こんにちは、浜松市はりを刺さない鍼灸師の佐野です。
パニック発作はとても辛いですよね。私も始めてパニック発作を経験したときはひどい息苦しさと動悸、全身がしびれて動かなくなって身体が硬直していく感覚になった時はとても辛く二度とあんな状態になりたくないと思いました。
パニック発作の中でも息苦しさを感じるのは過呼吸(過換気症候群)が起こっている時に感じる症状で、呼吸のし過ぎにより細胞が酸欠を起こしてしまいその結果、息をしていても息苦しさを感じます。
呼吸のし過ぎで細胞が酸欠を起こすといわれるとなぜ?と思われるかと思いますが、過呼吸のメカニズムを理解していると過呼吸からくるパニック発作はかなり予防しやすくなります。
今回はそんな細胞の酸欠が起こる過呼吸から来るパニック発作の原因と予防する方法について一緒に考えていきたいと思います。ぜひ最後までご一読ください。
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結論:きっかけはストレスですが、直接原因は呼吸の乱れ
パニック障害の方がパニック発作を起こして息苦しさを伴っている場合には、過呼吸によって細胞が酸欠を起こしている可能性が非常に高いです。
一般の方の感覚からすると呼吸のしすぎは、酸素が不足する事ってないのでは?と思われるかと思います。
その認識自体は正しく、過呼吸中には酸素は大量に体内に存在する為、血液中に酸素は豊富にある状態です。
しかし、身体の仕組みで呼吸のしすぎは、血液中にある酸素(ほとんどが赤血球に張り付いている酸素)が細胞に渡されずらくなってしまい、身体全体としては酸素は足りているけれど、細胞では酸欠が起こるという不思議な状態が発生します。
細胞が酸欠を起こすと、最初に神経系が酸素不足から機能低下を起こします。
その結果、不安感、息苦しさ、手足のしびれ、だるさ、めまいなどのパニック発作が出てくるという仕組みです。
体内に酸素は十分にあるけれど、細胞では酸欠が発生してしまうメカニズムについて解説していきます。
肺呼吸と細胞呼吸という二つの呼吸
一般的に私達が「呼吸」と呼んでいるものは医学的には肺呼吸のことを言います。
肺呼吸はその名の通り、肺を使って酸素を体内に取り込み余分な二酸化炭素を体外へ排出するいわゆる呼吸です。
一方、細胞呼吸というのは細胞と血液の間で、同じように酸素を細胞に取り込み、余分な二酸化炭素を血液に受け渡しす呼吸です。
肺で取り入れられた酸素は、血液中の赤血球に張り付いて全身をめぐり、酸素を必要としている細胞のところで、赤血球から酸素が外れて酸素を細胞に渡します。(細胞呼吸で細胞側は酸素を取り込みます。)
細胞ではエネルギーを取り出すときにでる副産物である二酸化炭素を血液中に排出します。そしてその二酸化炭素が肺まで行って体の外へ排出(肺呼吸)されます。
細胞呼吸がうまくいかないと細胞では酸欠になる
血液の中に酸素が十分にあっても、酸素が細胞に供給されない状態というのが存在します。その状態になると、肺呼吸は出来ていて十分な酸素が体内に存在するのに細胞では酸欠が発生します。
細胞呼吸では、細胞が酸素を取り込むときに赤血球から酸素が外れる必要があります。
この赤血球から酸素が外れにくくなってしまうと、体内に酸素はあるのに細胞では酸欠が発生するのです。
赤血球から酸素が外れ易くするために必要な物質が二酸化炭素です。
つまり、二酸化炭素不足になると、細胞呼吸が上手く行われず細胞は酸欠状態になります。
細胞が酸欠になるとどうなるのか?
