感情が出てくるので、無理して頑張ると悪化してしまいますので無理は禁物です。

特徴としては、夕方から夜にかけての症状が悪化しやすい傾向があり、手足が鉛のように重たく感じることが多いです。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という脳内のセロトニンを増やす薬である抗うつ薬を用いることで症状が改善することがわかっています。

病院での治療では、通常のうつ病と違い3月ごろになれば症状が改善してくるため、症状が改善している期間は減薬・断薬して、また症状が出てきたら投与を再開するといった対症療法が基本になります。

SSRIが効果を出す為、基本的にはセロトニン量を増やすような条件を整えた生活を維持していけば薬を投与しなくても改善していくことは原理的には可能です。

私自身はSSRIが効かないので、結局はセロトニン量を増やすよう太陽光を良く浴びる、歩くなどの生活習慣を継続していったことで冬になっても極端な気分の落ち込みが発生することはほとんどなくなりました。

季節性うつはなぜ起こるのか?

20代~30代の若い女性に多く発症しやすいといわれる季節性うつですが、日照時間が影響して発症すると考えられています。

1984年にローゼンタールという精神科医が「冬季うつ病」として報告された精神疾患です。

季節性うつは以下のような特徴があります。

☑仕事がない日は元気
☑楽しいことは楽しむことが出来る(定型うつ病は何をやっても楽しめない)
☑仕事や学校などでうつになると相当にひどく気分が落ち込む
☑朝よりも夕方の方が調子が悪い(定型うつ病と逆)
☑過眠(たくさん眠っても眠い)
☑手足が鉛のように重だるい

赤道付近では発症する方が少なく、赤道から離れるほど発症する確率が高まることが知られています。その為、日照時間との関係性が深い疾患であると考えられています。

SSRIで改善は出来るが・・・

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という脳内のセロトニンを増やす薬で症状が改善することがわかっています。

しかし、SSRIは投与し始めは効果よりも副作用が出やすい薬です。

その為、投与開始して直ぐは気持ち悪い、吐き気がする、便秘、下痢、めまい、頭痛、過眠など、効果を実感できないうえに副作用症状が強くでてしまい継続できない方も一定数います。

薬での副作用が出やすい方の場合は、身体に備わった機能でセロトニン量を増やしていく方が副作用も少なく、季節性うつ病の症状も改善されていくためお勧めです。

薬 VS 身体の機能で改善する

私自身は体に備わった機能でセロトニン量を増やして季節性うつ病の改善をしていきました。

薬での治療はメリットは服薬だけで2~3週間と割と短期間で効果が出ることデメリットは副作用が出やすく、セロトニンが不足しやすい生活習慣はそのままの為、根本改善にならない。

身体に備わった機能で改善していくメリットは副作用が少なく、基本的には健康的な生活をするため、身体全体に健康効果が波及し、薬を何度も飲み続ける必要がない。

デメリットは効果が出るまでに時間がかかる為、季節性うつ病が始まるよりもはるかに前から、出来れば年間を通して生活習慣を整えていくことで改善していきます。

セロトニンを増やす生活習慣が継続されていくと年々季節性うつ病の症状は軽減されていき、数年後にはわからない程度まで改善しますが、今年の冬の季節性うつを何とかしたいという方の場合は、効果が期待できないことが多いです。

どちらの方が正解ということはありませんので、ご自分のライフスタイルによってどちらかを選択する、もしくは併用(今年は薬で対応するが1年間身体の機能でセロトニンを増やして来年からは薬が不要になるようにしていく)していくことも視野に入れていきましょう。

身体の機能でセロトニンを増やして改善していく方法

身体に備わっている機能でセロトニンを増やしていくには、食事・睡眠・運動・ストレス管理を長期間、適正に行うことで増やすことが出来ます。

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それぞれについて解説していきます。

食事

基本は3食バランスの取れた食事をよく噛んで食べるということがとても重要です。

難しい栄養バランスはわかりにくいのでまずは炭水化物(50%)、タンパク質(20~30%)、脂質(20~30%)の3大栄養素に気を付けて摂取していきましょう。

間違ってもヘルシーを意識して、野菜だけの食事にならないようにしてください。

セロトニンの原料はタンパク質ですし、合成にも分泌にもエネルギー(炭水化物)が必要です。細胞の膜は脂質で出来ています。

睡眠

毎日決まった時間に寝て決まった時間に起きるという規則正しい睡眠を心がけましょう。

ショートスリーパーやロングスリーパーといった特異体質でなければ、7時間半~7時間程度(20代~60代)の睡眠時間がとれていれば問題ありません。

不眠の場合は睡眠に対するアプローチが必要になる為、まずは不眠症の解消から始めましょう。

運動

他の運動でもよいですが、毎日8,000歩程度を目標にウォーキングをお勧めします。ウォーキングは意識的なリズム運動といってセロトニンの分泌を促す作用があります。

食事のところでもお伝えしたよく噛むという行為もリズム運動なのでセロトニンの分泌を促す効果があります。

今まで運動してこなかった方の場合は8,000歩というと3日坊主で終わってしまう方が多いため、まずは毎日靴を履いて玄関の扉を開けることを行って習慣化することから始めていきましょう。

習慣化は3日、3週間、3ヶ月でより強化されていきますので、毎日少しでも決まった時間やタイミングで行うことが大切です。

ストレス管理

ストレスには物理的、化学的、生物的、心理・社会的ストレスとストレス不足の5つがあります。

ここで言うストレスというのはストレス反応を長期間引き起こすストレスのことで、セロトニン量を低下させてしまいます。

音や臭い、光などの過不足はストレス反応を引き起こします。特に季節性うつ病は光不足によって発生しやすいため、太陽光に当たることが大切です。

紫外線で肌が焼けるのが嫌な場合は紫外線をカットした光治療器などを購入して使用することも検討してください。

化学的ストレスは生活習慣の中ではお酒やたばこ、カフェインといった神経系に作用する食べ物は避けましょう。

生物的ストレスは身体のコリやこわばり、お腹の不調などがある場合には鍼灸や整体を受けて一度しっかりと取り除いてもらいましょう。

心理・社会的ストレスがかかっている場合には、基本はストレス原因となった人や出来事から物理的に距離をとることが大切です。

運動不足などのストレス不足も副交感神経が過剰になりすぎて問題となる場合がありますので、短期的な適度なストレスは体にとって必要であることを知っておきましょう。

忘れられがちなのが、スマホ、タブレット・ゲーム・TV・PCなどのデジタル機器の長時間使用です。(大人であれば1日2時間以上)

デジタル機器はドーパミンの分泌を同時に引き起こす為、自覚しずらいのですがストレス反応を引き起こします。読書は疲れて途中でやめたくなりますが、デジタル機器はダラダラ動画を長時間見ていられるのはドーパミンの作用によって脳が過覚醒状態になっている為です。

まとめ

秋から冬にかけて気分が落ち込みがちになったり、やる気が起こらなくなる場合は季節性うつ病の可能性があります。

3月ごろになると自然と改善してくる方が多いため、軽度の場合は気が付かずに毎年何となく体調が悪い程度で過ごされている方も多い疾患です。

通常のうつ病と違い楽しい事や嬉しい事があると気分が良くなるため、ずっと気分が沈んでいるうつ病とは症状が異なります。

直接的な原因は日照時間との因果関係が指摘されており、赤道に近い地域で生活されているほど発症しずらいことがわかっています。

病院での治療はSSRIという抗うつ薬を使用しますが、人によっては副作用が強く出てしまいます。

根本的にはセロトニン量が低下しないような生活習慣を送ることが大切になります。

身体に元々備わっているセロトニンを分泌する機能をしっかりと発揮できる状態で生活を継続することでも改善していくことは可能です。

しかし、薬に比べて即効性がない為長期的に改善に取り組むことが必要になっていきます。

セロトニン量を増やすには、食事・睡眠・運動・ストレス管理が重要です。

身体の不調など生物的ストレスがかかっている場合には、鍼灸や整体を受けて筋肉を緩めてリラックスできる身体にしておくことも改善の上では重要になります。

当院での改善をご検討の方は自律神経失調症うつ病をご覧ください。

遠方で来院が難しいけれど、生活習慣や改善について相談したい方はオンラインカウンセリングをご利用ください。

心身堂鍼灸院院長
この記事を書いた人
鍼灸師 佐野 佑介

静岡県浜松市中央区和地山で自律神経専門のはりを刺さない心身堂鍼灸院を開業。
自身も26歳の時にパニック障害から自律神経症状に苦しんだ経験を持つ。
2012年に独立開業。
国家資格 はり師(148056号)・きゅう師(147820号)
医薬品登録販売者試験 合格

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