細胞が酸欠を起こすと、最も被害を受けやすいのが神経です。
特に神経の集合体である脳は、非常に多くの酸素を必要とする臓器の為、真っ先に影響を受けます。
感情や感覚器に関係する神経細胞が酸欠を受けると、ソワソワ感や不安感、恐怖感など落ち着かない感覚や感情は脳の神経細胞が酸欠で正常に機能していないときに発生します。
身体感覚が鋭い方の場合は、過呼吸によって感じる息苦しさと息を止めた時に感じる息苦しさは息苦しいのだけれど何か違うという感覚を感じられているかと思います。
過呼吸で感じている息苦しさは細胞の酸欠による息苦しさですが、息を止めている時に感じる息苦しさは二酸化炭素の増加による息苦しさの為、身体の中で働いている息苦しさを感じるセンサーが違う為、息苦しいのだけれど息を止めたのとは違う息苦しさを感じます。
細胞が酸欠を起こしていると同時に脳への血流の低下が発生すると、冷静な状況把握が出来なくなり、神経は正常な働きを継続することが出来なくなり、「死ぬかもしれないと脳が誤認して」パニックが誘発されます。
これがいわゆるパニック発作です。
パニック発作は二酸化炭素不足を解消することで、細胞の酸欠を解消することが出来れば、かなりコントロールしやすくなっていきます。
ストレスが二酸化炭素不足のきっかけになる
二酸化炭素不足を引き起こす直接の原因は、呼吸が早くなる、大きな呼吸を繰り返すなどですが、人間は誰しも、ストレスを受けると呼吸が早くなります。
これは、防衛本能として体に備わったシステムですから正常な反応です。
今のように文明の力によって安全を確保できたのはごく最近のことで、アフリカで誕生した人類の祖先は肉食動物に狩られる弱い存在でした。
運悪く肉食動物に出会ってしまった際に、戦うか逃げるかどちらかを行わなくてはいけませんが、その際にスグに行動に移せるよう危険を感じる(ストレス)とすぐに呼吸を早めて体を運動モードに切り替える必要があったのです。
危険を感じた際に呼吸を速めて酸素を取り込み二酸化炭素を吐き出してすぐに動き出せる体制をあらかじめ作るのです。
そのシステムが私達の体に現在も残っているのですが、安全になった社会では命に危険が及ぶストレスは減った為、かわりに対人関係やお金の悩みなどのストレスを危険と判断して呼吸が早くなってしまいます。
まだ、ストレスから解放された瞬間に元の呼吸に戻ればよいのですが、現代のストレスははっきりと脅威が去った瞬間がわかりにくいものが多く、いつ戦闘モードを解除すればよいのかがわからず、呼吸が早いままになってしまうのも過呼吸状態になり易い要因です。
呼吸が早いまま生活を続けているうちに、二酸化炭素不足が慢性化し、徐々に細胞の酸欠状態が慢性化していきます。
交感神経優位の状態が継続するので、意識してもなかなかゆっくりした呼吸が出来なくなっていってしまいます。
慢性化する前に呼吸を意識して正しい呼吸に戻す
慢性化してしまうと、呼吸筋が固くなったり、二酸化炭素に敏感に息苦しさを感じるようになってゆっくり呼吸できなくなったり、リラックスできなくなってしまい、呼吸法だけでもとの呼吸に戻すことは難しくなってきてしまいます。(正しい呼吸については過去記事参照)
しかし、慢性化する前から、ストレスを感じた後に正しい呼吸に戻す習慣を身につけていれば、過呼吸性のパニック障害に長い間悩まされるということもなくなります。
ただし、強いストレスに対してはどうしても呼吸が早くなるという、正常な反応は回避できませんから、大きなストレスと慢性的なストレスは避けるという基本は大切です。
細胞の酸欠状態を日ごろから引き起こさないように呼吸をコントロールする努力が大切です。
まとめ
パニック発作を引き起こす原因の一つに、過呼吸(過換気症候群)があります。
過呼吸は呼吸のし過ぎにより細胞に酸素を渡す細胞呼吸が邪魔されることで細胞の酸欠が起こって引き起こされます。
細胞で酸欠が起こると特に神経の働きが低下する為、不安感、息苦しさ、しびれ、めまいなどの症状が出てきやすくなります。
その時に冷静に過呼吸を起こしていると分析できるとパニックに陥るのだけは防げる場合があります。
細胞呼吸を正常に行うにはゆっくりとした呼吸を日頃から意識的に練習していくことが効果的です。
強いストレスや慢性的なストレスを受けると呼吸が早くなりやすいので注意が必要です。
当院での改善をご検討の方は自律神経失調症、パニック障害をご覧ください。
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